四大陸選手権で逆転優勝を飾った紀平【写真:Getty Images】

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ライバルの大国ロシアも脚光「キヒラはザギトワの道を歩む」

 フィギュアスケートの四大陸選手権でショートプログラム(SP)5位から大逆転Vを飾った紀平梨花(関大KFSC)。SPから圧巻の逆転劇で国際大会5連勝を飾り、3月に行われる世界選手権(埼玉)に向けて期待が高まる結果となったが、その世界一決戦でライバル選手を多数抱えるロシアのメディアも「自分の蓄えているものをすべて使わなくても、彼女は勝利する」と称賛している。

 アナハイムで演じた逆転劇のインパクトは、大国ロシアにも轟いていた。「キヒラはザギトワの道を歩む」と見出しを打って特集したのは、ロシア紙「スポルトエクスプレス」だった。「フリープログラムの女王」との小見出しが記された記事では「キヒラは大会の主要な本命と考えられていて、彼女はこのステータスを証明した」と期待通りに優勝を飾ったと振り返っている。

 紀平が今季の国際大会全勝であることを紹介。「これに関して、再びすべてがよく知られたシナリオの通りとなった」とした上で「あまりうまくいかなかったSPの後にフリーで一番強力な演技を見せる。彼女はおかげで(SPの)負けを取り返すだけではなく、すべてのライバルを遠く後方へ置き去りにする。これはまさにアリーナ・ザギトワのシニアシーズン1年目の前半と同じ展開だ」

 ザギトワはチャレンジャーシリーズからGPシリーズ2戦、GPファイナルとすべて逆転V。フリーで発揮する無類の強さを平昌五輪女王になぞらえて称賛していた。さらに「キヒラが見事にフリーを滑り切って証明したのは、彼女は3回転アクセルを(2本から)1本にしたのに、それを非難の余地のないくらい見事に跳び、ジャッジから多くの出来栄え点を獲得したことだ」と称えている。

難度を落としても勝てる強さ「蓄えをすべて使わなくても彼女は勝利する」

 3回転アクセル2本を回避した理由については左手薬指の負傷の可能性を挙げる一方で「もしかしたら、合理的な計算をして余計なリスクを負うのに気が進まなかったかもしれない。あるいは、リンク上で直観的な決断だったかもしれない」と言及。「いずれにせよ、キヒラの強さのストックはとても大きい。自分の蓄えているものをすべて使わなくても、彼女は勝利する」と記した。

 3回転アクセルを減らし、あえて難度を落としても勝てる16歳の非凡さを称賛した上で「残りのすべてのスケーターが(フリーで)申し分ない演技をしていたとしても、キヒラがチャンピオンになっていたかもしれない。(彼女の)より難しいプログラムの内容のために」と記述。他の選手がベストの演技をしても紀平の優勝は揺るがなかった可能性が高いと終始高い評価を与えていた。

 ロシア勢の世界選手権代表は発表されていないが、ザギトワのほか、欧州選手権女王サモドゥロワ、今季復調したトゥクタミシェワ、平昌五輪銀メダリストのメドベージェワら、強力選手がズラリ。3月に行われる世界選手権で最大のライバルとなり得る紀平の強さに熱視線を寄せている。(THE ANSWER編集部)