大学でワイン片手に晩さん会? 英最高学府の学生生活

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オックスフォード大学は英国最古の大学だ。欧州全体で見ても、伊ボローニャ大学、仏パリ大学とともに、欧州でもっとも古い大学の1つに入る。
オックスフォード大学の歴史は12世紀までさかのぼり、「オックスブリッジ」と並び称されるケンブリッジ大学とともに、英国の高等教育を引っ張ってきた。長い時の中で培われてきた伝統は、今も学生たちの生活に深く息づき、日本の大学では見られない特異なシステムもある。英国最高学府の生活とはどのようなものなのだろうか。

同大学で特徴的なのがカレッジ制だ。カレッジとは、学生と教師が暮らし学ぶ寮のことで、学生は、まず数あるカレッジのどれかに所属することになる。同制度を採用するのは英国でもオックスフォード大学やケンブリッジ大学、ダラム大学と少ない。そのカレッジ生活で特徴的なのが、カレッジ内で頻繁に行われる晩さん会やパーティーだろう。

晩さん会は学生や教師など大学関係者だけでなく、ゲストナイトでは外部の人もカレッジ所属者から招待されれば参加できる。ドレスコードは各カレッジによって異なり、例えばオックスフォード大学でも比較的新しいウルフソン・カレッジの場合は、スマートもしくはスマート・カジュアルで大学指定のガウンは着用しないといった具合だが、歴史が古いカレッジだと、さらに正装が必要な時もある。

晩さん会はどのように進行するのか。ウルフソン・カレッジのケースは、まず19時から集まりだし、30分ほど食前酒を片手に参加者同士で歓談する。19時半になると晩さん会の会場へ入るよう促されるので、ネームプレートが付けられた席の前へ行く。そして、ひととおりのあいさつがあった後、着席し、夕食が始まる。

食事はワインと一緒に前菜、主菜、デザートと進むが、それらが済めば終わりではなく、デザートの後にいったん会場から外へ出され、休憩時間が挟まれる。その間に会場内は片付けられ、それが終わると再入場するのだが、今度は席が決められていないため、各々が好きな場所へ着席することになる。自由に座ることにより、他の招待客と話す機会を持ち、新たに親交を深めるという仕組みだ。食事はすでにデザートまで終わっているものの、ここでチーズとフルーツ、それらに合わせた濃厚な赤ワインやデザートワインが出される。

オックスブリッジに限らず英国の大学はお酒が身近だ。どこの大学でも学内にはバーが付属しており、オックスブリッジだと各カレッジがそれぞれワイン貯蔵庫を備えていることもある。そして、カレッジ独自のエチケットのワインを持っているケースもある。

晩さん会が開かれるダイニングホールは、新しいカレッジだと学生と教師は同じ席に着く。しかし歴史が古いカレッジは、教師はハイテーブルと呼ばれる一段高くなった席に座るなど、カレッジによりしきたりは異なる。これら晩さん会やパーティーを通して、社交のイロハを自然と学んでいくのだ。
オックスブリッジは世界の学術界をけん引しつつ、これら伝統の中で学生と教師は暮らしている。
(加藤亨延)