10日にスタッド・ド・フランス(パリ郊外サンドニ市)で行われたW杯予選の第2戦で、フランスがセルビアを2−1で下し、勝てなければ辞任の可能性が高まったドメネク監督が当面、更迭を免れた。

 レキップ紙によると、もしセルビア戦で勝てなかった場合は、フランス・サッカー連盟(FFF)のエスカレット会長が試合後に緊急の幹部会を招集する予定だった。最悪の事態を逃れたドメネク監督は、同紙に「ホッとした」と語ったが、「想像していた通りのことをチームがやってくれた」と付け加え、自らの首がつながった安堵ではないと思わせるよう努めていた。

 まだ安心できる状態にないことは本人がいちばんよくわかっている。監督の座を死守したとはいえ、首の皮一枚。ユーロ2008のグループリーグ敗退にもかかわらず続投を許されたドメネク監督には、W杯予選最初の3試合で勝ち点5ポイントをあげることが条件づけられている。初戦が勝ち点0に終わったため、次のルーマニア戦(10月11日)にも連勝しなければならない。

 加えて、メディアやサポーターの“ドメネク・バッシング”が収まりそうにないことも監督の立場を微妙にしている。最上階がガラ空きという異例の事態に見舞われたスタッド・ド・フランスには、試合前のメンバー発表でドメネク監督の名前がアナウンスされるや、大ブーイングが鳴り響いた。フランスが先制点をあげたときですら、監督の顔が大画面に映し出されると“ドメネク辞任!”のコールが響き渡った。

 ドメネク監督は、試合後の会見で外国人記者から「得点したときに、選手があなたと喜びを分かち合わなかったのはなぜ?」と質問を受けると、「(フランス語で質問されたにもかかわらず)セルビア語はわからない。次の質問は?」と苛立ちをあらわにした。観客に浴びせられたブーイングについても、「試合に集中していたので聞こえなかった」とかわしている。

 “ドメネク・バッシング”にはFFFも神経をとがらせている。レキップ紙によると、ゴール直後にドメネク監督の顔がアップで映し出されたことに苛立ったFFFの広報担当が、TF1局の中継スタッフに激しく詰め寄る場面も見られたという。観客のブーイングを招くことがわかっていながら、という言い分だろうが、八つ当たりと言わざるを得ない。