/絶望的なやつは、あまりにも絶望的で、絶望的なことに気づくこともできない。だが、希望は、今の自分ではない自分をめざすという意味で、もともとそこに絶対的な断絶を含んでいる。そして、この絶望の深淵を知るものだけが、これを踏み越えて真に希望を叶えることができる。/

 おれは酔ってねぇ! と、どの酔っ払いも言うものだ。酔っ払ってしまっているのだから、酔っ払っていることなどわかるわけがない。同様に、ほんとうに道に迷っているやつは、道に迷っていることにすら気づきようがない。バカは、自分がバカであることすらわからないほどにバカ。逆に、酔ってるかも、迷ったかも、オレってバカかも、と気づいているやつは、まだ救いの道が残されている。

 ふつう絶望というと、希望があって、それが絶たれた状況のように思われがちだが、じつは、現状に安住して、なんの希望も持たないのも絶望的だ。まして、叶いっこないような希望に夢を膨らましているのも、これまた絶望的だ。そして、絶望的な連中は、あまりにも絶望的であるがゆえに、自分が絶望的であることにすら気づくこともできない。

 あなたの周りにもいるだろう。ある日、突然、政治家になる、とか言い出して、なけなしの全財産を選挙に注ぎ込んでしまう瞬間沸騰なやつ。アルバイトなんか割に合わない、とか言って、ごろごろと引きこもりを続けている粗大ゴミなやつ。本人は何を考えているのか知らないが、端からすれば、どう見ても絶望的。そんな生き方は、ある意味で、毎日が自殺だ。今日の自分を生かすことを知らないから、明日にはけして辿り着けない。

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