8日のチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦セカンドレグで2ゴールをあげ、昨年につづきアーセナルを粉砕したバルセロナのリオネル・メッシ。とくに相手GKをトリッキーな足技で抜いてマークした先制ゴールは圧巻だった。

 わずか23歳にして2度のバロンドールを受賞、これからも数々の伝説を生みそうな怪物に、かつてのウルグアイ代表で、アルゼンチンのリバープレートで2度の得点王に輝いたエンソ・フランチェスコリ氏は、フランス・フットボール誌上で「マラドーナを超えた」と賛辞をおくった。

 そんな史上最高クラスのスーパースターを引き抜こうと試みたクラブがあるという。ラ・モンターニュ紙によると、それはチェルシーでもACミランでもなく、フランスのFCボルヌ。

 フランスでも耳慣れない名前だが、それもそのはず、オーベルニュ地方リーグの2部に所属するアマチュア・クラブだ。全国レベルだと「15部」に相当する。それでも同クラブの会長は“ダメもと”でバルセロナへのオファーレターを提出した。

 ところがオファーはメッシのもとに届くことはなかった。当然といえば当然だが、フランスサッカー連盟(FFF)が「悪質な冗談」として阻止したためだった。加えて、会長はFFFの地方委員会から6ヶ月の活動停止(うち3ヶ月は執行猶予)の処分を受けた。

 この小さな“事件”を機に、はたしてメッシの価値はいくらになるのだろうかという話題になった。これまで移籍金の最高額は、2009年夏にマンチェスター・ユナイテッドからレアル・マドリーに移籍したクリスティアーノ・ロナウドの9400万ユーロ(当時のレートで約128億円)。

 ドイツの移籍市場専門サイト「トランスファーマルクト」によると、メッシの評価額はこれを上回る1億ユーロ(現在のレートで約114億円)となる。先のアマチュア・クラブは、億の大台を突破する世界唯一の選手にオファーを出そうとしたのだから、「詐欺的行為」と見られても仕方がない。