東海大仰星vs四條畷 ミラクルまであと１歩
序盤、ペースを握ったのは東海大仰星だった。初回、先頭の本田が3球三振に倒れ、四条畷先発・蒲田が乗って行きそうなところで2番・吉田が初球を叩いてライトへ先制のホームランを放つ。3回には二死から上位打線がつながる。本田、吉田の連打でチャンスを作ると3番・松本がセンターオーバーの2点タイムリースリーベースヒット。4番・中村がストレートのフォアボールで歩くと5番・小笠原がセンター前へタイムリーヒットを放ち序盤で4−0とリードを奪う。
攻めに転じたい四條畷は3回に早くも蒲田に代打を送る。無得点に終わったが4回からマウンドに上がった草山が好投を見せる。4回を無失点に抑えると5回に無死一、二塁のピンチを背負うが、東海大仰星・中村のバントに対しブルドッグを成功させる。二塁ランナーを三塁で封殺し、後続を外野フライに打ち取りまたもや無失点で攻撃につなげた。
その裏、草山は打撃でもチームに貢献する。一死一塁からチーム初の長打となるツーベースヒットを放ちチャンスを広げると山田昇、香村の連続タイムリーヒットで２点差に詰め寄る。
盛り上がる応援団の中には背番号66をつけた部員が多数。これは現3年生が四條畷高校66期生にあたり、最後の夏は全員が背番号をつけようということでベンチ入りした3年生がお金を出し合い、控えの3年生9人分の背番号を購入したもの。スタンドからの声援を受け、畳み掛けたい場面だったが東海大仰星バッテリーが一枚上を行く。2点を返され、尚も一死一塁で打順は２番。中盤の勝負どころでこれ以上傷口を広げたくないところ。2番・入江、3番・日笠を連続三振に仕留め追加点は許さなかった。決め球はどちらも低めの変化球、タイミングを外し自分のスイングをさせなかった。
四條畷・草山を攻めあぐねていた東海大仰星は7回、デッドボールとフォアボールで一死一、二塁とチャンスをつかむ。しかし、小笠原、井崎がいい当たりを飛ばしながらライトフライ、セカンドライナーに倒れ、欲しかった追加点が奪えない。2点差のまま迎えた終盤に試合が動く。
リードされている四條畷は8回、草山が初めて東海大仰星の攻撃を三者凡退で終わらせると、流れをつかむ。先頭の香村がフォアボールで出塁し入江の初球にはバスターエンドランを仕掛ける。これはファールになり、素直に送って一死二塁としたがこの攻めの姿勢がクリーンアップのバットに乗り移る。日笠がライトへタイムリースリーベースヒットを放ち、1点差とすると同点のランナーを三塁に置いて4番・平井を迎える。初球から積極的に打った打球をセンター・本田がダイビングキャッチを試みるが捕球できずボールが転がる間に三塁ランナー・日笠は同点のホームイン、打った平井は三塁へ進んだ。勝ち越しのチャンスをつかんだ四條畷はこのワンチャンスに賭けた。続く松本のセカンドで平井はギャンブルスタートを切り逆転のホームへ突っ込んだがこれはタッチアウト。二死一塁から途中出場の樋口のヒットで得点圏にランナーを進めたが5点目はならなかった。
ビハインド時から保護者を中心に熱心な応援をしていた四條畷スタンド、同点に追いついたことで9回の守備時更に熱が入る。アウトだけでなくストライクに対しても大声援。まるでリードして迎えた最終回、勝利目前かと思わせる熱狂振りだった。
その9回表、東海大仰星の攻撃は1番からの好打順だったが本田はレフトフライで先頭として出塁できなかった。同点、本田が倒れ一死無走者、初回と全く同じ状況で打席に入った吉田は初回と同じく、初球をライトスタンドへ叩き込んだ。東海大仰星スタンドの盛り上がり具合がここまでの苦戦を物語っていた。その後、草山のワイルドピッチと山下の2点タイムリーヒットで加点し計4得点。
敗色濃厚となった四条畷だが、9回裏、再びミラクルを予感させる。この回から登板の東海大仰星・岡野に対し一死から代打・大澤、香村の連打で１点を返すと入江がデッドボールを受け一、二塁。二死後、平井のタイムリーヒットで２点差まで追い上げた。依然塁上にランナーが２人おり松本のボールカウントは3ボール。サヨナラの緊張感が高まりつつあったがストライクが続いた後、打球はショートへ。一塁塁審の右手が上がり、ゲームセット。内野を中心に安定した守備力を見せ、必死の粘りで追い上げたがあととわずかに届かなかった。
(文：小中翔太)
