昨年ブラジルで1000個の風船を使って長時間飛行の世界記録に挑戦した人が遭難して死亡した。彼は死後世にも不謹慎な賞を受賞した。記録を更新したわけでもないのに彼が貰った賞とは果たして何なのか。

その賞とは、「持ち前の愚かさによって間抜けな死に方をしたり、生殖能力を失った人を、不出来な遺伝子を後世に残さないことにより人類の進化に貢献した」として表彰するダーウィンアワードだ。

この事件は、昨年4月20日にブラジルで起こった。カソリックの司祭であるカルリ氏(41)は、1000個のヘリウム入り風船を椅子につないで飛び立った。カルリ氏はこの日のために周到な準備をしていた。サバイバルスーツを着込み、洋上に落ちた時のために浮力のある椅子を選び、衛星電話とGPSの装備も万全だった。

いざ飛び立ってみると、風向きが変わり風船気球を洋上へ吹き流した。地上にパラシュート着陸する手もあったが、彼はそうしなかった。彼にはどうしてもこの飛行を成功させる必要があった。それは19時間という風船飛行の世界記録を更新することで得た金を重労働に従事する人たちを癒す休憩所を作るために使おうとしていたからだ。

洋上で風船気球が消息を絶つと、カルリ氏はレスキュー隊に緊急電話を掛けた。レスキュー隊はGPSで現在地を伝えるように言った。準備万端のはずのカルリ氏だが、一つだけ致命的なミスがあった。彼は積み込んだGPS機器の扱いを全く知らなかったのだ。三ヶ月後、大方の予想通り彼の遺体が海岸で発見された。

ちなみに2008年度のダーウィンアワードにノミネートされた例としては他に、線路内で立ち往生したポルシェを救うために両腕を振りながら電車に向かって走り轢死した人、胸のボディピアスに電気機器の電極をつないで感電死した人、新月の夜にバイク二台にそれぞれ二人乗りしてノーヘル、ノーライトで暴走し互いに衝突した四人。猟銃を逆さまに持って振り回し、暴発した弾で死亡した人、園芸用のポピー(ケシ)の種を麻薬と勘違いして煮詰めた上、静脈注射した人など。

リラックスしようとしても思うようにリラックスできない人が増えている現代社会では、彼らのような無謀でスキだらけの人たちにこそ見えにくい存在価値があるようにも思えるので、何とか生還して末永く楽しませてもらいたいところだが無謀にも限度というものがあるようだ。

(編集部:こてつ)

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【参照】
Darwin Awards.com