「交渉」と聞くと、荒野のガンマンよろしく1対1で向き合って丁々発止と言葉の対決をするというイメージが浮かぶかもしれませんが、実際のところは「交渉の三役割」を別々の人が分担できるように、チームを組んだ方がうまくいくものです。

本稿では、交渉に必要な三つの役割を解説した上で、とはいえ一人で臨まなければならない場合に、交渉ごとを上手に進めるための「愛犬の法則」を紹介します。

交渉の三役割は、応酬、記録、意思決定
「交渉」と聞くと相手と向かい合って丁々発止と厳しい言葉のやりとりをするイメージがまっさきに浮かびますが、それ以外にも「記録」、「意思決定」という役割も同じぐらい重要です。

「記録」はその名の通り、自分の発言や相手からの返答を書き留めるのが主な機能です。とはいえ、議事録をつくるのが目的ではなく、記録をしながらロジカルシンキングを駆使して交渉相手の「真のニーズ」の仮説を立てるのが本当の役割です。

交渉ごとというのは、こちらも相手も何らかのニーズがあり、それを達成したいからこそ行うわけです。ただ、「真のニーズ」が相手にバレてしまうと、交渉においては不利なポジションに立たされることが多いため、お互いにさらけ出すことはあり得ません。

たとえば、労働組合と会社の交渉をイメージしてみましょう。労使の交渉において論点となるのは、

 ・賃金
 ・雇用の確保
 ・労働時間の削減
 ・定年の延長

などなどいろいろ考えられますが、たとえば労働組合の側に立った時、一番勝ちとりたいのは「定年の延長」だと仮定しましょう。

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