「片づけが苦手」だと“発達障害”? 昨今よく耳にするようになった理由
最近、“発達障害”という言葉をよく見聞きしないだろうか。発達障害とは、脳機能の生まれついた発達の偏りによるもの。2000年に日本で発売されたアメリカのベストセラー『片づけられない女たち』ではADD(注意欠陥障害)が取り上げられ、ここから日本でも発達障害という言葉が広まっていった。この本では「片づけが苦手なことは性格の問題ではなく、障害の可能性がある」と主張している。
「ゴミ屋敷に近いほど家が散らかっている」となると、明らかに不健康のように感じられるが、片づけが苦手だという人自体は少なくない。部屋が汚い、仕事場のデスクの上がゴチャゴチャしている、ということは男女ともにありがちだ。片づけが苦手なことに悩んでいる人もいるが、それは発達障害のせいなのだろうか。27日発売の『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)などの著書があり、自身も発達障害の当時者であるフリーライター・姫野桂(ひめの・けい)さんに話をうかがった。
「片づけが苦手なことが発達障害であると断定はできませんが、その可能性はあります。ADHDの特性により優先順位をつけることが難しいため、必要なものとそうでないものの区別がつかない、というのが一番の要因として挙げられます。また、次から次へと興味が移ってしまう特性を持つ人は、片づけの途中で別のものに目が行ってしまい、よけいに散らかってしまうというケースも。また、ジェンダーの背景から、女性の場合は、男性と比べて『片づけができない=だらしない』とより思われてしまいやすい生きづらさがあります」
「片づけが苦手=発達障害」と簡単に断定することはできないが、可能性はあるという。そもそも、最近はNHKで特集が組まれるようにもなったが、かつて発達障害の人はいなかったのか。それとも世間で認識されていなかったのだろうか。その点も姫野さんに聞いた。「発達障害の特性を持つ人は昔からいましたが、よりコミュニケーション能力を求められる時代になり、可視化されてきただけだと思います。バブル期なら仕事ができない人も窓際族としてお給料をもらえていたけれど、不景気になって最初にクビを切られたのは、(発達障害の特性も含め)仕事ができない人たちだったと、取材した精神科医に聞きました。また、病気ではなく障害なので、治ることはありません」
それでは、冒頭の「片づけができない」ということ以外に発達障害の可能性がある特性には、何があるのだろうか。「『仕事で同じミスを何回も繰り返す』『昔から“空気が読めない”と言われる』『いくら注意しても遅刻や忘れ物をする』こういった特性を持つ人が、自分の悩みは発達障害ではないかと思い、専門外来に行くケースが急増しています。ただ、それでも発達障害だと診断されるとは限らないですし、特性はその人によって本当にさまざまですね」
自分が発達障害ではないかと思ったときには、自己判断で決めつけずに、専門外来に行き専門家の判断を仰ぐことが大切であることは間違いないだろう。
コメント:姫野 桂(ひめの けい)
著書
『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)https://amzn.to/2L9Dl1o
『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)https://amzn.to/2QGcqj5
「片づけが苦手なことが発達障害であると断定はできませんが、その可能性はあります。ADHDの特性により優先順位をつけることが難しいため、必要なものとそうでないものの区別がつかない、というのが一番の要因として挙げられます。また、次から次へと興味が移ってしまう特性を持つ人は、片づけの途中で別のものに目が行ってしまい、よけいに散らかってしまうというケースも。また、ジェンダーの背景から、女性の場合は、男性と比べて『片づけができない=だらしない』とより思われてしまいやすい生きづらさがあります」
「片づけが苦手=発達障害」と簡単に断定することはできないが、可能性はあるという。そもそも、最近はNHKで特集が組まれるようにもなったが、かつて発達障害の人はいなかったのか。それとも世間で認識されていなかったのだろうか。その点も姫野さんに聞いた。「発達障害の特性を持つ人は昔からいましたが、よりコミュニケーション能力を求められる時代になり、可視化されてきただけだと思います。バブル期なら仕事ができない人も窓際族としてお給料をもらえていたけれど、不景気になって最初にクビを切られたのは、(発達障害の特性も含め)仕事ができない人たちだったと、取材した精神科医に聞きました。また、病気ではなく障害なので、治ることはありません」
それでは、冒頭の「片づけができない」ということ以外に発達障害の可能性がある特性には、何があるのだろうか。「『仕事で同じミスを何回も繰り返す』『昔から“空気が読めない”と言われる』『いくら注意しても遅刻や忘れ物をする』こういった特性を持つ人が、自分の悩みは発達障害ではないかと思い、専門外来に行くケースが急増しています。ただ、それでも発達障害だと診断されるとは限らないですし、特性はその人によって本当にさまざまですね」
自分が発達障害ではないかと思ったときには、自己判断で決めつけずに、専門外来に行き専門家の判断を仰ぐことが大切であることは間違いないだろう。
コメント:姫野 桂(ひめの けい)
著書
『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)https://amzn.to/2L9Dl1o
『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)https://amzn.to/2QGcqj5