ただ重要なのは、ランキング自体は決して映えない、ヨーロッパの中堅〜下位クラスの国が、あわや初の本戦出場かというほどの戦いを見せたという事実。ポーランド国内の野球インフラは、決して整っているわけじゃない。国内リーグも存在するし、野球専攻コースのある体育大学もあるということだけど、それでも前述したバレーボールやサッカーに比べると、まだまだポーランドにおける野球はマイナースポーツでしかない。今回代表に選ばれた選手たちも、ほとんどがそうした恵まれない環境に身を置いている。それでも、彼らは負けるべくして負けたわけじゃなかった。アントワープラウンドの中では、彼らは間違いなく「ストロー」だったんだ。

 現在の中東欧勢を見ると、2013年WBCの予選にも出場するチェコを筆頭として、以下クロアチア、ロシア、ウクライナという勢力図が出来上がっている。ただ、ロシアは今年ヨーロッパカップに出場した、モスクワ・ノーススターズが全敗。ウクライナも、昨年のヨーロッパ選手権本大会で惨敗を喫しており、旧ソ連勢の二強は低迷状態にある(ロシアは、来年の本大会に出場することになってはいるけれど、同組になったのがウクライナとベラルーシだったこともあり、組み合わせに恵まれた感も強い)。それゆえ、今後ポーランドがこの地域において、台頭してくる可能性は決して小さくないように思う。

 アントワープラウンドでは、これまた2勝2敗の成績だったスロバキア(54位)も、なかなか光る存在だった。こうしたクラスの国々が、今後いかにして力をつけて、現在の勢力図を塗り替えるのか。チェコの1人勝ち状態になりつつある中東欧球界をかき回し、活性化し、盛り上げていく役割を果たしていけるかどうか、今後も末永く注目していきたいと思う。