コロンビア戦直後の渋谷スクランブル交差点の様子(香波さん撮影)

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サッカー・ロシアW杯では、日本代表戦の直後、東京・渋谷のスクランブル交差点に勝利に沸くサポーターがなだれ込む「お祭り騒ぎ」が繰り返されている。

だが、多くの群衆が喜びを爆発させた喧噪の中で、ツイッターには「痴漢に遭った」と訴える女性の姿も目立った。コロンビア戦の日、たまたま仕事で渋谷を訪れていたグラビアアイドル・香波(かなみ)さんもその1人だ。

たった数分間その場に居ただけで、何度も尻を触られたり、スカートをめくられたりしたというのだ。こうした被害について、香波さんは何を思うのか。J-CASTニュースが、本人に話を聞いた。

数分間で何度も痴漢被害に

青いユニフォーム姿の群衆が渋谷の交差点を埋め尽くす様は、すでにW杯の日本戦後にはお馴染みとも言える光景だ。メディアの報道では、こうしたサポーターの熱気が好意的に伝えられることも少なくない。

だが、その裏ではトラブルも続発している。過去には、地下鉄出入り口の屋根に上った若者が転落する事故や、痴漢での逮捕者も出ている。報道によれば、コロンビア戦があった2018年6月19日夜には、数百人の警官が動員され警備に当たったという。

実際、直後には、ツイッター上にも「スクランブル交差点付近やばすぎて 痴漢はんぱない」「ブラのホックはずされそうになりました...」といった報告が相次いでいた。

グラビアアイドル、レースクイーンとして活躍する香波さんも被害に遭った。同日23時過ぎ、渋谷での仕事を終えた香波さんは、帰宅のため道玄坂方面からJR渋谷駅へ向かっていた。

だが、当時はコロンビア戦が終わった直後。スクランブル交差点で香波さんを待ち受けていたのは、勝利に喜びを爆発させる大量の代表サポーター達だった。

そこで香波さんは、人混みを避けるため交差点を迂回。井の頭線の方面をぐるっと大回りし、JR渋谷駅へと向かったというのだが――その移動中の数分間に、何度も痴漢に遭ったというのだ。

このときの体験を、香波さんは翌20日未明に更新したツイッターで、次のように報告している。

「ミニスカート履いているわけじゃないのにめちゃくちゃ沢山の人に痴漢とスカートめくりされたの初めてです...日本代表が勝って嬉しいのは分かるけど、テンション上がったら何してもいいって訳じゃないからな」

警察に相談も「諦めてください」

香波さんによれば、痴漢をしてきた「犯人」のほとんどは、人混みに紛れて姿が確認できなかった。ただ、伸ばしてきた腕を掴むことのできた相手が1人だけいた。その男性はすぐに逃げ出したが、日本代表のユニフォームを着ていたことは確認できたという。

結果として、この日香波さんは無事に帰宅した。渋谷を離れる前には、駅前の交番を訪れて痴漢の被害に遭ったことを相談したというが、対応した担当者から返ってきたのは、

「これだけの人数ですので、対応することは難しいです。しょうがないと思って、諦めてください」

との言葉だったという。こうした警察の対応について本人は、

「確かに、あれだけの人数がいたら仕方がないっていうのは自分でも分かっていたんですけど...。でも、あまりに冷たくて事務的な対応で、正直がっかりしました」

と振り返る。

このように、たまたまコロンビア戦直後の渋谷にいただけで、痴漢被害にあってしまった香波さん。だがネット上では、そんな彼女を責めるような反応も寄せられた。先述した被害報告ツイートに対して、

「この時期この時間に渋谷にいったお前が悪いわ サッカーがある時の渋谷はやられる覚悟してください」

との批判リプライが届いたのだ。こうした反応に香波さんは、「やられる覚悟しなきゃいけないだなんて...意味わからないしありえない。そしてこんな事平然と言えるなんて信じられない」と悲しみを露わにしていた。

「自分を責めてしまいました」

香波さんは取材の中でも、自分を責めるような一部ユーザーの反応に、「正直、私はサッカーにあまり詳しくなくて、こういった反応を見て自分を責めてしまいました。知らなかった私が悪いんだって」と話す。

その上で、ネット上では一部のユーザーが、「代表戦後に渋谷へ行けば痴漢ができる」などと冗談めかしてつぶやく動きもあることに触れて、

痴漢の被害に遭った後、実際にそうした投稿を目にしました。ただただ悲しくなりましたし、例え冗談のつもりだとしても、そんなことを呟かないで欲しいです」

と訴えた。

ただ、香波さんは「サポーターの皆さんが集まって騒ぐことは、仕方ないというか、誰にも止められることではないと思います」とも。そして取材の終わりには、次のような思いを語っていた。

「でもやっぱり、場所は考えて欲しいです。何も知らない、ただそこに居ただけの人が不快な思いをするようなことは、あってはならないことだと思います。あと、周りの人が声をかけ合うなど、痴漢を未然に防ぐような助け合いが必要だとも感じています」