厚切りジェイソンが日本人に叫び続けるワケ!「世界に自分が生きた証を残したい」
“厚切りジェイソン”なる奇妙な芸名を冠したアメリカ人は、なぜ青筋を立てて「Why Japanese people!?」と絶叫するのか?彼の日本人や日本語へのツッコミはなぜここまで受け入れられたのか?芸歴わずか1年にして大ブレイク中。IT企業の役員の顔も持つ彼が、SNS上でファンとのやりとりをまとめた人生相談本『日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy』(ぴあ刊)が発売中だ。「日本を、いや世界を変えたい」――単なるギャグにとどまらない熱い叫びと思いが込められている。
撮影/平岩亨 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.
――もともと、この本はTwitter上でのファンとのやりとりをまとめたものですが、ジェイソンさんなりのSNSとの付き合い方を教えてください。
Twitterに関しては、僕は自分が思っていることを発信して、読者からのリプライに返信もするけど、他の人のツイートはあまり見ないようにしてます。
――周囲の情報や行動に流されないように?
そう。周りを気にし過ぎてもいいことはないです。ニュースのリンクや意見の発信は見ますけど、「自分はこんないいことしてます」ってタイプのものは見ない。それをしていない自分はダメだなと考えるようになっちゃうから。それは必要ないことです。
――日米でSNSの使われ方の違いなどはありますか?
たとえばFacebookは、自分の理想のイメージをアップするようなところがあるよね。日本人は「周りに合わせなきゃ」という意識が働くので、友達がこんな良いことをして、おいしいものを食べて、かわいい子と付き合ってるのを見て「自分もやらなきゃ!」と思ってしまうし、自信を失うことにもつながる気がします。
――アメリカ人は?
同じように自分がやってることや、考えている意見をアップするけど、それを見て「できてない自分はダメ」じゃなく「それを超えることをしてやる!」と思って、次の挑戦をする。自慢合戦が始まっちゃう!(笑)
――どちらもつらい気がします…(苦笑)。ある調査によると、「Facebookをやめたら幸せになれた」と感じる人が多かったのだとか…
その通りだと思います。日本人には特に、つらかったらやめることをお勧めしますね。僕もアカウントは持っているけど、発信するだけで友達が何をしてるかなどはまったく見ないです。
――SNSでの、いわゆる承認欲求というのは日本特有ではなく世界中にあるもの?
ありますよ。「いいね!」をしてもらいたくて何かするって哀しいよね。友達と飲みに行ってもふたりでビール飲んで、食べ物の画像アップしてスマホ見てるだけとか(苦笑)。
――ジェイソンさんはIT企業の役員でもありますし、今回の本もそうですが、ネットを上手に使っているという印象があります。
実際、仕事でもプライベートでもスマホとパソコンで何でもできちゃうけど、だからこそ目的を持って使用しないと。人生に悪い影響を与えるような形では使わないようにしてます。
――本では日本人に向け「こうすべき」というアドバイスが書かれていますが、逆に日本人が気づいていない日本の良い部分はどんなところだと思いますか?
「職人魂」というべき技術、品質とサービスを大事にする部分は、非常にクオリティが高いと思います。
――いまの質問もそうかもしれませんが、最近、TVなどでも「日本人のここがすごい」、「日本のこういうところを外国人も称えている」という内容の番組が増えているように思います。
僕もそういう番組によく呼んでもらって出演してるから、ちょっとコメントしづらいけど…(苦笑)。
――海外の人の視点を気にするのは日本人特有の傾向と言える?
アメリカではそういう番組はないね。アメリカ人は「日本や中国でこんなアメリカ製品が使われている」なんて気にしない。「誰」が使っているかは重要じゃないね。
――重要なのは…
「どのように」使っているかだね。たとえばiPhoneは、ビジネスのあり方を変えた製品だけど「こういう人たちが使っているからすごい」ではなく「こういう風に世界を変えたからすごい」と受け止める。
――日本人が海外の視点を気にしてしまうのは…
海外の目だけでなく、普段から周囲の目を気にするのは子どものころから強くそれを押しつけられてきたからかな。小学生のときから、周りに合わせないといけない教育システムで、周囲に認められて一人前というところがある。それは日本独特ですね。
――アメリカでは価値観の築き方が違う?
アメリカでは、自分でちゃんと考えて、負けないようにいられることが大事。みんなと違ってもいいけど、なぜ違うのか?なぜ自分が正しいと思うのかをちゃんと説明できるようにしておきなさいと。日本はまず、周りがどう考えているかを確認して、そこに自分の考えを合わせていくことが多い。
――その日本で、ジェイソンさんがこれだけ受け入れられて、大ブレイクしているのはなぜだと思いますか?
