ワールドカップ決勝で、アンドレス・イニエスタは決勝点となるゴールを決めるとすぐに、青いユニフォームを脱いで下に着た白いＴシャツに書かれた文字を示した。そこには、「ダニ・ハルケ、いつも僕らと一緒だよ」とあった。

ハルケはエスパニョールの主将に任命されたわずか１カ月後の昨夏、プレシーズンのイタリア遠征の前に急死した。イニエスタとハルケは、U−17、Ｕ−19、Ｕ−20、Ｕ−21とスペインの年代別代表でチームメートだった。

「ダニと一緒にいたかったんだ。彼を追悼するのに、これが最高のチャンスと思ったんだ」

イニエスタがこう話した直後、セスク・ファブレガス、ジェラール・ピケ、カルレス・プジョルが手に手にビールを持って会見場に乱入。「おまえは最高！」とチャントを始めると、イニエスタは満面に笑みをたたえた。

決勝点となったゴールについて、「まだ信じられないよ。チームにとってとても大事なあのゴールを決める機会を得たんだ。こんなすごいことってあるんだ。僕はただチームのために小さな貢献をすればよかった」と語る。「試合が終わった時、いろいろ苦労したことが頭の中をかけめぐった。でも、フットボールは時々ご褒美をくれるんだ。この瞬間、僕はとてつもない幸せを感じている」

それまで５得点を挙げながら、決勝では無得点に終わったダビド・ビジャは、「難しい試合だったね。オランダは守備を固めて、ゴール前に行かせてくれなかった。僕らにチャンスはあったけど得点に結びつけられず、彼らにもチャンスはあった。最後に、僕らの"聖アンドレス"が決めたゴールで、僕らは世界チャンピオンになれたんだ」と、チームメートを称えた。



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