ファストフード店の需要を奪う(画像は「セブンカフェ」WEBサイト)

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大手コンビニチェーンが、「いれたてコーヒー」を巡り、熱い販売競争を繰り広げている。きっかけは、最大手、セブン−イレブンが今年から展開している「セブンカフェ」。発売から7か月で累計1億杯を突破する大ヒットとなっており、セブンの「一人勝ち」を阻止しようと、他チェーンも知恵を絞る。

セブンカフェは今年(2013年)1月開始。レジで注文してコーヒーカップを受け取り、店頭に設置している専用機器にカップを置いて、ボタンを押して抽出するセルフ式だ。「ハイグレードなアラビカ豆100%使用」「1杯ごとにペーパードリップ」という特徴に加え、ホット、アイスともレギュラーサイズはそれぞれ100円という「お手頃価格」が消費者に受け入れられている。

最後発でもトップランナー

都心部の店舗では、出勤前や昼食時に、1杯100円のコーヒーを求める男性会社員やOLで、カウンター前が混雑するほどの人気ぶり。「朝の1杯」や「食後のコーヒー」は習慣化するだけに、リピート率も高い。ドトールやプロント、カフェ・ベロ−チェなど低価格コーヒーチェーンや、マクドナルドなどファストフード店のテイクアウト需要を一部奪っている模様だ。

5月時点で、年間販売目標を3億杯から4.5億杯に引き上げた。1杯100円でも、年換算すれば450億円の売り上げとなる。8月には約1万5000のほぼ全店に導入した。

実は、「いれたてコーヒー」分野では、セブンは最後発だった。それが導入後の展開が早く、一気にトップランナーに躍り出た格好。話題をさらわれた他のコンビニチェーンも指をくわえて見ているわけにはいかない。

各社も巻き返しを図る

ローソンは12月10日から、店頭のコーヒーカウンター「マチカフェ」で、「イエローブルボン」と呼ばれる希少豆を使ったコーヒーを、240万杯の数量限定で販売。「対面販売」にこだわり、価格はMサイズ180円。接客レベルが高く、コーヒー知識が豊富なスタッフを認定する社内資格制度「ファンタジスタ」を設けており、来年からは「ファンタジスタのいる店」というプレートを掲げる。現在5500店舗のマチカフェを、来年2月末までに8000店舗に広げる。

ドイツ製のエスプレッソ抽出式マシーンを使用しているファミリーマートは、11月26日から、ブランド名を一新。従来のMサイズ(220ミリリットル、150円)にSサイズ(155ミリリットル、120円)を加えたほか、女性に人気の「カフェラテ」用に、トッピングパウダーを無料で提供する。

この分野で先行したのは、サークルKサンクス。専用のカードリッジを使用して1杯ずつ抽出する方式で、2009年から販売を始めた。今年6月からは、従来130円だった「オリジナルテイスト」を100円に引き下げ、巻き返しを図っている。

ミニストップも、全店展開したのは2009年からと早い。店内で抽出するが、1杯ごとではなく、購入者はポットから好きな量だけ注ぐセルフ方式だ。夏場には、ソフトクリームを入れたアイスコーヒー「ソフデコ」が人気となる。

月刊誌「日経トレンディ」は、今年のヒット商品の第1位に「コンビニコーヒー」を選んだ。今後もコーヒー販売を巡るバトルは激しさを増しそうだ。