たぶん、僕が言っていることは、多くの人が何となく思っていたことなんじゃないかと思います。ハッキリと言う人がいないから、周りに合わせてみんな黙っていたけど、誰かが言い出したら「私もそう思う」「僕も!僕も!」という感じなんじゃないかな?
――日本人が言うとすんなり受け入れられないけど、外国人に言われると響くというのもあるんでしょうか?
それは僕には分からない(笑)。でも、よくTwitterで「ホリエモン(堀江貴文)さんがずっと前から同じこと言ってるよ!なんでジェイソンが言うとこんな大きなニュースになるんだ?」と指摘されることがあります。
――これだけ急激にブレイクして、あちこちに引っ張りだこになった感想は?
わけ分かんないですよね(笑)。芸人がずっと苦労して、何年も売れない時期があって、やっと売れた!というケースはあるけど、僕は苦労した時期がほとんどなかった。養成所を出て2か月で『速報!有吉のお笑い大統領選挙』(テレビ朝日)に出て、芸歴4か月で『R-1ぐらんぷり2015』(関西テレビ・フジテレビ系列)で決勝に進出して…。
――まさにシンデレラストーリーです。
おそらく、もっと長く大変な苦労があったほうが、ありがたさや達成感は大きいんでしょうね。それはちょっとうらやましくもあったりして…。
――それはぜいたくな悩みですよ。
Yes!英語で言うところの「FIRST WORLD PROBLEM」ですね。恵まれた先進国の問題。満たされた者の悩みという意味です!
――この先に不安は?
不安はないですよ。恵まれた機会を前向きに捉えて、とりあえずできることをやる。機会がなくなってもそれはそれ。後悔がないようにいま、できることを思い切りやるだけです。
――毎年、ブレイクした芸人が「一発屋」というレッテルを貼られて消費されていきますが…。
それは僕の分析では、芸人の単価に基づいているんじゃないかと思います。人気が上がれば、出演のギャラも上がってくるから、それなら安いヤツを使おうって現象から来ているんだと思います。
――なるほど。ではジェイソンさんもいずれ…?
僕はまだまだギャラ上がってないよ!(笑)。若手の一番下っ端ですから!この先、ギャラが上がったら「もっと若いヤツを呼ぼうか」ってなるかもね。
――冷静に自分の立ち位置を分析し、戦略的にどう自分を売り出すか考えてらっしゃいますね。
自分が「一発屋」の穴に落ちていかないように出し方は考えますね。新ネタはもちろんですが、ITの知識を活かしたり、コメンテーターをやったり、こうして本を出したり…メディアに出続けられるように工夫してます。
撮影/平岩亨 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.
ジェイソン流SNSとの付き合い方
――もともと、この本はTwitter上でのファンとのやりとりをまとめたものですが、ジェイソンさんなりのSNSとの付き合い方を教えてください。
Twitterに関しては、僕は自分が思っていることを発信して、読者からのリプライに返信もするけど、他の人のツイートはあまり見ないようにしてます。
――周囲の情報や行動に流されないように?
そう。周りを気にし過ぎてもいいことはないです。ニュースのリンクや意見の発信は見ますけど、「自分はこんないいことしてます」ってタイプのものは見ない。それをしていない自分はダメだなと考えるようになっちゃうから。それは必要ないことです。
――日米でSNSの使われ方の違いなどはありますか?
たとえばFacebookは、自分の理想のイメージをアップするようなところがあるよね。日本人は「周りに合わせなきゃ」という意識が働くので、友達がこんな良いことをして、おいしいものを食べて、かわいい子と付き合ってるのを見て「自分もやらなきゃ!」と思ってしまうし、自信を失うことにもつながる気がします。
――アメリカ人は?
同じように自分がやってることや、考えている意見をアップするけど、それを見て「できてない自分はダメ」じゃなく「それを超えることをしてやる!」と思って、次の挑戦をする。自慢合戦が始まっちゃう!(笑)
――どちらもつらい気がします…(苦笑)。ある調査によると、「Facebookをやめたら幸せになれた」と感じる人が多かったのだとか…
その通りだと思います。日本人には特に、つらかったらやめることをお勧めしますね。僕もアカウントは持っているけど、発信するだけで友達が何をしてるかなどはまったく見ないです。
――SNSでの、いわゆる承認欲求というのは日本特有ではなく世界中にあるもの?
