ポケットモンスターXとポケットモンスターY
それぞれ出てくるポケモンが異なったりするが、ストーリーの根本は同じになっているのはいつも通り。できれば友人とそれぞれ異なるものを遊び、途中で交換しあいたい。

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10月12日(土)に世界同時発売されたポケットモンスターXとポケットモンスターYが面白くてたまりません。発売から1ヶ月経っているので、もう殿堂入りして対戦のためにポケモンを育てているという人も多いのではないでしょうか。

今回のXYはキャッチフレーズの「ポケモン、あらたな次元へ」にふさわしい、新しいポケモンとなっています。今までポケモンをやっていた人にも、これからポケモンを始めようとしている人にも、オススメです。単に新しいポケモンがいっぱい増えた! というわけではないのです。いったいどこがすごいのか、見ていくことにしましょう。

●全体的にストレスが軽減されている

まずいきなりこの要素を持ってきてしまいます。今までのポケモンは面白いゲームではあるのですが、子供向けを意識するあまりか一部でややテンポが悪かった部分があったりしました。例えばゲームを中断する前に保存する「レポート」に時間がかかったりしました。戦闘中もややゆっくり目のアニメーションでしたし(これはオフにできました)、移動も進行方向から右へ進むのに一度右を向く→それから歩くのように、1クッション置いたりしていたので(これはサファリパークなどの歩数制限があるところでポケモンとたくさん会うためのテクニックにもなっていましたが)テンポが悪かったのです。

これが、今回は実にスムーズです。戦闘は基本的には軽快なアニメーションでテンポ良く進みますし、移動もスムーズです。全体的に操作においてもたつきを感じるところがほとんどありません。レポートにいたっては「レポートを書きこんでいます。電源を切らないでください」という文字を最後まで読む前に画面が「レポートをしっかり書き残した」になるぐらい早いです。

移動に関しても、最初からBボタンでダッシュをすることができる他、かなり早い段階でローラースケートを手に入れることができます。これはアナログスティックを使って移動すると自動的に切り替わり、移動速度はダッシュよりもかなり速いです。さらに毎回おなじみの自転車も手に入るので(もちろんローラースケートよりも速いです)さまざまな速度で移動することができます。

そうそう。設定で「Lボタン」を「Aボタン」にする機能も復活していました。これで片手で操作をすることができます。地味にうれしいポイントです。

学習装置の仕様が変わったのも大きいです。以前までは学習装置を持たせておいたポケモンに、得た経験値を等分して渡すという仕組みになっていました。ところが今回は学習装置はポケモンにもたせるものではなく、主人公の鞄の中にしまわれます。スイッチをオンにすると、連れ歩いているポケモン全てに、戦闘で得た経験値の半分を配るという仕組みになっています。

これにより、ポケモンを育てることがとても楽になりました。最初は攻撃手段を持っていないケーシィやコイキングなども簡単にレベルを上げることができます。レベル上げを効率良くできるのはうれしいですね。ちなみに野生のポケモンを捕獲したときにも経験値が入るようになりました。

他にも、木の実を育てる専用の牧場みたいなところがあるので毎日いちいち全てを回らなくても済みますし、序盤からバトルシャトーという施設で延々と戦ってお金を稼ぐこともできたりします。全体的に、快適なプレイに必要なものは早めに手に入るようになっています。

●3D化されてさまざまなアニメーションが加わっている

XYから完全に3D化されています。ここはちょっとだけ賛否両論あるところかと思います。
というのも、戦闘の一部の時には立体視ができなかったり、マップが立体視できなかったり、マップでカメラを操作できたりしないのですね。でも、自動的にカメラがある程度切り替わってくれるので、慣れるとそれほどストレスは感じません。

そして、3Dになったせいか、いたるところに細かいアニメーションが加わっています。これが実に細かい!

例えば主人公が自分より背の低い子に話しかけるときは、わざわざしゃがむアニメーションが入り、目線の高さを合わせて話しかけます。こういう細かい演出があると、没入感とか感情移入感が増してきます。

各ポケモンは戦闘時に技の特性に合わせて何パターンかで動き、それに合わせた技のアニメーションで非常に効果的にポケモンがいろいろな技を出しているように見せています。これも実に自然で、本当に生き生きとポケモンが動いているように見えています。

あとは、主人公の着せ替えができるようになっています。帽子から服まで購入し、自分でコーディネートすることができます。特にこれは女の子主人公の着せ替えをする人たちと、それでお金を大量に使う(ゲーム内のおこづかいを何十万とか使う)人が続出しているぐらい、評判がいいポイントです。

●タッチパネルでさまざまなことができる

今作ではタッチパネル画面で、冒険中にもいろいろなことができます。これがすごい盛りだくさんなのです。タッチパネルの方ばっかり操作をして、肝心の冒険がなかなか進まなかったりするぐらいです。

