三宅久之氏

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 「彼の"改革の志"は買っています」――。2012年3月28日夜、ニコニコ生放送の番組に出演した三宅久之氏は、「橋下徹・大阪市長の『大阪維新の会』をどう思うか」という視聴者の質問に対してこのように答えた。今春で政治評論家の"引退"を表明している三宅氏は、これからのメディア、そして日本の政治の未来について、どのような"置き手紙"を残すのだろうか。番組の終わりに、「寂しい」「また来てください」という引退を惜しむ声が視聴者から寄せられると、三宅氏は「評論家冥利に尽きる」と語った。

 以下、番組の後半部分を全文書き起こして紹介する。

・"引退"直前の政治評論家・三宅久之氏がニコ生に初出演 「国会の野次はユーモアのかけらもない」 全文書き起こし<前編>
http://news.nicovideo.jp/watch/nw228212
・[ニコニコ生放送]本記事の書き起こし開始部分から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv85917754?po=newslivedoor&ref=news#0:31:04

■"権力"とケンカするときの注意点

角谷浩一氏(以下、角谷): 派閥に付いてくる番記者。それは、会社から「お前、ここの派閥行け」と言われて配属されるんだけど、そこで頭角をあらわしてくると、派閥を取り仕切る記者が出てきたり、「お前、立候補しないか?」という話が出てきたりする。つまり、それくらい、政治家養成の予備軍みたいな部分もあったということですか?

三宅久之(以下、三宅): 予備軍ということもないでしょうけど。ただ、本当に「心しなきゃいかん」と思ったのは、派閥でいろいろな・・・。例えば、私も河野派だけを持っているわけではないので、いろいろなところに行くでしょ。

 例えば総理大臣にもなったことがある人だけども。寒い夜に、10人ぐらいの記者が集まることがあるでしょ。その内の1人を呼び出して、「○○君、暖炉の火が消えかかっているぞ」って言うんですよ。新聞記者にですよ。すると「はい」と言って、焚き木を持ってきて、(暖炉に)くべる奴がいるんですよ。普通、そんなこと言いませんよ。書生かなんかにやらせりゃいいことでね。

 そういう時に、唯々諾々としてやっていると、みんな顔を見合わせるんですよ。「あいつやっぱり、金を貰っているんじゃないか」と思うわけですよ。そうじゃなかったら、新聞記者に向かって「火が消えかかっているぞ」なんて。そんなことは、女中さんか書生を呼んで言えばいいことであってね。そういうことですから、(番記者仲間で)ワイワイとやっていても、何となしに、正道から外れていると分かるんですね。

角谷: もう一つ、記者クラブの問題とあると思います、一方で、僕らは最初、先輩の記者から言われたのは、取材対象との距離の取り方。「ご飯を御馳走になったら、次のときには、安い焼鳥屋でもいいからおごり返して、チャラにしとけ」と。それをやらないと、取材対象に取り込まれちゃったり、いつの間にか、そういう関係ができちゃって、子分みたいになっちゃったり、向こうの言い分だけ聞くようになっちゃう、と。それを、「西山事件」を材料にして教わったことがありました。

三宅: 西山っていう人は、(外務省の)女性事務官と関係があったと叩かれたわけだけど、金を持っていたんですよ。彼のお母さんが九州の小倉かなんかに、いろいろな不動産やなんかを持っていてね。

 「西山事件」が起きた時に、私は部長から頼まれて西山の家まで行って、預金通帳を見せてもらったことがあるんですよ。それで、どこから振り込まれているかをチェックしたことがありますよ。金のことでそんなに汚いということは、なかったんだと思いますけどね。私は一緒に仕事したことがあまりなかったもんだから、よく分かりませんけどね。

角谷: そういうこともあったり、距離の取り方というのは、僕たちは権力を持っている人たちと付き合うわけだから、取り込まれたり、逆に対立して権力を使われて追い込まれたりする危険もあったりする。だから、(自らを)律してないと面倒なことに・・・。

