「おんだらぁ。なめてんのか、この野郎」 上杉隆氏暴言で自由報道協会代表「辞任」
記者会見のオープン化を目指して活動している「自由報道協会」で暫定代表を務めるフリージャーナリストの上杉隆氏が、突然「辞表なう」と、暫定代表を辞任する考えを表明した。その理由は、同協会が掲げる会見ルールを破って質問を続けた読売新聞記者に対して、上杉氏が「複数回にわたり『暴言』を吐いた」というもの。
辞任届では、どの発言が「暴言」かは明らかにされていないものの、VTRを確認すると、読売新聞記者に対して、かなり厳しい言葉をぶつけている。現時点では辞任届は「暫定幹事長預かり」だが、協会メンバーのフリージャーナリストからは、辞任すべきでないとの声が相次いでおり、苦しい対応を迫られそうだ。
小沢氏の発言をさえぎって質問をぶつける
発端は、2011年10月20日に協会が民主党の小沢一郎元代表を招いて開いた会見での質問だ。読売新聞記者が、
「政治規正法違反について『脱税や汚職に伴わない場合は実質的な犯罪とは言えないのだ」というお考えを述べていたが」
と質問したのに対して、
「そうは言っておりません」
と否定。読売記者がさらに食い下がっても小沢氏が否定したため、記者は政治資金報告書の虚偽記載について、
「汚職や横領とか脱税ということがなくても『実質的な犯罪』と言えるのではないか」
などと自説を展開。やり取りの中で、小沢氏の発言をさえぎって質問をぶつけたり、「質問は1つまで…」という司会者の注意を無視して質問を続けたりもした。
この会見では、「質問は1人1つまで」というルールが事前に宣言されていたことから、協会ではこの読売記者の行動を「ルール違反」と問題視。会見後に上杉氏と協会メンバーの岩上安身氏が読売記者に抗議する中で、この「暴言」が出た。
記者クラブなどが主催する政治家の会見では、質問に対する政治家の回答があいまいだった場合、記者が続けて質問するケースも少なくない。この「関連質問」のとらえ方について、両者の主張は平行線をたどった。
読売記者は関連質問が出来ないというルールに納得せず
読売記者が
「会見一般がそうじゃないですか」
「会見に応じている人に、こちらの問題意識を分かってもらいたいし」
と主張する一方、上杉氏は
「『一般の会見では』って一般の会見って何?日本で通常の記者会見やってると思ってる?」
「アンタが主催したか?なぁ」
と、主催者が設定したルールを守るように繰り返し求めた。これに対して、読売記者は終始、関連質問が出来ないというルールに納得できない様子で、これに対して上杉氏が激高。
「ルール違反しないでっていってんの。そんだけ。一点だけ。それをするなって言ってるだけだよ。簡単だろ?おんだらぁ。なめてんのか、この野郎。ガキ。おい。一点だけ守れって言ってんだ。社会人として」
なとど発言。読売記者が
「ただ一般に言うと、例えば民主党の記者会見だと、上杉さんもこの間批判されてたけど、司会者の司会が非常に不当な場合もあるじゃないですか」
と反論すると、上杉氏は
「ちょっと待て、お前。おれが司会者の指示にしたがっていなかった?この野郎、なめんなよこの野郎。ガキァア」
と色をなした。
辞任に反対するツイートも相次ぐ
なお、この読売記者は、別の協会メンバーの「次回からルール厳守をお願いします」という声に対して、うなづいて会場を後にしており、最後にはルールを守ることに同意したようだ。
翌10月21日には、協会は記者個人に対する抗議文を発表。ただし、記者に対して謝罪を求めるものではなく、
「今後、当会主催の記者会見に参加される場合には、ルールの順守を厳にお願い申し上げます」
と、特に「出入り禁止」という訳でもない。
この翌日の10月22日、上杉氏は「辞表なう」とツイートし、公式サイトで「辞任届」を発表した。サイトに掲載された文章によると、読売記者への「暴言」が「当協会の健全性と信頼性を傷つけるに十分であると判断」したとして暫定代表の辞意を表明。今後は「会の運営のために『一兵卒』として尽力する」としている。
これを受け、辞任届の宛先になっている暫定幹事長で広報担当の畠山理仁(はたけやま・みちよし)氏は、辞任届について
「暫定幹事長預りとします」
とツイート。現時点では保留状態だ。畠山氏は、10月24日午後の時点では
「協会の皆さんで話し合いの場を持った上で決めたい。私一人で決められるものではない」
と、協会内で何らかの合意を得たい考えだ。さらに、結論を出す時期については
「協会のメンバーには忙しい人も多いが、遅くとも今週中には決めないといけないと思っている」
と話している。
ただし、協会メンバーからは、
「ここで辞めたりすると讀賣始め記者クラブの思うツボ」(田中龍作氏)
「こんなことでいちいち辞任とかしてたら、代表何人いても足りないよ、あほ!」(江川紹子氏)
と、辞任に反対するツイートが相次いでおり、協会内の議論が紛糾する可能性もある。