Amazonに限った話ではないが、深夜の人員配置などにコストを割かなくても24時間経営ができるのは、ネット通販の持つ大きな強みの一つだ。

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 Amazonの躍進を支えた最大の武器の一つであった「ワンクリック」の特許が、アメリカにおいて年内に失効する。これを受け、インターネット通販産業ははどう変化していくであろうか?

 ワンクリックとは、文字通り画面上の「購入」ボタンに対する一回のクリックで、商品の注文が完了、配達までが行われるサービスのことだ(もちろん、別途にクレジットカード情報、住所などを登録する必要はあるが)。

 Amazonはこれについて特許を取得しているため、他の企業が同じような手法を自社のサイトに導入するためには、Amazon特許使用料を支払って契約を結ぶ必要がある。たとえば、Appleなどが実際にAmazonとパテント契約を締結している。

 Amazon特許の失効によって、当然ながら、他の企業企業が一斉に類似のサービスを導入することになると予測される。喜ばしいことといえよう。Amazon以外にとっては、だが。

 もちろん、巨大なる「黒船」Amazonはただ座してその日を迎えるわけではない。いずれこの日が来ることは、とうの昔に分かっていたことなのである。Amazonは、ワンクリックを武器に稼いだこれまでの巨大な収益を、物流網の拡充に回した。

 Amazonの現在の強みは、その圧倒的な配送スピードにある。Amazonの商品は、注文したその日か、遅くとも翌日には届くのが一般的である。これを実現する為にAmazonが投じた費用は、千億の桁に及ぶ。

 他の企業が「ワンクリックで注文できる通販サイト」を作っても、それがいきなり「Amazonと互角の通販サイト」になるかといえば、そう易々とはいかないというわけだ。

 BIインテリジェンスという調査企業が、通販産業の未来を考える上での要点を分析し、レポートにまとめているので、かいつまんでご紹介しよう。

・国際通販が大きな市場として君臨するようになる・運送会社の重要性はさらに高まる・近距離用物流拠点がさらに設置されるようになる・中国市場を攻略せよ

 ざっとこんなところである。以上はアメリカでの分析ではあるのだが、日本の物流にとっても決して他人事ではあるまい。