◆ポケパルレ

ポケパルレは連れ歩いているポケモンと仲良くなるためのものです。仲良くなると、ポケモンが戦闘時に多く経験値をもらったり、ひんし状態でも1だけ体力が残ったりといいこと尽くし。早めにやっておいた方がいいでしょう。

ポフィンと呼ばれるお菓子を与えたり、なでたり、ミニゲームをやって仲良し度を上げていきます。ちなみにこの仲良し度は進化や一部の技に必要な「なつき度」とは別物なので注意しましょう。

◆スパトレ

ポケモンを鍛えることができます。といってもレベルを上げるわけではありません。「きそポイント」とゲーム中で言われている「努力値」を育てることができるのです。

ここでちょっと解説を。ポケモンをやっている人にはおなじみですが、それ以外の人にはおなじみではない「努力値」。これは隠しパラメーターで、「すばやさ」や「こうげき」といったステータスそれぞれに存在しています。実際に対応するポケモンを倒すことで努力値は上がっていき、一定の値になればそのステータスがアップします。

例えば倒すとすばやさの努力値が+2されるポケモンがいたとしましょう。そのポケモンを倒しまくってLv30になったポケモンと、Lv30の状態で捕獲したポケモンとでは、同じポケモンで同じレベルでも努力値が違い、前者の方がすばやさが上になるというわけです。なので、プレイヤーが使うポケモンは同じレベルの野生のポケモンよりも基本的に強い、というわけです。

この努力値を鍛えることができるのがスパトレです。今まではひたすら特定のポケモンを倒さなければならなかったのに比べると、ずいぶん楽になりました。ミニゲームをやったり、ミニゲームでもらえるサンドバッグを叩かせることで鍛えることができます。

そしてスパトレの最大のポイントは、今まで隠されていた「努力値」が見えるようになったことでしょう。努力値は各ステータスでの上限と、全ての努力値の合計値の上限とがそれぞれのポケモンには決まっています。それをグラフの形で見ながら鍛えていくことができるのです。今まではポケモン対戦をやりこんだ人たちだけが気にしていた努力値ですが、こういった形でわかりやすく目に見えるようにしたのは大きなポイントと言えます。今までは気にしていなかった人も、ちょっと気にして育ててみるのもいいでしょう。気にしない人でも、スパトレのミニゲームをクリアするとアイテムがもらえるので一通りやることをオススメします。

◆PSS

PSSはPlayer Search Systemの略で、ここには周囲でポケモンをやっている人が表示されます。「友達」「知り合い」「通りすがり」の3段階で、それぞれのプレイヤーのアイコンと一言コメントが表示されます。

ここでは通信に関するさまざまなことを行うことができます。ポケモン交換や、対戦などもいちいちセンターに行く必要はなく、PSSから直接することができます。

面白いのは「ミラクル交換」でしょうか。インターネットに接続し、世界中の人とランダムにポケモンを交換します。こちらから出すポケモンは指定できますが、相手から何をもらうかは指定することができません。わらしべ長者のようにどんどん交換して、強いポケモンがくるまで頑張ってみるのも面白いです。

PSSで表示されるプレイヤーに対しては「Oパワー(オーパワー)」を使うことができます。これは「おこづかいパワー」や「HPかいふくパワー」「こうげきパワー」などで、使うと3分だけパワーの対象がパワーアップします。たとえば「おこづかいパワー」を使うと、戦闘後にもらえるおこづかいが少し増える、という感じです。

Oパワーを使うためのパワーは10個あり、自分に使うと3消費、相手に使うと1消費のように、人に使う方が効率良く使えるようになっています。なので、どんどん積極的に周囲の人にOパワーを使っていくといいでしょう。使えば使うほどOパワーもレベルアップします。ちなみにパワーは時間の経過で回復します。少しソーシャルゲームっぽいですね。

今回のポケモンで導入されたものはまだまだあります。起動時に言語を選べるようになっていたり、日本語だと漢字まじりにするかどうかを選べるようになっていたりするのはすごいと思いました。世界中で同じカートリッジで遊ばれているのですね。もちろん、ゲームシステム的には新しい進化「メガシンカ」もかっこいいですし、新しい属性「フェアリー」が増えたり、バトルビデオが進化していて動画配信みたいなことができるようになっていたりと、書いていけばキリがありません。

とにかく言えるのは、そういった要素だけではなく、今までのファンの操作感覚は大事にしつつ、それでいて細かいところの改良により快適に遊べるように注力されているというところです。例えば通信のためにポケモンセンターに行っていたりしていたのは、やっぱり面倒だったのですね。

そういった意味で、今回のポケモンXYは、初めて遊ぶ人にも、今までのシリーズを遊んできた人たちにも、自信を持って「今まで最高傑作であるから是非遊ぶべし」と言えます。まだ遊んでいない人は、是非遊んでみてください。
(杉村 啓)