レノボのマルウェア問題が提起する ハードの奥深くに潜むセキュリティリスク
米国ではすでに
訴訟問題に発展
中国のPC メーカー、レノボの製品に広告を表示するソフトがあらかじめ搭載されており、それがセキュリティー上脆弱だったという問題は、案の定アメリカで訴訟問題に発展しつつある。
すでに、自分のパソコンにダメージをもたらし、プライバシーを侵害したと訴えているカリフォルニアの女性ブロガーがおり、またニューヨークでは、弁護士事務所が集団訴訟の原告に加わりたいユーザーを求めている。大手企業相手が起こした問題だけに、巨額の賠償金をあてにした訴訟国の歯車が回り始めたという感じだ。
それにしても、この問題が発覚したことで、今や汎用製品になったパソコンの裏舞台では知らないことがたくさん起こっているというのがわかった。
ひとつは、もちろん今回最も問題視されている、ハードウェアに広告関連のソフトを組み込むという動きだ。パソコンやスマートフォンなどのハードウェア製品は、それ自体では機能だけを搭載したニュートラルな存在だと消費者は信じていたわけだが、決してそうではないということである。
今回は、「スーパーフィッシュ(SUPERFISH)」という、イスラエル出身で現在はシリコンバレー企業のソフトウェアがバンドル化されていた。
同社のソフトはビジュアル検索と呼ばれる機能を持つが、これは見たところ似たようなものを検索する技術だ。たとえば、あるショッピングサイトで茶色のソファを探していたとすると、他のショッピング・サイトからも同じような商品の画像を探し出してきてスクリーンに表示するしくみだ。
これがあると、ユーザーが商品を効率的に探し出せるというのが謳い文句。だが、何のことはない。これは広告をたくさん表示させることで、レノボにとっての収入になっていたわけだ。レノボとスーパーフィッシュとの契約により、スーパーフィッシュ側にも何らかの売上があった可能性もある。