8日に行われたチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦、バルセロナ対アーセナル。1回戦の目玉といえる対戦のひとつで、スコアで見ればそれにふさわしく、バルセロナがあと1点少なければ延長戦、アーセナルにあと1点入ればバルサ敗退、というギリギリの結果だった。

 しかし内容で見ると、セカンドレグはバルセロナが圧倒。それもそのはず、アーセナルは残り40分近くを10人で戦わなければならなくなった。後半11分、アーセナルは相手のオウンゴールで同点に追いついた矢先に、エースのファン・ペルシの退場という試練を強いられた。

 ファン・ペルシの2枚目のイエローカードは、オフサイドのホイッスルを“無視”してプレーをつづけたのが理由。カードを受けた本人は、耳と観客席を指差すジェスチャーで、笛が聞こえなかったことをアピールしたが、判定が覆るはずはなかった。

 ファン・ペルシは試合後、フランス通信(AFP)に「自分の退場が試合結果に大きく響いた。9万5000人が大声を出す中で、どうして笛の音が聞こえるというんだ?」と怒りをあらわにした。

 アーセナルのヴェンゲル監督にとっては「悪いジョーク」。「主審の判定は信じがたい。正直言って、これほど重要な試合でああいうジャッジをするとは。これは私にとって、そしてサッカーを愛するすべての人々にとって残念なことだ。審判がもっと冷静に判断を下せなかったことを残念に思う。彼は試合を“殺した”んだ」と未練たっぷりに振り返った。

 一方のグアルディオラ監督は、ヴェンゲル監督の反応を「同じ監督として理解できる」としつつも、「現実を見れば、彼らはパスを3本つなげることもできず、1本もシュートを打てなかった。我々が並外れた試合をしたからだ。我々は11人が相手のときもいいプレーをしていた。10人になってもっとよくなったというだけだ」と相手を圧倒した内容を強調した。

 第三者の意見としては、レキップ紙の解説委員が双方の言い分と通じる見解を示している。すなわち、ファン・ペルシの「笛が聞こえなかった」という主張の真偽はともかく、その可能性がまったくないわけではない状況からして、主審の判断力に疑問を抱かざるを得ない。しかしバルセロナが68%という圧倒的なボール支配率で勝利に値する試合をした事実は動かしようがなく、数的不利の影響はもちろん無視できないとはいえ、試合を通じてアーセナルの“攻撃不在”は明らかだった。