日本代表のハビエル・アギーレ監督

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8月28日、日本サッカー協会の会議室には立ち見がずらりと並ぶほどの報道陣が詰めかけた。アギーレ監督は、どんな自分の色を出すのか。期待どおり、アギーレ色はハッキリと示された。

発表された23人のメンバーの中には新顔が5人、鳥栖の坂井達弥、新潟の松原健、神戸の森岡亮太、広島の皆川祐介、FC東京の武藤嘉紀と並んだ。この選考メンバーで、アギーレ監督は日本サッカー界にショックを与えたと言ってもいいだろう。

その象徴となったのは鳥栖の坂井だ。

4月29日にリーグ戦で出場した後は、5月24日のナビスコカップでプレーしただけ。その後はベンチか、ベンチ以外が続いていた。やっと8月23日の大宮戦で先発に戻ったが、相手FWを引き倒してPKを献上している。PKは同じく鳥栖から選考されたGK林がはじき出し事なきを得、その後は立ち直ったものの、クラブでもやっと地位を取り戻したという状態でしかなかった。

それでもアギーレ監督は坂井を選出した。自分の目を信じるという強い意志がそこには現れている。そして坂井が選ばれたことで、たとえ今ベンチ外の選手だとしても、青いシャツを着るチャンスがあるとすべての選手が判ったことだろう。

▼ 日本代表のハビエル・アギーレ監督



新たに選考した選手個人について監督はコメントを残さなかった。

「1人の話をすれば23人の話をしなければならない。若手なのかベテランなのか、すでに日本代表に選ばれていたのかそうでないのかなど、区別はしない。全員が日本代表だ」

「選考基準は質の高さだ。私が見て、スタッフが見て意見を交換した後に選んだ」

これまでザッケローニ監督のときよりも競争が激化したことは間違いない。

「23人とも使いたい。もちろんそれは難しいが。これは選手たちがパスしなければいけないテストでもある。6試合アジアカップの前にある。そのテストにパスした選手たちがアジアカップに進む」

監督のコメントには緊張感がみなぎっていた。

「初戦から競争力のあるところを見せたい。もちろん2、3回のトレーニングセッションでいいサッカーを見せるのは難しい。現在の目標はしっかり戦ってアジアカップでいい成績を出すこと。この試合で見せたいのは、しっかり戦って勝利を目指す、できるだけいいサッカーをめざすチーム。日々向上させていきたいと思う」

「目ざすのは相手よりボールを持つチーム。相手より攻撃を仕掛けるが、バランスの取れたチーム。しっかりスペースを使いながらボールを扱って相手よりボールを持つ状況を作り、失ったらすぐに取りに行く。賢いチームで、ピッチの各エリアで何をしなければいけないかを把握するチームが必要だ」

あとはこのアギーレ監督が与えたショックで日本サッカーを活性化できるかどうか。今回のウルグアイ戦、ベネズエラ戦でどんな内容と結果を出すかで、アギーレ監督が今後、同じ方向を取れるかどうかにも影響があるはずだ。

【取材・文/日本蹴球合同会社 森雅史】

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