米国で“謎の動物”の死体発見? メディア巻き込んだチュパカブラ騒動。

写真拡大

世界的に知られる未確認動物のひとつ、チュパカブラ。スペイン語で「ヤギの血を吸う者」という意味のチュパカブラは、その名の通り家畜や人間を攻撃した例もあり、これまで米国や南米諸国を中心に目撃情報が寄せられてきた。また、たびたび“チュパカブラの死体”発見の一報がメディアを賑わせてきているが、いずれもオオカミやコヨーテの変種の可能性が高く、それがチュパカブラだと断定するには至っていない。そしてこのほど、米テキサス州で鶏を襲おうと罠にかかって殺された動物が、異様な姿から「チュパカブラか」と話題となり、米放送局ABCやCNN、米紙ロサンゼルス・タイムズ、英紙デイリー・テレグラフなど、多くのメディアが報道している。

ABC系列のKTRK-TVによると、この動物を見つけたのはヒューストン近郊のローゼンバーグに住むリン・バトラーさん。剥製の学校に通うバトラーさんは3か月前、いとこから謎の動物の写真を見せられたという。この動物は「いとこの家で飼っている鶏が盛んに襲われるため、倉庫に毒を仕掛けたところ、翌日動物の死体が発見された」(ロサンゼルス・タイムズ紙より)なのだそう。いとこは動物の死体を捨てようとしたものの、バトラーさんがそれを止め、剥製にすることを決めたという。

バトラーさんは、3か月間動物を冷凍保存して学校に持って行ったところ、学校の先生も動物の正体が分からず、騒動に発展したようだ。剥製学校の経営者ジェリー・エアーさんは、年に15〜20匹のコヨーテを剥製にするそうだが、それでもこの動物が「コヨーテには見えない」と首をかしげる。

エアーさんが注目したポイントは2つ。普通のコヨーテに比べて足が長い点と、体の大部分に毛が生えていない点だ。特にこの動物の毛は「毛皮の靴下のような」足の部分と、背骨の上に少しだけある程度で「非常に奇妙に見える」。その上でエアーさんは「奇形で生まれたコヨーテか、遺伝子が突然変異した雑種では」との見解を示している。

また、バトラーさんは、やはり毛がない点に「違和感を感じる」(KTRK-TV)と語り、エイヤーさんの考えに加え「(皮膚感染症の)疥癬にかかったコヨーテかもしれない」と推測。いずれにせよ、その動物を見た人が普通のものではないと感じたのは間違いないようだ。

現在、この動物を保管しているエアーさんのもとには、テキサス大学とカリフォルニア大学デービス校から、研究のために組織サンプルの提供依頼が届いている。ロサンゼルス・タイムズ紙は「この2つの大学が、この動物が何であるか特定するかもしれない」と伝え、エアーさんもこの依頼に応じる考えだ。

一方、米ニュースサイトのイグザマイナーは「テキサスでチュパカブラが見つかった?」との見出しでこの話題を伝えながらも、今回の謎の動物をチュパカブラとする見方に懐疑的。「2本足で立ち、飛ぶように長い距離をジャンプし、尾にはトゲのような突起物があるというプエルトリコの報告例と特徴が異なる」と指摘している。

これまで多くの目撃例から、いろいろな特徴が報告されているため、その姿には諸説あるチュパカブラ。今回の動物が新種なのか、単なる変種なのか、2つの大学の研究結果が待たれる。