「インサイダー取引じゃないのか?」「かつてのリクルートと同じ構図だろう!」
 今年9月に東証に再上場するJALに、「未公開株の売買」を巡る疑惑が噴出している。

 ご存じの通り、同社は放漫経営のツケで'10年に破たん。国が3500億円の血税を注入し、稲盛和夫氏を会長に招いて再建に着手した経緯がある。
 ところが、その同氏が創業した『京セラ』が、再上場を前にJALの未公開株を取得。上場益を得ることが発覚し、批判が高まっているのである。金融アナリストがこう話す。
 「京セラが、増資を視野に入れたJALの未公開株を取得したのは昨年3月。この前後に同社を含めた8社が購入したという。だが、当時はすでに法人税の減免も決まり、同社が'10年に東京地裁に提出した『更生計画』を上回る1800億円もの営業利益が出ており、その後のV字回復は確実だったのです。そのため投資家の間からは、明らかなインサイダーじゃないのかとの声が上がっているのです」

 ちなみに、今回再上場を果たすJALの増資額は127億円。京セラはこの未公開株を、国が保有する同社株と同額の2000円で250万株購入したというが、再上場の売り出し価格は「3790円」と言われ、「濡れ手で粟の大儲け」と評判なのだ。
 証券会社の関係者がこう息巻く。
 「稲盛氏がわずか2年でV字回復させた点は、さすが“経営の神様”だけのことはある。だが、もとはと言えばJALは投資家たちの株券を紙くずにし、血税を注入して生き永らえた会社。それを再建させたからといって、古巣の京セラに儲けさせるのは投資家をバカにしすぎている。まるで、倒産会社を再生して売り払うハゲタカ外資のようなやり口ともっぱらなのです」

 もっとも、今回の騒動で矢面に立たされた稲盛氏は、8月上旬に記者会見。「未公開株は数十社に打診したが、8社しか応じなかった」「儲かるとは思っていなかった」などと弁明したが、もはや後の祭りと言った感がぬぐえないのだ。
 前出の金融アナリストがこう語る。
 「購入が未上場のうちだったため事件化しない可能性が高い。だが、“経営の神様”という肩書はこれで終わりかも。公平で透明性のある方策を取らなかったことが稲盛氏の失敗です」

 金の恨みは恐ろしい。