ハリルホジッチ日本代表監督 敗戦の翌日にみせた「演出」とは

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北朝鮮戦の敗戦から一夜明けた3日、日本代表は午前中にトレーニングを行った。そしてそこでヴァイッド・ハリルホジッチ監督は敗戦後のチームをどうやって立て直すのかという「演出」術を見せた。

練習開始の時間になるとスタッフと選手たちが出てきて、ピッチの真ん中で円陣を組む。これだけならいつもの光景だが、実はその前があった。外に出てくる前も室内で監督の話があったのだ。それなのにもう一度炎天下で話をする。

その後、もちろんいつものように選手とともに走る。スタッフも走る。「ダブルボックス」と呼ばれる、ペナルティエリア(ボックス)を2つ並べたコートを作る際には、ゴールを動かすのに監督自らが運ぼうとした。慌てて全員が駆け寄る。

さらにその「ダブルボックス」は報道陣の目の前に作った。監督の指示だけではなく、選手たちのぶつかり合う音も聞こえる、金網のすぐ先だ。そこで北朝鮮の先発組以外の選手たちが張り切ってトレーニングする。丹羽大輝がぶつかり合いで倒れるほどの厳しさだ。

あえて報道陣に日本代表チームが、そして自分自身が元気なことをアピールするかのような行動だった。この日のメニューなら、すべてピッチの反対サイドで行い、報道陣の目を避けることもできたのだ。GKの練習は当初、報道陣から遠いサイドのゴールで行われていたが、途中からなぜか報道陣サイドに移動して再開されたのも、アピールする狙いだったのではないか。

控え組の元気に引っ張られるように、トレーニングの雰囲気は引き締まりながらも明るさを保っていた。短期決戦での切り替えと周囲の雰囲気作りを、ハリルホジッチ監督は十分に知っているということだろう。

【日本蹴球合同会社/森雅史】