はじめに

 落合博満(現)中日監督の退任が発表されて以来,その原因として「結果は残すけれども観客が入らない」ということが指摘されていました。しかし,そのような観客数の減少を指摘するメディアも根拠として信用に足るデータを示したものはありませんでした。そこで,

落合博満監督はナゴヤドームにどれくらいの観客を集めたのか?
続・落合博満監督はナゴヤドームにどれくらいの観客を集めたのか?

 という分析をやってみたところ,確かに2011年は観客動員数が減少していましたが,この減少には,対戦カードや日程の影響も考慮する必要があり,全て落合監督の責任にしてしまうことには疑問が残る分析結果となりました。

 さて,観客動員数の減少に加え,中日の観客動員数についてはこのような話も出ているのを聞いたことは無いでしょうか?

「中日が勝ちすぎるとお客さんが減ってしまう。」

 球団関係者のコメントだったと思うのですが,あまりにも連勝連勝となってしまうと観客は興を失ってかあまり球場に来なくなってしまうというものです。

※申し訳ありませんが,情報源となる記事を失念してしまいました。結構前に読んだ記憶があるのですが,それらしきものをご存知の方がいらしたら教えてください。

 というわけで,今回はこの「中日が勝ちすぎるとお客さんが減ってしまうのか?」というのがテーマとなります。このテーマについて,2005年から2011までの中日ドラゴンズの勝率と観客動員数を分析して行きたいと思います。データは,「プロ野球ヌルデータ置き場」様のデータを参照しています。2005年のデータは,ベースボールレコードブック2006を参照しました。

中日ドラゴンズの勝率と観客動員数の関係

 さて,いきなり弱音を上げて申し訳ないのですが,この「勝ちすぎるとお客さんが減ってしまうのか?」というのをデータで検証するのは結構難しいことだったりします(私のスキル的に)。

 何故かといいますと,「勝ちすぎる」というのが結構曖昧な表現でして,連戦連勝のことを指すのか,高い勝率をキープすることを指すのか定かではないからで,どのように分析していくか方針が立てづらいためです。

 こんな感じで分析に詰まった時のオレ流対処法ではありませんが,心がけている方法として,データを視覚的に整理する方法があります。データを視覚的に配置して,それを眺めて閃きを期待します。

 閃き待ちというのは,なんとも不確実な話ではありあますが,何もしないで頭を抱えているよりは幾分ましだったりします。というわけで,今回は,中日の勝率と観客動員数のデータをとりあえず視覚的に整理して並べてみようというのが目的となります。

 もし,これを読んでくださっている方の中に統計に詳しい方がいらしたら,このデータから,どういう分析をしたものか考えていただけると助かります(飛行機の中でお医者様を探す気分です)。

 統計に詳しくない方は,とりあえず私と一緒にデータとにらめっこをしてみましょう。眺めていれば何か見えてくるものがあるかもしれません。

 まずは2005年のデータについて,以下の図1に示します。

図1

 この図の見方ですが,黒の折れ線が中日の勝率の推移となります。この勝率は,試合開始前の時点での勝率になっています。

 ◆と■のマークが各チームの観客動員数(%)です。チームによって色を変えています。小さいマークと大きいマークがありますが,小さいマークは平日の試合を,大きいマークは休日の試合を示しています。マーク間の破線は連戦を示しています。

 これで試合があった日の勝率と,観客動員数(%)を同時に比較することができます。中日が勝ちすぎるというのを連勝と捉えれば,勝率が右肩上がりに上昇している箇所がそれに該当します。高い勝率をキープすることを指すことを勝ちすぎと捉えれば,勝率の高いところがそれに該当します。そうした時期の観客動員数(%)はどうなっているだろうか?という辺りに着目してみてもらえればと思います。

 続いて,2006年のデータを図2に示します。

図2

 次は,2007年のデータを図3に示します。

図3

 次は,2008年のデータを図4に示します。

図4

 次は,2009年のデータを図5に示します。

図5

 次は,2010年のデータを図6に示します。

図6

 最後に,2011年のデータを図7に示します。

図7

個人的な所見

 いかがだったでしょうか。以下は個人的な所見となります。

 データを概観したところ,勝率が右肩上がりに上昇しているからといって,また,勝率が高レベルをキープしているからといって観客動員数(%)が低下しているようなところは無いように思えます。 私が見たところ,平日と休日の違いや対戦相手の違いの方が,観客動員数を左右しているデータに見えました。ただ,見かけのデータにだまされている可能性も否定はできません。

 そして,これは私がデータを見た感想なので,「ここはどうなの?」という箇所がありましたら,是非指摘してください。

 とはいえ,休日の三連戦や,金土日(平日‐休日‐休日)の三連戦の最終日の休日に観客動員数が減少しているようなケースが散見されました。しかし,これは勝ちすぎて観客が減ったというよりは,次の日が休みの二日目に来る観客が多かったと見るのが自然だと思います。三日目に観客を呼びたいのであれば,二日目よりも付加価値をつけるべきで,こういう仕事は球団の仕事だと思います。

おわりに

 まずは,中日ドラゴンズのリーグ制覇,おめでとうございます。このまま日本一まで駆け抜けてしまうのが一番痛快な幕切れではないでしょうか。

 さて,今回の記事ですが,きっかけとなった記事の出典は不明で,分析の指針が立たず,とりあえずデータを整理して公開しただけという,なんとも酷い有様となっています。

 まぁ私も万能ではないわけでして,一人で抱え込んで悩んでいるよりはこの段階で公開して皆で考えたほうが良いかと思い,このような形式としています。たまには皆で考えてみるのも悪くはないかな,と思いたい。

 どうか,お力を貸していただければと思います。

 それから,今回グラフで示したデータの数値がちゃんと見たいという生真面目な方がいらっしゃいましたら,次回におまけ編としてデータを公開しようと思いますので教えてください。

 では,今日はこの辺りで失礼します。