いまから65年前の7月、その前月に発足したばかりだった日本国有鉄道(国鉄、現JR)の総裁・下山定則が怪死するという事件が起こった。いまなお謎の部分の多いこの事件は、前回紹介したとおり、手塚治虫の長編マンガ『奇子(あやこ)』(1972年)でもとりあげられている(ただし作中では下山は霜川となっている)。とある地方旧家の人々を描いたその作品中、一家の次男である天外仁朗がGHQの秘密工作員として、下山事件の予行練習