2017年夏の甲子園で埼玉の花咲徳栄高校に惜しくも敗れて準優勝となった広島の名門・広陵高校。一切スカウトをしないそうですが、それでも甲子園の常連となるその強さの秘密はどこにあるのでしょうか? 今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、広陵高校野球部の監督・中井哲之氏が強さの秘訣について語っています。

広陵高校の強さの秘密

以前『致知』でも取り上げた広陵高校(広島)の中井監督のエッセイを紹介します。広陵高校の強さの秘密はどこにあるのでしょうか。

生徒との信頼関係が強豪チームをつくった

広陵はこれまで春夏合わせて40回以上甲子園に出場し3回の優勝、6回の準優勝を経験しました。プロ野球で活躍するOBもたくさんいます。

そのためか「全国から優秀な選手をスカウトしている」と思う方もいらっしゃるようですが、事実は全くの反対です。私は一切勧誘をしない監督として有名で、「何がなんでも広陵で野球をしたい」「中井監督の下で頑張りたい」という選手ばかりが集まってくれているのです。

人数制限もありません。入学試験にパスし、意欲のある者であれば、野球の上手下手は度外視してすべてOK。私も分け隔てなく接しますが、もちろん100人以上部員がいる中でレギュラーの座を獲得するのは容易ではありません。

広陵の野球を慕って全国から集まってきても3年間、控えで終わる者もいます。他校であれば間違いなくレギュラーとして活躍できるのに、広陵を選んだがために控えに甘んじなくてはならないのは無念でしょう。

しかし、彼らは入部当初から覚悟を決めています。仮に日の目を浴びずとも、その経験はいずれ花開く時が来ると私は信じています。

部員にとって高校3年間は人生の通過点にすぎません。その間、野球だけが上手くなってどれだけの価値があるのでしょう。本来の務めである学問と野球を通して一人ひとりの「生きる力」を高めることこそが、私の教育の理想なのです。

とはいっても私に特段のノウハウがあるわけではありません。不器用な私がやれるのは子供たちと一緒に泥まみれになって練習に汗し、ともに笑い、ともに泣くこと。

それだけです。

だから叱る時も「おい、何やっとるんじゃ」と常に本気。言葉遣い一つも見逃すことはしません。建前も駆け引きもなく、いつも素のままで子供たちに接する「ガキ」そのものの姿勢。

白か黒かの態度。

それは大学を出て母校・広陵の教師、野球部コーチに就任してから50歳の今日まで変わることがありません。

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出典元:まぐまぐニュース!