三宅: 角谷さん、その通り。だから、特に権力相手にケンカする時は、「金と女のこと」については、自ら省みて、自信がなきゃダメですよ。それは、検察も警察も、国税だって権力を握っているわけですからね。(身辺を)洗われて、オタオタするようだったらダメですよ。

 「西山事件」のときに、それは確かにアメリカが軍用地を日本に返還するにあたって、(400万ドルの)復元保証をして還すという約束が(1971年の沖縄返還)協定にあるにも関わらず、アメリカの議会が「タダで領土を還してやるんだから、金までやることはない」と反対しているというところにあったわけです。

 それならそれで、政府は国民に言えばいいんですよ。だけど、沖縄返還を望む(沖縄)県民の声を無視できないから、「この際この400万ドルについては、追々取り立てることにして、とりあえずは日本政府が肩代わりして払います」と言えばなんていうことはない。

 当時の外務大臣の愛知揆一さんが、「アメリカが(400万ドルを)払ったように見せかけよう」なんていう小細工をやろうとするから、ゴタゴタになったわけでしょ。この問題と、西山が女性事務官とある種の「男女関係にあった」ということは、切り離すべき話です。だけど、公判が始まって、検事から論告求刑の中で「密かに情を通じ・・・」と読まれると、やっぱりガラッと変わるんですよ。

角谷: 空気がね。

三宅: ええ。それまで政治部のデスクに外からかかってくる電話では「知る権利を守れ」「佐藤内閣に屈するな」という電話がほとんどだったけど、ガラッと変わって「そんな汚い手を使ってネタを取っていたのか。もう(購読は)やめた」と。そういうのがワーっとくるわけですよ。

 ですから、やはり(権力との対決を)やる時は、ちゃんとしてやらないと大変だな、と。もう、潮目が変わるときというのは、目には見えないですけどね。「自分の身はちゃんとしなきゃいかん」と思いましたね。

■三宅氏は"官房機密費"を貰ったのか

角谷: で、そうなると、(コメントの)書き込みもいっぱい書いてあるんですけれども、「三宅さんは官房機密費を貰ったんじゃないか」というようなことが1回言われて、そのときも三宅さんは一生懸命に説明していたけども・・・。

三宅: このことは、私が、上杉隆君にテレビでも十分説明したんだけども、簡単なことで、こういうことなんですよ。中曽根内閣で、藤波孝生という・・・。
角谷: (中曽根内閣の)官房長官でした。

三宅: 彼は、早稲田大学で私の2年後輩なんです。今の民主党の長老の渡部恒三(民主党最高顧問)さんと同期ですよ。学生時代からよく知っていたんです。彼が官房長官になったとき、11月か12月ごろに「官房長官になったから、東京を離れられない。(地元の)新年会での講演を2つ、先輩が肩代わりしてくれませんか?」と言うから、「いいよ」と言って、肩代わりしてやったわけですよ。そしたら、藤波事務所の個人秘書が「お礼」を持って来たんです。それを貰っただけで、私は「官房機密費を貰った」という印象はまったくなかったんです。

 それを上杉君がいろいろ言うから。だけどその当時、私は新聞記者じゃありませんから、「政治評論家が、あっちこっちに行って講演して、金を貰うというのは、『立木の道』を立てるもので当たり前のことだから、ちっとも恥じることないよ」と言っただけのことです。

 金の出所といったところで、札に「官房機密費」って書いてあるわけじゃないしね。もう何十年も前の話でよく覚えていませんが、彼(藤波氏)の議員会館の秘書が封筒に入れて(金を)持ってきたんですよ。だから、「はい、ありがとよ」と言って受け取った。当時は、(世の中が)いい加減だったから、私も税務申告しませんでしたけどね。そんなに人から糾弾されなきゃならんようなことじゃないんですよ。

角谷: そこなんですよ。(報道機関に勤める)社員ジャーナリストと独立しているフリー。例えば、僕らって講演があれば行きます。僕なんかは三宅さんのような講演料じゃないですけど。僕は政治家に頼まれて、政治家の講演でしゃべるときには、交通費だけで、(講演の)ギャラは貰わないようにしているんです。

三宅: どうしてですか?

