医療費は「カード払い」で一挙両得の裏技
※本稿は、「プレジデント」(2018年12月31日号)の掲載記事を再編集したものです。
▼1万円お得に!(※)
入院費用はカードで払うのがベスト
※入院費100万円をクレジットカード(還元率1%)で払った場合
■クレジットカードが使える病院が増えた
手術や入院となると、健康保険が適用されても患者の一部負担金は相当なものに。例えば、医療費が100万円なら、3割負担で30万円。病院から突然、高額の医療費を請求されても、すぐには用意できない場合もある。だが、健康保険には高額療養費という制度があり、これを利用すると医療費の自己負担額は低く抑えられるのだ。
「高額療養費は、医療費が家計に過度な負担にならないように、1カ月に患者が支払う自己負担分の上限を設けた制度。1カ月の限度額は年齢や所得により決まっており、70歳未満の人は5つの所得区分に分類されています。例えば、70歳未満で年収約370万〜約770万円の人の限度額は、『8万100円+(医療費−26万7000円)×1%』。1カ月の医療費が100万円かかった場合は、8万7430円が限度額です」(医療分野に詳しいフリーライターの早川幸子氏)
ただし、病院では患者の所得区分がわからないので、以前は窓口でいったん3割分を支払った後で、健康保険組合に申請して高額療養費との差額を払い戻してもらっていた。後から払い戻されるとはいえ、病院への支払いのためにまとまったお金を用意しなければならず、資金繰りに悩む患者も多かった。そこで、つくられたのが「限度額適用認定証」だ。
「『限度額適用認定証』は、患者の所得区分を証明するもので、病院の窓口で提示すると、患者が支払うのは高額療養費の限度額まででよくなり、従来のような払い戻し手続きが不要になります」(同)
限度額適用認定証の申請先は、国民健康保険、協会けんぽ、組合健保といった各健康保険の窓口。入院してから申請しても「ひと月あたり」が単位となるので、限度額適用認定証を病院に提示した月すべての医療費が対象となる。ただし、入院時の食事代は自己負担限度額の対象外なので注意しよう。
「もし大手企業に勤めていて健康保険に付加給付があるなら、民間の医療保険に加入する必要がないほど手厚い給付を受けられるので心配いりません。従業員700人以上の企業が国の認可を受けて独自に運営している組合健保(組合管掌健康保険)の中には、法律で定められた健康保険の保障に加え、独自の保障を上乗せする付加給付があるところも多いのです。なかには、1カ月の医療費が何百万円かかっても、自己負担限度額は2万円という組合もあります」(同)
高額療養費は医療費の負担を低く抑えられるが、お金に余裕のある人の中には、あえて利用せずクレジットカードを使うことで家計費の節約をする強者もいるそうだ。
「大きめの病院ではクレジットカードがかなり使えるようになっています。高額療養費を使わずに、病院から提示されたそのままの金額をカードで支払えばたくさんのポイントがつきます。その後、健保組合に高額療養費申請をして払い戻しも受ければ、一挙両得というわけです」(同)
医療費とは別に、健康保険が適用されないために入院費用を押し上げるものの1つが差額ベッド料。大部屋ではなく個室など特別な環境の部屋を希望した場合にかかる上乗せ料金だ。一般的な費用に比べ、数千円から数万円ほど高い。
「ただし、患者が希望していないのに差額ベッド料がかかる部屋を利用した場合は、本来は支払う必要はありません。なのに、差額ベッド料をめぐるトラブルは後を絶たないのです」(同)
立場の弱い患者としては、同意書にサインしてしまいがち。こういったトラブルに対し、公的機関などに相談窓口がある。納得いかない場合は相談を。
結論:カードが使えるか、入院前に確認しよう
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(小澤 啓司 撮影=永井 浩 写真=PIXTA、iStock.com)