上昇志向の城北!将来へつながるベスト32! 

西野 巧人(城北)

 東京都を代表する進学校・城北。今年はブロック予選では都立文京、明大中野八王子と実力あるチームを破り、本大会へ勝ち進んでいた。

先発は背番号1の有坂 望(2年)ではなく、背番号10の西野 巧人(1年)であった。城北の徳永博史監督に起用の理由を伺うと「有坂が調子を落とし気味だったので、思い切って西野に投げさせました。だからこの試合はなんとしてでも先制点を挙げようと選手たちに話をしました」1回表、城北は一死満塁のチャンスを作り、5番梅本 涌馬(2年)の押し出し死球と6番川島 嶺(2年)の右前安打で2点を先制する。ここで駒大高は投手交代。

右下手の田崎 蒼司(2年)が登板。184センチ77キロの大型右アンダーハンドで、なかなかか面白い投手であった。アンダースローという投げ方ができるわけだから、下半身は強く、柔らかい。踏み出した左足をしっかりと支え、体を綺麗に旋回させる本格派のフォームで、アンダーではあるが、球速は120キロ前後は出ているだろう。また手元でしっかりと伸びてくるので、なかなか打ち難い。田崎は二者連続三振を奪いピンチを切り抜ける。

だがさらに2回表、一死から1番池川 将理(2年)の死球、2番兼杉 春輝(2年)の犠打で二死二塁として3番佐藤 智大(2年)の遊撃強襲安打で、二塁走者が生還し、3対0にする。

4回裏、駒大高はニ死一塁から8番田崎が中超え三塁打を放ち、3対1と2点差に迫る。

だが城北は5回表、一死から5番梅本の中前安打、6番川島の死球、7番北村 瞭太郎(2年)の犠打で一死二、三塁として、5番且元 健太(2年)の内野ゴロを駒大高守備陣の乱れで二者生還し、5対1とする。打ち崩すのに苦労した田崎からこのような形で追加点を奪うことができたのは大きかった。

 

2番手右腕・田崎(駒大高)

 先発の西野。168センチ60キロと投手として小柄だが、直球、縦横のスライダー、カーブを投げ分けていきながら、駒大高打線を凌いでいく。気持ちの強さがあり、小柄ではあるが、投手として大事な気持ちの強さ、攻めの強さがある投手であった。

そして9回裏、無死一、三塁から代打の高橋 章(2年)の右前適時打で1点を返されるが、後続を締めて試合終了。5対2で勝利した。。

試合後、徳永監督は「西野が投げる試合だったので、先制点がとることができて大きかったと思います」とコメント。投げた西野も「気持ちよかったです!」と喜びを表した。次の戦いへ向けて徳永監督は。

「相手のことを意識せず、自分たちのできることをしっかりとやって臨みたいと思います」気を引き締めていた。

そして最後に中高一貫校の城北は中学校の軟式が強く、今の2年生は2011年の東京都私学野球大会に優勝を経験し、今の1年生は東京都夏季大会のベスト8を経験している。ベンチ入り20人にうち17人が城北出身で、そのまま上がっていく方式だ。中学で結果を残した選手が高校にそのまま上がるのだから、強くなっていくのは必然だ。「中学ががんばっていますので、うちはその恩恵を授かっているだけです」と笑う徳永監督。だが野球部を強化する上で、内部の底上げはとても大事である。高校が強ければ、硬式で名を上げたいという思う選手たちも出てくるだろうし、中学で頑張れる未来の高校球児のモチベーションアップにもつながる。この循環がうまくいき、数年後には上位常連の強豪チームとなるか。強豪と注目される駒大高に完勝。将来につながる勝利だったに違いない。

(文=河嶋 宗一)