角谷: それは、特定の政治家だけに(講演を)やっていると思われると困ると、自分では思ったから。そのほかでは、「困っちゃったから、(講演)やってよ」と官房長官に頼まれるような立場じゃありませんから。

 だけど、(政治家以外の)人から「政治の説明や最近の政局をしゃべってほしい」と言われた講演は、通常通りにギャラを貰います。それは当たり前です。それを生業にしているからです。だけど、政治家に、何か特定になっていくと・・・「ちょっといけないかなぁ」って僕は思っている。

三宅: でも、特定にならなかったら講演なんか頼まれませんよ?

角谷: そうなんですよね(笑)。

三宅: 見ず知らずの人に(講演を)頼むってことはあるかな?

角谷: そうなんです。その通りなんです。

三宅: やっぱり顔なじみで「あの人ならば」ってことで、頼むんでしょ。

角谷: 信頼関係があるからです。

三宅: 例えば、この前、読売新聞出身の大谷(昭宏)さんっていうテレビに出ている人。彼なんかも、政治家の何かに出てお金を貰ってどうのこうのって書かれていたけどね。そんなのかわいそうじゃないですか。別に、特定の企業に属して月給を貰っている人なら別ですよ。しかしフリーでそういうところで講演したり、テレビに出たり、物を書いたり、いろんなことして、立木の道を立てている人に、「けしからん」って言う方がどうかしている。

■「お酒をやめなさい」 中川昭一氏を叱った三宅氏

角谷: テレビで「この議員はいいから、こいつだけを応援しろ。ほかの奴はダメだ」って言うわけじゃないからね。逆に僕は、前回の選挙でしたか・・・中川昭一さん、もう亡くなりましたけど、中川さんの選挙前の地元のパーティーに、三宅さんが行って、「あなた、お酒を少し控えて大事にしなさい」と言っている映像も僕は見ました。

 やっぱり信頼関係があって、「三宅さん、地元に来て、みんなの前でいろんなことしゃべってくれ」と中川さんに言われればやっぱり行く、と。そこで、なんでも「この先生は立派で」なんて誉めるだけじゃなくて、「あなた、国民のために地元の人のために断酒宣言しろ」というのを僕は見て、これだと思ったんですよ。

三宅: そうです。ありがたい。あの時、私もたまたま行って、何の話しようかと思っていたら、私の前に、高橋(はるみ)さんっていう女性の北海道知事が「中川先生は素晴らしい方で、北海道のためにどれだけ役に立っているか分からん」っていう話をする。

 一方では、イタリアでメロメロ記者会見をやった直後ですから、「ああ、こんな褒める話じゃダメだな」と思って、「おやじの中川一郎に成り代わって、中川昭一を叱りに来た」と言った。まぁ、そのとき本当にそう思っていたから、「あなた、ともかく酒やめなさい」と。昼間から、会館でワインなんか飲んでいると、証言者がみんな言うんだから。「それはダメです。やめなさい」って言ったら、彼(中川氏)、断酒宣言をやるって言わなかったんです。

 そしたら、(中川氏の)叔父さんで参議院議員やっている人が「私がもう一遍、壇上で、どやしますから」って言って上がって、昭一さんに「三宅先生が言っているんだから、ちゃんと断酒しなさい」って言ったら、不承不承上がっていったんですよ。

 ところが、あのとき当選したのが小沢さんの秘書の石川(知裕)さんって人ですよ。後になって、彼(石川氏)から「地元紙にデカデカと(三宅氏と中川氏の)話が出たんです。その時に『あ、これは三宅さんにやられた。これをバネにして中川さんは盛り返すんじゃないか』と思ったけど、うまい具合に私が当選しました」って言われました。

角谷: なるほど。だから、(取材対象者との)距離の保ち方は、自分たちが分かっていても、傍から見ると全然違うことに見られることがある。これは、やっぱり大変難しいことだなと僕もつくづく思いました。まさに、石川さんから見れば、三宅さんの厳しい発言も・・・。

