『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』キャスト陣がガン監督の支持と再雇用を求める嘆願書を公開
映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(GOG)シリーズのジェームズ・ガン監督がディズニーに解雇された件につき、同映画のキャスト陣が連名で、監督の全面的な支持および再雇用を求める公開書簡を発表しました。

ガン監督は、2008年から2012年頃の小児性愛やレイプに関する不適切なツイートが複数発掘され、これを受けてディズニーのアラン・ホーン会長はすぐさま声明を発表しています。

「ジェームズの過去ツイートに見出された攻撃的な言動は弁護しようがなく、我々のスタジオの価値観と一致するものではない。よって彼とのビジネス関係を断ち切った」として、2020年に公開予定だったGOG第3弾をクビにしていました。
GOGシリーズの俳優たちは、各人のSNSにて公開書簡を発表。クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、ブラッドリー・クーパー、ヴィン・ディーゼル、カレン・ギラン、ショーン・ガン、デイヴ・バウティスタ、マイケル・クーカー、ポム・クレメンティーフの9名で、ほぼオールキャストです。

同書簡では「ガン監督を全面的に支持します」と宣言した上で、突然の解雇に驚き、人々の意見を聞き、10日間話し合ってきたこと。そしてガン監督によるGOG3を望むファンとメディアの応援に勇気づけられたことや、彼にまつわる奇怪な陰謀論を簡単に信じる人々に失望したと語られています。

さらにガン監督の不適切な発言を擁護はしないが、解雇に当たって示された彼の人柄は撮影現場での姿と同じであり、謝罪は心からのものであったと信じること。そして「罪を贖おうとするはみ出し者たちの物語を助けることで、私達の人生も永遠に変りました。贖罪というテーマが今ほど重要な時はないと信じています」と述べています。

GOGシリーズを大ヒット作に育て上げたガン監督は、今後のマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の構想にも参加しており、全世界のファンに走った衝撃も計り知れませんでした。

その後、GOGでドラックスを演じているデイヴ・バウティスタは解雇に対する不快感を表明し、「サイバーナチスに攻撃されたらどうする?誰が一緒に支えてくれる?誰が怖がって距離を置く? 何百万人も応援してくれてるというのに、誰が過去の酷いジョークを罰するというんだ?」などのツイートを投稿。
ほか、スターロード役のクリス・プラットは、新約聖書の言葉を引用して「もし1つの家が2つに分かれて争えば、立ち行かなくなるだろう」とツイートするなど、各キャスト陣はそれぞれに人々に呼びかけていました。
今回の書簡では、アメリカ国内での党派的な対立の激化についても言及。「世論という裁判所には、適正な手続きがほとんどありません。ジェームズは、裁判にかけられる最後の善き人ではないでしょう。この国の政治的分裂が深刻化するかぎり、このような例は続くでしょうが、左右両極の対立が人格攻撃を和らげ、群集心理を武器にしないことを願います」と訴えかけています。

単なる映画監督の解雇や、人気アメコミ映画シリーズの行く末を超えて、アメリカのポリティカル・コレクトネスと「過去を悔いた人々への寛容さ」が問われているとも思える今回の騒ぎ。不当な言動に傷つけられる人々の救済と、政治的対立からのクリエィティブの保護を両立し、誰もが幸せになれる決着を望みたいところです