高畑裕太はハメられたのか? 蔓延する“強姦えん罪”に弁護士が明かすリアルとは…
高畑裕太氏は、ハメられたのだろうか――?
8月23日、群馬県前橋市のビジネスホテルの女性従業員(40代)に対する強姦致傷で逮捕され、女優・高畑淳子の息子ということもあり、世間を騒がせたこの事件。その後、被害女性との示談が成立、9月9日に釈放されたわけだが…
9月16日発売の『フライデー』では、事件直後に通報した“知人男性”とされていた人物が暴力団関係者であったと報道。事件の発端も、高畑氏が「歯ブラシを持ってきて」と女性を部屋に呼び出したのではなく、『二人でエレベーターに乗って部屋に向かった』と指摘。その上で『強姦といえるほどの事件ではなかった可能性がある』としている。
高畑氏の担当弁護士も報道機関にこんなコメントを発表した。
『違法性の顕著な悪質な事件ではなかったし、彼が起訴されて裁判になっていれば無罪を主張したと思われた事件であります』
事件の存在を否定する、これらの主張をどう捉えればいいのか。強制わいせつなどの刑事事件に詳しい弁護士法人グラディアトル法律事務所の若林翔弁護士がこう話す。
「強姦罪の場合は親告罪ですから、被害者の告訴がないと警察は動きませんし、被害者が告訴を取り下げれば不起訴処分となります。しかし、今回の事件は強姦致傷罪です。強姦に致傷が加わると、裁判員裁判の対象となる重大事件の扱いとなり、被害者からの告訴の有無に関わらず、検察官は起訴することが可能です。
それでもこの事件を不起訴にしたということは、もちろん『示談が成立したから』という理由もあるでしょうが、同時に事件を立証できるだけの証拠がそろわなかった可能性も残ります」
つまり、若林弁護士が言いたいのはこういうことだ。
「性行為に及ぶ前の段階で両者の間に“合意”があった可能性も否定できません」
不起訴処分となり、裁判がなくなった今、その真相は当人以外には知る由もないところとなってしまったわけだが、シロかクロかハッキリしないこの事件には、どうも“他人事”とは思えない後味の悪さが残る。
男性の性欲を否定することなどそもそもできないが、街中にはそうした欲求をそそらせる誘惑が溢(あふ)れ返っている。そこで万が一、合意の上でのセックスだったはずなのに、後になって女性から「無理やりされた」と訴えられたら…。
実際、若林弁護士の下にはそんな境遇にいる男性から多くの相談が舞い込んでいるという。
「確実に“合意”があったにもかかわらず、女性から一方的に『強姦された』と言われて不安になっている男性、合意があったかどうかどちらともいえず、女性ともめている男性、女性との示談交渉を依頼してくる男性…いろいろなパターンがありますが、すべて含めて全国から毎月数十件の相談があります」
す、数十件!?
「少なくとも、月30件以上。毎日1件以上はこの類の相談が入ってきます」
ちなみに、若林弁護士が代表を務める法律事務所で扱うのは、新聞沙汰になるような刑事事件ではなく、強姦と和姦(合意の上での性行為)で男女間の主張が分かれ、お互いの証拠が不十分な状態にある“グレー”な事案が多いという。その類型は、大きくは以下のふたつだ。
「一般女性と揉めている事案のほか、風俗店が関係する案件も多いです」
ではまず、一般女性とのトラブルとは一体、どんなものだろう。
「一番多いのが、出会い系サイトで知り合った女性から行為後に『合意はなかった』と言われ、慰謝料や示談金を要求されるパターンですね。同様に合コンやナンパ、仕事関係の飲み会で知り合った女性と合意の有無で揉めるケースや、いわゆる美人局(つつもたせ)にあっているケースも少なからずあります」
一方、風俗がらみのトラブルというのは…
「デリヘルやホテヘルで禁止されている本番行為に及び、相手の女性キャストがお店に報告。その後、警察へ通報されたり、罰金を払えと要求されたりするパターンが多いです」
男女間で合意のある・なしが真っ向から割れている場合、「合意はあった」とする男性側の主張はどうすれば認めてもらえるのだろうか。
★後編⇒『高畑裕太に学ぶ“強姦えん罪”の現実。「合意はなかった」と女性から言われたら?』
(取材・文/週プレNews編集部)