マンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督が、ビデオ判定の導入を声高に訴えた。

 FAカップのポーツマス戦(27日)で2−1の勝利を収めたマンU。しかしこの試合では、前半にDFネマニャ・ヴィディッチのゴールが取り消され、FWヘンリク・ラーションがアクロバティックなボレーシュートで決めたゴールはオフサイドと判定されるなど、明らかな誤審が続いた。これについて、ファーガソンは試合後、クリケットやラグビーなどと比較し、今こそサッカー界が新技術を受け入れる時だと熱弁を振るった。

「私はクリケットやラグビーのファンではないが、これらのスポーツが判定の精度を上げるために、時間をかけて変化を受け入れてきた事実については認識している。サッカー界も、こういった事実に耳を傾けるべきだ。サッカー界には新技術の導入を何としても阻もうとする力がつねに働いている。しかし、巨額の金が動くこの世界では、判定の重要度が増し続けている。ひとつの判定が、タイトルや降格などを決定づけてしまうこともあり得るのだ」

 さらに、この老将は、ドイツ・ワールドカップの決勝戦を例に挙げ、必要に応じてビデオ判定が採用されている実態を鋭く批判した。

「ワールドカップの決勝で、ジネディーヌ・ジダンが退場になったシーンでは、第4審判がTVでリプレイをチェックしていたのは恐らく間違いないはずだ。つまり、状況に応じて、ビデオ判定を取り入れているというわけだ。しかし、99パーセントのケースでは、ビデオには目もくれない。ボールがゴールラインを越えたかどうかといった判定であってもね」

 現在65歳ながら、マンチェスター・ユナイテッドをプレミアリーグの首位に導いているファーガソン。反対の声も多いビデオ判定の導入を熱心に訴えかけ、最後に「ビデオ判定はいずれ導入されるだろう。私の生きている間には実現しないかもしれんがね」と語った老将は、プレミア最高齢監督ながら、他のどの監督よりも勝負にこだわる男なのかもしれない。