三宅: 陣営が、かえって引き締まると思った、と。

角谷: こういうふうに思っちゃう。だから、選挙が絡んでくると本当に難しいと思いますよ。公正中立な話をしているつもりだし、「これはダメだから、けしからん」と言っていても、やっぱりそれが話題やニュースになる。だから、やっぱり三宅さんの影響力がすごいってことも含めてね。

三宅: いやいや、そんなことじゃないんだけど(笑)。たまたま私は、いつも講演は、あまり筋書きを立てないんですよ、思いつきでしゃべっているというと相手に失礼なんだけども、まあその場の雰囲気でね。

角谷: ええ、分かります。

三宅: だいたい立ててね。

角谷: お客さんのなんか期待している感じもありますしね。

三宅: そう。雰囲気ね。

■政局を動かしてきた!? 知られざる"山里会"とは

角谷: もう一つ、今日はどうしても伺いたい。山里会という勉強会があります。これは今までも、いろいろ大きく話題に上がりました。

三宅: そうですね。

角谷: それでちょっと簡単に説明します。山里会というのは、読売新聞のグループの代表の渡邉恒夫さん、それから三宅さんが次席のような立場です。そのほかにも新聞社の政治部出身のOBだけが入れる政治の勉強会。そういうお店のとこでやるので山里会という名前が付いている、と。

 これはもう、どこでどういう話かも全部オフレコ。ちょっと漏れた可能性があるような人がその後に入れなくなっているのも、ちょっと承知している感じがします。何人かそういう人もいました。これは大御所のナベツネさんや三宅さんや大物の政治評論家が並ぶ席に、政治家がゲストスピーカーで来てしゃべります。そこでの話は絶対に表に出ないんだけど、そこが中心に話題になったこともいくつかありました。

三宅: うん、ありますね。かつて森内閣のときに、加藤紘一さんに「今度の内閣改造でどうですか」って話をしたら、「森さんに内閣改造なんかやるんですか。私が組閣をやるんですよ」っていうような話でね。それで、野党の不信任に賛成して、森内閣を倒すって話になって。

 そのときは、私は言わなかったんだけども、そのメンバーの中には森内閣の内閣参与って肩書きを持った人がいたんですよ。それで、あっと言う間に政界を駆けまわって、野中広務さんが乗り出してきて、山崎拓さんを潰したんだけども。恐ろしいところだっていうことになったことがありました。

 もう今から20年近く前、15年・・・もうちょっと前でしょうけど、渡邉さんが、最初に呼びかけたのは私とか、もう亡くなりましたけども、角さんの秘書をやっていた早坂茂三さんとか、当時一緒に政治記者をやっていた連中に声を掛けた。

 新聞社を辞めて何年か経つと、やっぱりかつてのライバルが懐かしくなるんですよね。そういう話をしながら酒でも飲もうじゃないかってことで、数人で集まって、昔話するだけじゃ芸がないから、そのとき一番旬の政治家を呼んで、話を聞こうじゃないか、と。こういうことで始めた。

 もう15年・・・もっと経ちますかね。まあたまたまやったのがホテルオークラの山里という店。先月ですか、(自民党総裁の)谷垣禎一さんと野田総理とが密会をやったと言われている場所。あそこで、毎月やるもんですから、山里会って名前を付けている。

角谷: 毎回、そんなに話題になるわけじゃないんですけど、山里会に誰がその月出たかというのも、やっぱり周りから「なるほど、この人を今日は呼んだってことはどういうタイミングなんだろうか」と穿った見方がされる。

 そういう意味では、僕らにとっては大変興味深いけれども、一方でそこでのオフレコがものすごく日本の政治や政局を動かしているのは、加藤の乱のいきさつ以降、非常に重要視されてきた。でも、そこの中身はなかなか出てこない。これは、ただの四方山話ばかりではないはずだし、それぞれ大変影響力のある人たちで、世の中やメディアを大きく動かす人たちが参加している、と。

