一進一退を続ける日本市場。売買のかなりの部分を占めるアルゴリズム取引が、大型優良株の下方修正により下げを加速する事態も…。でも、一時164円まで下げたシャープなんか、実は買い時だと思うのだが?


キヤノンが最大500億円の自社株購入枠を設定し、証券関係者の注目を集めている。自社株買いは市場に出回る株数が減るので買い材料になるのだが、今回は買った株式の使い道が関心の的。会社側発表では、株の取得理由を「資本効率の向上とともに、将来の株式交換など」と説明している。自社株は消却したり「金庫株」として眠らせておくのではなく、他社買収に使うというのだ。

金融庁は親子上場を禁止する方向とみられるが、キヤノンには、キヤノン電子とキヤノンマーケティングジャパン(以下、MJ)という2つの上場子会社がある。

なかでもMJは時価総額が1600億円超と大きいため、キヤノングループ再編の最大の課題とされているが、手持ちの自社株と新規取得の自社株を合わせれば、完全子会社化が可能になる。買収となれば、時価プラス3割程度のプレミアム(上乗せ価格)が一般的だ。

株業界の番猫・みけこさんの兜町キャッツアイ
第53話 消えそうだった「外資系注文」

外資系証券の売買動向って、知ってるかにゃ? 欧米大手証券9社から、東京を拠点に入ってきた日本株注文を朝8時現在で集計したデータのことなんだにゃ。「外資系証券が大幅買い越し」だったら、その日は株高になる可能性が高いから、プロも個人投資家も猫も注目している重要指標! それが危うく8月で終わりになるところだったにょ。

データは東証の公式発表と思われているようだけど、本当は各社の自己申告を信用して、有志がまとめているだけ。全然、公式じゃないにゃ。テレビ局やネットの投資情報業者は毎朝、証券会社の人からデータを教えてもらって、外資系注文状況として流している。

ところが、窓口になっていた人が所属先の証券会社の都合なのか、8月で急に退職しちゃったんだって。マスコミ各社は、一時は情報がなくなると覚悟していたけど、今は別ルートから情報をもらって情報発信を続けているんだにゃあ〜。よかったにゃ。

証券関係の人って、会社が違ってもお互いに知り合いってことが多いから、こういう非公式な情報交換が成り立つんだにゃ。夜になると、所属先の証券会社の枠を超えて、あちこちでアルコールの香りがする「集会」があるみたいだし、猫と似たところがあるのかも。



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この記事は「WEBネットマネー2012年11月号」に掲載されたものです。