ありますよ。「いいね!」をしてもらいたくて何かするって哀しいよね。友達と飲みに行ってもふたりでビール飲んで、食べ物の画像アップしてスマホ見てるだけとか(苦笑)。
――ジェイソンさんはIT企業の役員でもありますし、今回の本もそうですが、ネットを上手に使っているという印象があります。
実際、仕事でもプライベートでもスマホとパソコンで何でもできちゃうけど、だからこそ目的を持って使用しないと。人生に悪い影響を与えるような形では使わないようにしてます。
僕の「Why」はみんなが感じていたこと
――本では日本人に向け「こうすべき」というアドバイスが書かれていますが、逆に日本人が気づいていない日本の良い部分はどんなところだと思いますか?
「職人魂」というべき技術、品質とサービスを大事にする部分は、非常にクオリティが高いと思います。
――いまの質問もそうかもしれませんが、最近、TVなどでも「日本人のここがすごい」、「日本のこういうところを外国人も称えている」という内容の番組が増えているように思います。
僕もそういう番組によく呼んでもらって出演してるから、ちょっとコメントしづらいけど…(苦笑)。
――海外の人の視点を気にするのは日本人特有の傾向と言える?
アメリカではそういう番組はないね。アメリカ人は「日本や中国でこんなアメリカ製品が使われている」なんて気にしない。「誰」が使っているかは重要じゃないね。
――重要なのは…
「どのように」使っているかだね。たとえばiPhoneは、ビジネスのあり方を変えた製品だけど「こういう人たちが使っているからすごい」ではなく「こういう風に世界を変えたからすごい」と受け止める。
――日本人が海外の視点を気にしてしまうのは…
海外の目だけでなく、普段から周囲の目を気にするのは子どものころから強くそれを押しつけられてきたからかな。小学生のときから、周りに合わせないといけない教育システムで、周囲に認められて一人前というところがある。それは日本独特ですね。
――アメリカでは価値観の築き方が違う?
アメリカでは、自分でちゃんと考えて、負けないようにいられることが大事。みんなと違ってもいいけど、なぜ違うのか?なぜ自分が正しいと思うのかをちゃんと説明できるようにしておきなさいと。日本はまず、周りがどう考えているかを確認して、そこに自分の考えを合わせていくことが多い。
――その日本で、ジェイソンさんがこれだけ受け入れられて、大ブレイクしているのはなぜだと思いますか?
たぶん、僕が言っていることは、多くの人が何となく思っていたことなんじゃないかと思います。ハッキリと言う人がいないから、周りに合わせてみんな黙っていたけど、誰かが言い出したら「私もそう思う」「僕も!僕も!」という感じなんじゃないかな?
――日本人が言うとすんなり受け入れられないけど、外国人に言われると響くというのもあるんでしょうか?
それは僕には分からない(笑)。でも、よくTwitterで「ホリエモン(堀江貴文)さんがずっと前から同じこと言ってるよ!なんでジェイソンが言うとこんな大きなニュースになるんだ?」と指摘されることがあります。
「一発屋」の穴に落ちないように…
――これだけ急激にブレイクして、あちこちに引っ張りだこになった感想は?
わけ分かんないですよね(笑)。芸人がずっと苦労して、何年も売れない時期があって、やっと売れた!というケースはあるけど、僕は苦労した時期がほとんどなかった。養成所を出て2か月で『速報!有吉のお笑い大統領選挙』(テレビ朝日)に出て、芸歴4か月で『R-1ぐらんぷり2015』(関西テレビ・フジテレビ系列)で決勝に進出して…。
――まさにシンデレラストーリーです。
おそらく、もっと長く大変な苦労があったほうが、ありがたさや達成感は大きいんでしょうね。それはちょっとうらやましくもあったりして…。
――それはぜいたくな悩みですよ。
Yes!英語で言うところの「FIRST WORLD PROBLEM」ですね。恵まれた先進国の問題。満たされた者の悩みという意味です!
――この先に不安は?
不安はないですよ。恵まれた機会を前向きに捉えて、とりあえずできることをやる。機会がなくなってもそれはそれ。後悔がないようにいま、できることを思い切りやるだけです。
――毎年、ブレイクした芸人が「一発屋」というレッテルを貼られて消費されていきますが…。
それは僕の分析では、芸人の単価に基づいているんじゃないかと思います。人気が上がれば、出演のギャラも上がってくるから、それなら安いヤツを使おうって現象から来ているんだと思います。
――なるほど。ではジェイソンさんもいずれ…?
僕はまだまだギャラ上がってないよ!(笑)。若手の一番下っ端ですから!この先、ギャラが上がったら「もっと若いヤツを呼ぼうか」ってなるかもね。
――冷静に自分の立ち位置を分析し、戦略的にどう自分を売り出すか考えてらっしゃいますね。
自分が「一発屋」の穴に落ちていかないように出し方は考えますね。新ネタはもちろんですが、ITの知識を活かしたり、コメンテーターをやったり、こうして本を出したり…メディアに出続けられるように工夫してます。