三宅: いや、それほど大したことない(笑)。

角谷: そうですか。

三宅: 政局の話などやりますけどね。いろいろ今世間で噂になっていることについて、みんなそれぞれ見解を述べたり、「それは違う」「俺はこう思う」と言ってみたり、まあワイワイガヤガヤが8割くらいかな。2割くらいは、「ところで、せっかく今日はこの人呼んだんだから」ということで話を聞いたりすることがありますけどね。
角谷: でも、そのメンバーに睨まれたら現役の政治家だって何でもしゃべっちゃうんじゃないですか。

三宅: 割合みんな率直にしゃべってくれるんです。それだけに、オフレコという約束は、守らなきゃいかんと思っています。ただ、ある総理経験者、ともかくそこで出た話が、ネット上で一問一答全部書かれて、こっちがオフレコ守っていんのに、自分でしゃべっちゃどうしようもないなって。うん、まあ、民主党の・・・総理経験者がいましたけどね(笑)。

■政治記者はどうあるべきか

角谷: ちょっと番組も後半になってきて、この質問もぜひ伺いたい。

三宅: はい。

角谷: 政治記者っていうのと政治記者の役割、本来はどうあるべきなのか。もちろん先ほど(政治家との)距離の話をしました。それから社員新聞記者のジャーナリズムと、まあ私たちフリーの政治評論やジャーナリストをやっている人間、距離の保ち方だとか付き合い方、物腰、いろいろ必要だと思いますけど、後輩に言うとしたら、どうあるべきか。「こうじゃなきゃならん」「今の現実の政治取材はおかしい」というのがあれば教えてください。

三宅: これはね、一長一短があるんですよ。私たちのときは、つまり記者会見なんてものは仮の姿でね。自宅で会見やって終わりということで帰るでしょう。帰ったと見せかけてまた戻って、いろいろ本音で、サシでやるってことがあった。それから寝室記者といって、寝室まで奥さんが入るのを認めてくれているということが、そんな自慢にもならないけど、内心は驕りにするようなところはあった。

角谷: 腹を割るような関係だった。

三宅: しかし反面、癒着と言われることが多かったことも事実ですよ。会社自体が、つまりもうとことん食い込んで、「自家薬籠中の物とせよ」というのが社命ですから。それで夜討ち朝駆けで、私が河野さんを担当して最初の1年間に、自宅に600回は行ったと思いますよ。朝晩行くんですから。行かないのは東京にいないときだけですよ。そうやって一所懸命食い込む。

 例えば私は博打が嫌いで、競馬なんて大嫌いです。だけども、河野さんが競馬好きだったから、日曜になると、だいたい河野さんの家に行くと、「これから競馬に行くから君も(車に)乗れ」っていうように行ってね。私もしょうがないから馬券買ってみたけど1回も当たらなかったくらい。幸せだと思っていますけどね(笑)。

 そういうようなことをしてやるわけです。だけど癒着が生じるってことも事実でしょう。「金さえ貰わなければいい」という先輩もいたけども、しかし傍から見れば、例えば、私が河野さんの横に乗るとき、知らない記者がついでに乗ろうとすると「君はダメだ」ってやるわけですから。それをやられた記者にしてみれば、「なんだ、この癒着野郎」と思うでしょう。そういうことがあった、と。

 それを反省して、担当をローテーションで固定化しないということを今行われているようです。そうすると、いわゆる会見万能主義みたいになって、会見が終わると手帳でメモを・・・。

角谷: すり合わせて。

三宅: すり合わせる。つまり、みんなで渡れば式になって、特ダネもなければ特打ちもないってことになってくるでしょう。それより、私が今一番ひっかかるのは、会見は会見でいいんだけども、もうその会見している人の顔も見ないで、一所懸命(パソコンのキーボードを)カチャカチャ打っているでしょ。相手が質問したときにどんな表情の変化を見せるかっていうのも取材のうちだと思うんですよね。

角谷: そっちのほうが取材だと思うんですけども。

三宅: 角谷さんそう思うでしょ。それがなしに、下向いてカチャカチャカチャカチャやってね。私も聞いたことがあるんですよ。なんで君らはそんな下ばかり向いている、と。「デスクが『すぐよこせ』と言うので、後でゆっくり叩いている暇がない」と言うんです。これは言う方も言う方だなと思ったけども。そういう点で非常に違和感がありますね。

