週明けの９月３日から、日本代表が活動をスタートさせる。30日には代表メンバーが発表され、国内から11人、海外から12人の合計23人が招集された。８月のベネズエラ戦から槙野、藤本、宮市が外れ、酒井宏、清武、原口が復帰した。

　酒井宏の招集は、内田の出場停止を考慮してのことだろう。彼は６月のオマーン戦、オーストラリア戦に出場しており、最終予選の雰囲気は体感済みだ。

　ベネズエラ戦で内田の不在を埋めた駒野は、遠藤の先制点をアシストした。所属クラブでもコンスタントに得点を生み出している。彼らふたりが揃えば、右サイドバックに不安はない。酒井高を起用するオプションもある。

　今野と栗原が出場停止のセンターバックは、イラク戦のポイントと見られている。
とはいえ、イラク戦はホームゲームだ。押し込まれる展開は考えにくく、センターバックが絶えず圧力を受けることはないだろう。序列を重んじるザックの采配を踏まえても、伊野波の先発出場が濃厚だ。ヴィッセル神戸所属のセンターバックは、６月のヨルダン戦でも今野に代わって途中出場している。

　むしろ気になるのは、長谷部のコンディションではないだろうか。ザックが信頼を寄せるキャプテンは、所属するヴォルフスブルクでゲームに出場していない。９月６日のＵＡＥ戦が調整の機会になるとしても、試合勘やゲーム体力への不安は残る。

　ボランチの３番手である細貝も、定位置確保に至っていない。８月18日のドイツカップ１回戦、同25日のブンデスリーガ開幕節では、出場機会を得られなかった。
オマーン戦やヨルダン戦のように前半のうちにリードすれば、その後のゲームプランは立てやすい。ボランチの運動量が落ちてきても、交代のカードをあてる余裕がある。

　イラク戦が０対０や１対１で推移すると、ザックは難しい選択を迫られる。リードを奪うためには、攻撃の活性化を狙った選手交代が必要になるからだ。

　アジアカップやワールドカップ予選といった公式戦で、長谷部が途中交代したのは二度しかない。それも、後半終了間際の時間稼ぎか、試合の大勢が決したあとである。

　海外組がチームの半数以上を占める状況は、華やかにして頼もしい。だが、所属クラブでのプレー時間が短ければ、そのぶんだけコンディションへの不安は募る。このところハーフナーが出場機会を減らしているのも、フィテッセでスタメンを確保できていないことと無関係でないだろう。

　海外組が一時的にでも出場機会を減らすのは、今後も想定される。６月シリーズのような連戦ならともかく、単発で行なわれる公式戦ではゲーム勘の欠如が致命傷になりかねない。ここから先は、ザックのチームマネジメントがより重要になってくる。