中国人“転売ヤー”たちの行列トラブル事情
人気ブランドショップのスニーカーやシャツ、フィギュアなどの限定商品を店舗で購入。それをネットオークションで転売して利ざやを稼ぐ“転売ヤー”たち。現在、その多くが中国人だ。
転売ヤー歴10年の日本人・A氏によると、中国人バイヤーが増え始めたのはここ3年ぐらいのこと。「中国では日本や欧米の有名ブランド品を持つことがステータスになりますからね」(A氏)と、中国人富裕層が日本に住む中国人を使って購入し始めたのがきっかけだという。
現在、それを“商売”にする中国人が急増しているというわけだ。別の転売ヤーもこう証言する。
「中国人が増えているのは東京だけじゃない。名古屋、大阪、福岡と有名ショップがある主要都市すべてです。各地域に元締めバイヤーがいて、商品を全力で買いにくる。
以前、大阪のあるショップが、店の前に日本語で『ここから並ぶように』と書いたけど、日本語のわからない中国人は行列に並べなかった。それに後で気づいた彼らが『人種差別するな!』と猛抗議し、急遽ルールを変えて抽選になったこともありました」(転売ヤー歴5年のB氏)
このように、中国人転売ヤーが増えるにつれ、行列でのトラブルは日常茶飯事に。特に激しいのが、中国人同士のケンカだ。
「中国人バイヤーの中にもいくつものグループがあるんです。並んでいる位置が商品を購入できるかできないかのギリギリのところだと彼ら同士もピリピリし始め、よくケンカが起きる。中国人がすごいのは平気で顔をグーパンチで殴ること。日本人同士ではあまり見ないけど、中国人同士だと当たり前。以前、新宿の某百貨店に血だらけで並んでいる人もいた。
先着ではなく、抽選入場の場合、いい番号を引いた人には中国人は多めにバイト代を払うことがあるんですが、そのルールがわからない人が怒って、バイヤーとケンカをすることも。道路で大ゲンカが始まると、並んでいるみんなの注目の的ですよ」(転売ヤー歴8年のC氏)
店員とケンカ、並んでいる者同士でケンカ、バイヤーとケンカ……もはや、日本とは思えない光景だ。これが、販売数が少ない(=プレミアム度が高い)アイテムとなれば、さらに中国人は大量の人数を投入。そのカオス度はより強くなる。
「スカルマークで有名なブランドのフィギュアが銀座で発売されたときは2000人近く並んだんですけど、たぶんその3分の2が中国人。ひとりの中国人バイヤーが100人、200人とか連れてくるんです。お店の目の前に2tトラックまで用意し、そこに積んでそのまま港に直行。その日のうちに中国に出発でしょう。
中国人の富裕層がお金に糸目をつけなくなっていて、限定品を買うために中国人バイヤーが日本語学校の生徒を囲い込んだり、雇った人の家族全員、祖父や祖母、子供、さらには孫まで巻き込んだりと、とにかく人集めがすごい」(転売ヤーA氏)
銀座のブランドショップに徹夜で並ぶ、中国人のおじいちゃん、おばあちゃんと孫……。なんともシュールな光景が、日本のどこかで毎週末、繰り広げられているのだ。
■週刊プレイボーイ19・20合併号「『転売目当て』行列トラブル最新事情」より