フランスが9日、今年最初の国際Aマッチにブラジルを迎えた。この日はナイキの新ユニフォームを着用して臨む初めての試合。不調に終わった2010年を完全に過去のものとし、新生フランスを印象づけるためにも重要な第一歩だ。

 その期待を抱いて押し寄せた観客で満員のスタッド・ド・フランスだったが、残念ながらラグビー5ヶ国対抗フランス対スコットランド戦の直後で、ピッチは荒れた状態。ブラジルは序盤にパスをつないで攻め立てたものの、得点につなげることはできなかった。

 スペースを突かれたことに危機感をもったフランスは、徐々に中盤でアグレッシブにボールを奪いにかかり、試合は親善試合らしからぬ熱を帯びはじめる。前半終了間際には、激しいボールの奪い合いに冷静さを欠いたブラジルMFエルナネス(ラツィオ)がフランスFWベンゼマ(レアル・マドリー)の胸部に危険なハイキック。一発退場となった。

 後半に入って10分、数的不利で動きの悪くなったブラジルの左サイドをメネズ(ASローマ)がドリブルで突破すると、ファーサイドからゴール前へ走り込んだベンゼマに絶妙なグラウンダーのセンタリング。ベンゼマが難なく押し込み、これが決勝点となった。

 これでベンゼマは代表戦ここ5試合で4ゴール目。フランスのエースストライカーの座をがっちり確保している。試合後ベンゼマは「うまく結果につながっている。チームメイトの仕事のおかげ。今夜はジェレミー・メネズが最高のパスをくれた」と晴れ晴れとした表情で語った。

 代表での好調の理由について、「以前より努力をしているから?」と問われたベンゼマは、「うん、たぶん。でもやはり出場機会が増えたのが大きな違いだね」と答え、ブラン監督からの信頼が自信につながっていることを仄めかした。

 リヨン時代はクラブでの好調が代表では発揮できないとたびたび指摘されたベンゼマ。いまはそれが逆転している。マドリーでもモウリーニョ監督の信頼を勝ち取り、代表とクラブの相乗効果でさらに向上できるかがカギとなる。