地震に強いマンションに住む人は避難所に来ない」。自治体のそんな「思い込み」に翻弄され、被災時にマンション居住者が避難所に入れず、路頭に迷うケースも多いといいます。無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では、万が一そのような状況に陥ってしまった場合を考え、マンション住民が事前に備えておくべきもの、そして心構えについて記しています。

怖くて建物内にいられないことを想定していない

こんにちは! 廣田信子です。

「避難所は、家が倒壊するなどして住めなくなった人を想定して用意されているので、建物が地震に強いと思われているマンションの住民まで避難所にくることを想定していなかった…」

東日本大震災で、マンション住民は避難所にキャパがなくて入れなかったことに対して仙台市がいった言葉です。これは、仙台市に限ったことではありません。だいたい、地域住民がみんな入れる避難所なんてありません。しかも、避難所自体が倒壊の可能性がある…なんていうこともあるのです。

東日本大震災後、マンション住民まで避難所で受け入れるキャパがないので、

「建物が崩壊する心配が少ないマンション住民は、できるだけマンションに留まって生活できるように備えてください」

という方向で、都市防災が組み立てられようとしています。それは、それで、致し方ないことなのですが、今回の熊本地震のような地震が襲い、何日も激しい余震がおそってくる場合など想定しているマンションはないはずです。防災マニュアルも余震による危険性までみているものは見たことがありません。

ライフラインやエレベーターが止まることの想像だってまだまだ不足していると思いますが、壁の落下や段差でどれほど危険な状況になるかというシミュレーションはほとんどできていません。仙台で、大きく被災して傾き、解体したマンションに解体前にいきましたが、もう共用廊下は瓦礫の山で、エキスパンション部分からは下が丸見えで、危険個所だらけでした。もし、あの共用廊下にいるときに、大きな余震が襲ったら…考えただけでも怖くなります。

そして、大きな余震が絶え間なく続く中で、地面から遠い破損した建物の中に居る…。ということがどれほどの恐怖を感じるかという恐怖のシミュレーションも不足していると思いました。

幼い子供や、介護が必要な高齢者を抱えていたらどうすればいいのでしょう。エレベーターがとまった超高層マンションで、一度下に下りてきたら、恐くて、二度と上には戻れない人もたくさん出ると思います。今回も、恐くて自宅に戻れず、車の中で寝泊まりしていて、エコノミークラス症候群を発症してしまった人が多数出てしまっています。

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じゃあ、どうすればいいの? 避難所には入る余裕がないし…と話していたら、知人が、テントと家族分の寝袋を車につんでおくんだよ…と。夜はキャンプと思って、外で寝ればいい…とこともなげに…。小学生の子どもがいるキャンプが大好きな彼の一言にはちょっと考えさせられました。

地震が来ても、すぐ避難しないで自宅に留まるのを基本とし、自宅籠城を前提に必要なものを備蓄するように…とずっと言ってきて、避難することを前提に考えたことってありませんでした。余震が恐くてマンション内にいられず、避難所にも入れず、屋外でサバイバルすることも想定しておかなければなないのかもしれない…と。

福岡の友人と話していて、それでも、やっぱり、倒壊しないマンションは戸建に比べればまだ安心だよね…と。改めて、私たちが震災に備える上では、下記の3つの段階で考えなくてはなりません。

発生時に命を失ったり怪我をしない被災後の生活を維持する復旧、復興を行うか

そう、1の段階、すなわち、地震の発生と同時に建物が倒壊し命をなくすことがないという点では、鉄筋コンクリート造のマンションは優れていると思います。

それにしても、首都圏にこんな直下地震が来たら…。またもや、今回も「かつてない地震」と気象庁はいい、今後のことも予想できないようです。結局、自然の前では、謙虚でいるしかないのですね。

image by: Flickr

 

『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』
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出典元:まぐまぐニュース!