麻生首相の度重なる失言と政策の迷走によって、麻生内閣の支持率が20%台前半まで急落した。麻生内閣は求心力を急激に失い、自民党内から麻生内閣の政権運営や政策に対する批判が噴出している。

 今回はまず、なぜ麻生首相が苦境に陥ったのかについて論じる。それは単に失言や政策の迷走というより、麻生首相の就任直後の初動の誤りにあると考える。次に、麻生内閣批判が「反麻生」の動きとなっていくのかと、その鍵を握る政治家についても書いてみたい。

 この連載では、10月の時点で麻生内閣が苦境に陥ると見ていた。第8回では、与党議員に「選挙の顔」だと期待させて総裁選を勝ち抜きながら、景気・金融危機を自分の手で解決したいと欲を出し、国対委員会での早期解散の与野党合意を反故にした、麻生首相の行動の稚拙さと戦略性の欠如を指摘した。そして、それは与党議員をパニックに陥れ、民主党を激怒させて、麻生内閣を「死に体」に陥らせると論じた。

 また、第9回では、今後「世代間闘争」が政局の新たな対立構図になると書いた。10年前の金融国会で活躍しながら、不遇を囲っていた若手・中堅議員が復活するきっかけを得ると考えたからだ。

 こうして振り返ってみると、麻生首相が就任前後の初動を誤った時点で、今日の迷走の芽が生じていたと言える。

 次に、自民党内の麻生政権批判の動きを見ていく。中川秀直元幹事長・渡辺喜美元行政改革担当相・塩崎恭久元官房長官・小池百合子元防衛相らがつくる「生活安心保障勉強会」。今後、本格的な「反麻生」の動きとなるのかが政局の焦点である。

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