角谷: そういう会見は全部オープンにしてもらって。会見なんですから。ニコニコ動画で中継を見ればいいじゃないかっていうふうに僕は思っているんですけどね。

三宅: はいはい。

角谷: だから潤沢な記者を置ける社なら、テープ起こし要員と質問者とたくさん来るかもしれないけど、なかなかそうはいかない、と。そのときに、たしかに言ったことを全部メモしました、と。だけど、それは言ったことのメモであって、やり取りじゃないんですよね。

三宅: こんなことを言うと偉そうに聞こえるでしょうけど、若い頃は20〜30分の会見くらい、だいたいのことは集中すりゃ覚えられますよ。

角谷: やり取りはね。

三宅: ええ。やり取りを覚えているくらい集中して、やるべきものでね。私らのときはレコーダーなんて重宝なものがなかったからね(笑)。

角谷: だいたい携帯もなければメールも何にもない時代ですから。

三宅: 頭で覚えるよりしょうがなかったんですね。それからメモ帳出して書くっていうのもね。数字がある場合は、さりげなく書くんだけれども。

角谷: 「何がその時のあんこかな」というのは、聞きながら決めていくもんでしたよね。たしかに時代も変わったし、スピードも違ったし、朝夕原稿入れりゃいい時代ではもうないかもしれないけども。でもその分、政治家に本当に食い込むとか。まあ、食い込むと癒着のバランスは難しい。

三宅: 角谷さん、こういうことがありますよ。やっぱり、取材対象の政治家と、考え方がある程度共通項がないとやっぱりダメですね。

角谷: なるほどね。

三宅: 例えば大げさに言えば、国のあり方とか、それから政治の進め方とかについて、共通認識があれば非常にいい。ない場合でも取材しなきゃならんってことはありますよ。だけども、まったく考え方の違う人を取材するのは苦痛なことがありますね。

角谷: たしかにそうでした。分かります。

三宅: だからそれは、記者である限りにおいては、どんな人を相手に取材しなきゃならんか分からないから、自分のイデオロギー、まあイデオロギーっていうほどのことじゃなくても、モノの考え方とか違う場合もありますからね。

■三宅氏「野田総理を評価している」

角谷: 国家観とか、「これからの日本はこうあって欲しい」という願いが近いかどうかとかね。少なくとも、そういう議論を戦わせる間かどうかってことになりますね。「三宅さんの考えは僕と違いますよ」なんていうふうな議員とやっていたら、どうしても番記者なのに批判的な原稿が出てきたりなんてことがあるでしょうから(笑)。

 さて、メールがたくさん来ています。三宅さんに質問があります。東京の男性です。

「三宅さん、こんばんは。3月で引退なさると聞いて大変驚きました。時代の流れに媚びずに自分の考えを熱く語るお姿をテレビで拝見していて大変痛快でした。ズバリ、もし三宅先生が今総理大臣になったら、どんな政策にまず真っ先に取り組みたいですか」

三宅: 私は総理大臣になるなんて大それたこと考えたことありませんけどね(笑)。憲法上、最低国会議員じゃないとなれないってことですから、我々はどうにもなれないんですけども。今、野田さんは、評判よくありませんよね。最近支持率が持ち直したといっても3割ちょっとくらいでしょう。だけど、私は評価しているんです。公然とエールを送っているんです。

 彼が去年の9月に、代表選挙を前にして『文藝春秋』に論文を書きました。そこで、例えば「消費税のアップ」とか「TPPへ参加」とか、いくつかの公約を掲げているんです。(もし)総理になったら、彼は「必ず守ります」と。私にも言いました。それで今、現に悪戦苦闘しているわけですよ。

 彼が、総理大臣に長く留まりたいと思ったら、そんな国民が嫌がるような消費税の値上げとか、あるいはTPPへの参加って言わない方がいいわけですよ。何にもやらなかったら、少なくとも衆議院の任期いっぱいくらいはやれますよ。だけど敢えて、チャレンジしなきゃならんという使命感を持って。持たない者が総理大臣になったときは悲劇ですよ。

