中国政府・外交部とは国務院組成部分のひとつと定められている。国務院とは「中国中央政府」と同義。つまり「中国政府・外交部」は日本の外務省に相当する政府機関だ。そのため、「外交部部長」とは外務大臣、外相と同じ地位だ。(写真は「CNSPHOTO」提供。2013年9月9日時点で現職の王毅外交部部長)

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 中国政府・外交部とは国務院組成部分のひとつと定められている。国務院とは「中国中央政府」と同義。つまり「中国政府・外交部」は日本の外務省に相当する政府機関だ。そのため、「外交部部長」とは外務大臣、外相と同じ地位だ。(写真は「CNSPHOTO」提供。2013年9月9日時点で現職の王毅外交部部長)

 ただし、中国では国務院の各部の「部長」の上に、「常務副総理」、「副総理(副首相)」と「国務委員」という役職を置いている。各副総理や国務委員は「金融・財政」、「科学技術・教育・文化・衛生」、「外交・華僑・台湾」など、それぞれの担当分野を持つ。

 また、国務院が重要な意思決定をする国務院常務会議は総理(首相)が招集し、、総理以外は副総理(副首相)、国務委員、国務院秘書長が出席することになっている。つまり、「外交部部長」には“閣議”で意見を述べる資格がないことになる。

 このため、外交部長は実際には、外交担当の国務委員の指示により職務を遂行する、日本の各省の「次官」に相当するとの見方もできる。

 2013年9月9日現在、常務副総理は張高麗1人、副総理は3人、国務委員は5人だ。外交分野を担当する国務委員は楊潔チ前外交部長。外交部長は駐日本大使を務めた経験もある王毅氏。(「チ」は竹かんむりに厂(がんだれ)、下に「虎」)

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 歴史的に見れば、1644年から1912年まで中国を統治した清朝が、政府機構として外交全般を一元的に担当する「総理各国事務衙門」が設置されたのは1861年。それまでは案件ごとに担当者を設けていた。「外交部門」が存在しなかったのは「皇帝は全世界の支配者」との建前があり、「中国と外国全般」という概念が持ちにくかったためでもある。

 中華民国時代には外交部が設けられた。中華人民共和国も外交部を設けた。中華人民共和国では、国務院の各部門を列記する場合に外交部を筆頭とする習慣がある。(編集担当:如月隼人)