北大阪急行が旅客運賃の上限変更認可申請を行いました。この申請が認められれば日本一安い初乗り運賃も値上がりする見込みです。

万博の年に開業した北大阪急行

 江坂〜千里中央間5.9kmを走る北大阪急行は2016年12月16日(金)、旅客運賃の上限変更認可申請を近畿運輸局で行ったと発表しました。

 改定率は、普通運賃が14.2%、定期運賃が平均7.7%、全体平均で11.6%です。具体的には、普通運賃の場合、初乗りの1区運賃(2kmまで)が現在は90円ですが、これが100円に。2区運賃(4kmまで)は110円から120円へ、3区運賃(6kmまで)は120円から140円への変更が申請されました。

「POLESTAR」の愛称を持つ北大阪急行の8000形電車。この車両も2017年度以降、内装の更新などが計画されている(2015年12月、恵 知仁撮影)。

 北大阪急行によると、1970(昭和45)年の開業以来、大阪市営地下鉄御堂筋線と直通運転を行い、低廉な運賃で千里ニュータウン周辺と大阪市内を結ぶ輸送を担ってきましたが、輸送人員は基本的に、1992(平成4)年をピークに長期的な減少傾向が続いているとのこと。

 経営合理化などに取り組んでいるものの、車両や駅施設の老朽化は進行。運賃の値上げは、新型車両9000形「POLESTAR II」への置き換えや駅施設の改修、可動式ホーム柵の設置など、安全輸送とさらなる利便性向上のために、必要な経費の一部を負担してもらうとともに経営の健全化を図ることが目的といいます。なお、今回の申請は千里中央駅から新箕面(仮称)駅まで延伸する事業のために行うものではないともしています。

 北大阪急行鉄道部門の2015年度実績は、収入が49億500万円に対し、支出が48億5300万円で5200万円の黒字でしたが、2016年度は収入が49億200万円に対し、支出が49億7300万円で7100万円の赤字になる見込みです。

 ちなみに現在の1区運賃90円は、全国の普通鉄道のなかでもっとも安い初乗り運賃ですが、100円に改定されると鳥取県の若桜鉄道や岡山市の岡山電気軌道などと並ぶことになります。

【地図】千里中央駅から北に延びる計画の北大阪急行

約2.5kmの青線が北大阪急行の延伸区間。2020年度の開業を目指して事業が進められる(国土地理院の地図を加工)。