北朝鮮最大のウラン鉱山が枯渇しかかっているのではないか、という脱北者の証言が飛び出した。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、黄海北道(ファンヘブクト)平山(ピョンサン)のウラン鉱山の企業所で5年間働いた経験を持つ脱北者のキム・ヘスン(仮名)さんが、ソウルで行った記者会見で次のように証言した。

「平山のウランは、30年以上採掘を続けたため、ほぼ枯渇した状態だ。近所の別の採掘場に移転するという話を聞いた」(キムさん)

一方、企業所では3ヶ月おきに健康診断を受けるが、放射性物質による健康被害は意外と多くなかったと証言する。

「ウラン鉱山で働いた親からは先天的異常を抱えた子供が生まれるという人が多いが、そういった例も、放射性物質で障がいを負った人もほとんど見かけなかった。労働者はみな胸に携帯用の線量計を付けている」(キムさん)

政府の原子力総局に所属する南川化学連合企業所の職員は2000人に達し、その中の一つがこの鉱山だが、軍需産業なので待遇がよく、月給は一般労働者の20倍以上の7〜8万北朝鮮ウォン(約840〜1200円)、油、砂糖、肉、野菜などの配給ももらえたとのことだ。

電気も24時間供給され、テレビや冷蔵庫、携帯電話を持つのもあたりまえで、開城(ケソン)工業団地を通じ入ってきた韓国製のチョコパイが買えて、中国製のテレビで韓国のテレビも見ていたと証言した。

ウラン鉱山の中では北朝鮮最大級とされる平山鉱山は1972年から操業を開始し、一時中断時期を挟み、2006年から再開。増産がなされ年間に1万トンを採掘していたという情報がある。

だが、それ以外にも数多くのウラン鉱山が存在する。

IAEAに報告された平安南道(ピョンアンナムド)の順川、平山と隣接する黄海北道の錦川(クムチョン)が代表的ものだが、それ以外にも咸鏡北道の羅先(ラソン)、茂山(ムサン)、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の新浦(シンポ)、興南(フンナム)、両江道(リャンガンド)の恵山(へサン)、慈江道の渭原(ウィウォン)、平安北道の天摩山(チョンマサン)、鉄山(チョルサン)、博川(パクチョン)にもウラン鉱山がある。

それぞれの埋蔵量、採掘量、稼働状況が明らかになっていないので、北朝鮮のウラン資源が枯渇するかどうかは不明だ。また、北朝鮮は鉱物資源の探索技術向上に力を入れており、新たなウラン鉱脈が発見される可能性も否定できない。

朝鮮中央通信は、2014年7月の記事で、金策工業大学が「非抵抗CT探査機」を開発したと伝えた。これを導入した江東地区炭鉱連合企業所は、見込みがないとされていた地域から3万トンの石炭を発見したという。

北朝鮮のウランは、推定埋蔵量が2600万トン、可採埋蔵量が400万トンに達するというのが定説だ。2007年、韓国のチョン・セギュン産業資源相(当時)がこの数字を確認している。これは世界最高の埋蔵量、生産量を誇るオーストラリアを大きく上回るものだ。

しかし、NKニュースは北朝鮮のウランが「モナザイト」という鉱石に混ざった形で採掘されるとし、実際の埋蔵量はもっと少ない可能性があると指摘している。