左が「コドモロイド」で、右が「オトナロイド」

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人型ロボットが登場する作品って、数多いですよね。『Dr.スランプ』のアラレちゃんはまさにだし、映画『ブレードランナー』に登場する「レプリカント」はアンドロイド(人間酷似型ロボット)の進化系とも言える存在だし。
さて、現実世界ではどうなのか。確かにロボット自体は普及しつつあるものの、“人型ロボット”に関しては?

大丈夫です。着々と未来に近付いています。日本科学未来館は本日(6月25日)より、世界最先端のアンドロイド3体を導入、来館者は気軽に体験することができるようになるそうです。
その3体とは、以下。
■コドモロイド
人間の見た目をした遠隔操作型アンドロイド。
■オトナロイド
成人女性の見た目をした遠隔操作型アンドロイド。ロボットの科学コミュニケーターとして未来館に“採用”される。ここでは大人ロイドと「対話」することと「操作」することの2つを体験することができる。

■テレノイド
コミュニケーションにおいて「必要最小限の人間らしさとはなにか」を追求した、ミニマルタイプの遠隔操作型アンドロイド。体型や顔つきといった特定の人物の要素を極力そぎ落としてデザインされている。触れ合いながら「対話」することと「操作」することの2つが体験できる。

では、昨日開かれた記者発表会の模様をお送りしたいと思います。この日はフリーアナウンサー・中田有紀さんの司会により進行しています。では、まずコドモロイドとオトナロイドの自己紹介から。

コドモロイド 皆さん、初めまして。コドモロイドと申します。明日から“アンドロイドアナウンサー”として、日本科学未来館から皆さまへニュースをお届けします。将来の夢は「自分の冠番組を持つこと」です。ニュースを読むお仕事があれば、ぜひ声を掛けてください。
オトナロイド 皆さん、初めまして。オトナロイドと申します。本日より、日本科学未来館の科学コミュニケーターとして働かせていただきます。科学を解説したり、研究の面白さを伝えたりするお仕事は「知識」と「コミュニケーション能力」が必要です。とても難しいお仕事ですが、仲間と試行錯誤を繰り返しながら、日々勉強していきます。

ちなみにコドモロイド、中田さんが講師を務める「新人アナウンサー研修」にも参加したとのこと。

「人間と違って言葉の言い間違えなどはなく、驚きました。このような未来が訪れたら、私たち人間のアナウンサーもウカウカしていられないなぁという感じがします」(中田アナ)
当日は、中田アナが読みあげる難しい言葉(「歌うたいが歌うたいに来て 歌うたえと言うが〜」等)をコドモロイドがリピートし、また実際にニュース原稿を読むという形で、そのアナウンス力が披露されています。



さて、この辺でアンドロイド研究の第一人者である石黒浩氏(ATR石黒浩特別研究所所長、大阪大学特別教授)にご登場いただきましょう。
「私に似せたアンドロイドは、例えば代わりに講演をしたりいろいろと働いてくれ、私の海外への出張も少し減りました。人間と機械の境界がなくなれば『人間だけが特別なもの』という先入観がなくなり、『人間とは何であるか、自分とは何であるか、自分の価値はどこにあるのか』を一人ひとりが考える時代に入っていくと思います」(石黒氏)

ここからはコドモロイド、オトナロイド、石黒氏、そして同館館長の毛利衛氏によるトークショーがスタート!

コドモロイド そういえば石黒先生は、どうして私を作ったのですか?
石黒氏 中性的で誰もが話しかけられる相手って、子どもなんですね。今まで小さくロボットを作ることは大変だったんですけど、技術もだいぶ進んできたので、誰でも喋れるような、気軽に関われるようなアンドロイドが作れればと思って作りました。あと大人が自分でニュースを呼んでしまうと、そのニュースの中に含まれている重要なメッセージがサラッと受け流されてしまう。あえて子どもの口からニュースを聞かされることでニュースの持ってる本当の意味や重みが伝わるんじゃないかと思います。そういったことで、頑張ってもらいたいと思って作りました。
オトナロイド 毛利館長、未来館でアンドロイドとしての私には何を期待されていますか?
毛利氏 やはり、オトナロイドならではのことを期待しています。ここに来る人の中には「人と話したくない」という子どもたちも多いんですね。自分の世界に閉じこもっていても「オトナロイドとだったら、打ち解けて話せる」という子が一人でも出たら、すごいなと思います。

というわけで、毛利館長からオトナロイドへ「科学コミュニケーター」の辞令が発令されましたよ!

オトナロイド ありがとうございます。晴れて科学コミュニケーターになることができて、うれしいです。皆さん、これからどうぞよろしくお願いします。

では、最後に「テレノイド」をご紹介しましょう。……ちょっと、見た目が怖いかもしれない。『八つ墓村』のスケキヨを彷彿とさせるルックス。でも、辛うじて人型だと認識はできます。ハグして向かい合いながら対話すると、妙な愛情が浮かんできますよ!

(寺西ジャジューカ)