いくつかのアニメでは、出会い頭にヒロインのクラスメイトとぶつかったら体が入れ替わっている、という展開があったりしますが、2人の異性がお互いの視界を映すディスプレイを使って、異性と体が入れ替わったように錯覚するという神経科学技術を利用したプロジェクトが「Gender Swap(性別交替)」です。

お互いの視点のカメラ映像を見ながら、お互いの動きをシンクロさせることで、自分の体を触ると異性の体を触っている……という不思議なムービーは以下から確認できます。

Gender Swap - Experiment with The Machine to Be Another on Vimeo


2人のユーザーは、没入型ディスプレイの「Oculus Rift」を頭に装着し、お互いのディスプレイには相手側の一人称視点が映っています。


2人ともゆっくりと手を動かして、カメラの映像に合わせて動きをシンクロさせます。カメラの映像はArduinoとRFトランスミッターによってワイヤレスで配信。


左側の男性の視界はこんな感じ。手を触ったり、眺めたりしている男性の視界には、女性の細い腕や手が映っています。


別のユーザー2人はお腹をゆっくりとさすっています。ぴったりとお互いの息を合わせないと錯覚効果は得られないとのこと。


手を合わせる2人の男女。


男性が合わせた手をじっくりのぞいて見たり、動かしてみても、細い女性の腕が動くため、まるで自分の手のように感じられるというわけです。


お腹をさすると、手がお腹を触っていると自覚しながらも、視界では女性の手が女性のお腹をなでているため、まるで体が入れ替わったように感じてしまいます。


靴を脱ぎ始めるユーザーたち。どのペアも非常にゆっくりとした動作ですが、これがシンクロするためのコツなのかもしれません。


服を脱ぎ払って下着姿の2人。


立ち上がって下を向きながらお互いに胸を押さえています。男性は見慣れない女性の胸が見えており、女性には筋肉質な男性の体が映っているのでしょう。


女性がほとんど裸になって下を向くと、毛深く、太り気味なお腹が映し出されています。


次は2人のユーザーの間に全身鏡を設置しました。


男性が両手を掲げながら鏡を見てみると、映るのはもちろん両手を掲げる女性の姿。


カメラの映像とは言っても、自分の体を鏡を見ると異性の体が映っているため、不思議そうに体を触って確かめる2人。


鏡を撤去して、2人のユーザーが向かい合って手を合わせています。見覚えのある自分が他人として映っているわけなので、錯覚どころか混乱してしまいそう。


そして、向かい合ったまま手を下に滑らして行き……


下着の中を確認。一体2人はどう感じたのでしょうか?


「Gender Swap」は、THE MACHINE TO BE ANOTHERという、オープン・ソースを使って低予算で性同一性障害やバーチャルボディへの拡張を調査・実験するプロジェクトの一環として実施され、今後の研究に生かされるとのこと。この他にも、身体的障害を持った人が歩いたり、ダンスを踊る感覚を仮想体験するといった実験も実施しています。


なお、日本でも以下のように視覚交換というのが行われています。

視覚交換3D - Exchange 3D Views - YouTube