 例えば、鳩山(由紀夫)さんなんて、本当にいい人だ。隣人として馬鹿話して、音楽会一緒に行くとか、ワインでも飲めば、こんなに楽しい人はいませんよ。だけど、やっぱり総理大臣としてはダメでしょうね。やっぱり自分の使命感を持ってやる人じゃなきゃいかんし。それがそのときの国が置かれている状況とマッチしなきゃいかんでしょうね。

角谷: いろんな意見あると思いますけど、この8日間の民主党のやり取りは、夜中までやったのが立派だとかそうは別に言わない。だけど、民主党は消費税(増税)という考え方をマニフェストで否定してきたわけですよね。

三宅: そうです、そうです。

角谷: だから、やっぱり財務省の作った法案をやらされた感を、(民主党の)執行部もみんな持っていたと思うんですよ。

三宅: あるでしょうね。多分そうだと思いますよ。現に、「4年間消費税を上げない」と言ったんだから。それはアンフェアだというのはその通りだと思う。だけど、政権を取ってない野党のときは、そういうこと言うんですよ。

角谷: そうそう。その上で考えることだから。

三宅: 「予算を組み替えて節約すると、新政策の16兆8000億が出てきます」とか、夢みたいなこと言っていたわけですよ。しかし、政権を取ってみると、そうはいかんということが分かってくるわけです。だから自民党と似てきたじゃないかって、その通りだけども。やっぱり現実に政権を取れば、そういうもんなんですよ。そんなにドラスティックにパッと財源が出てくるんなら誰も苦労しないんでね。

角谷: そうですね。だから8日間ワイワイやったのは、ガス抜きなのか、セレモニーなのか言われるけれども、民主党は自分の法案にするためのプロセスが必要だったんじゃないかと僕は感じたんですけども。

三宅: ただ、結論が出たら、異議があっても党議に従うという姿勢がなかったらダメですよ。いま小沢グループがいろいろゴネて、党から離党するとか、いろんな噂が紙面を賑わせていますけども、それでは政党の形がめちゃくちゃですよ。

 だから議論は尽くすと。だけども結論が出れば、よく野田さんが言うように、51対49でも51に従うというのが基本的ルールですから。それだけは、やっぱり間違わないようにしないと、せっかく作った民主党がバラバラになってしまいますね。

■「橋下大阪市長の"改革の志"は買っている」

角谷: では次の質問です。東京の男性です。

「記者クラブの問題点などがよくネットで議論されています。三宅さんは記者クラブというところをどう思うか」

三宅: 記者クラブっていうのは、役所にも新聞記者にも都合のいい制度だけども、排他性があるというのは事実ですよ。ただ、その記者クラブにいれば昼日中昼寝していて、打ちもなくて、すべてどうにかなるというようなことは、おそらく今ないんじゃないですか。かつて私らが現役でいた頃は、テレビ局を入れるか入れないかで、ずいぶん問題になったことがある。

角谷: すごい時代だった(笑)。

三宅: それは、反対(派)が、新聞がテレビの速報性に負けるという恐怖感があったからなんですよ。

角谷: なるほど。

三宅: 私はそんなことで争ったって意味はない、と。「よ〜いドン」でやっても、テレビの方が勝つに決まっているんだから。だから解説なんかで、自信のある物を書くということで対抗していくしかないんじゃないか、と。もう今から数十年前から、私はそう思っていましたね。いま記者クラブがどうなっているか知りませんけど、私はそのときから新聞記者だけでテレビ局を入れないなんてことは、およそナンセンスな議論だという立場だった。

角谷: そういう議論があった時代もあるんですね。テレビを(記者クラブに)入れるかどうか。ニコニコ動画もネットとしてやっておりますけども・・・。

三宅: あっはっは(笑)。

角谷: ネットを入れるかどうか、みなさん議論していただければと思います。次は埼玉の男性です。

「橋下(徹)さんの大阪維新の会についてどうお考えですか」

三宅: 私は、橋下さんを買っているんです。たしかに、「一院制にする」とか「首相公選論」とかは憲法改正しなきゃできません。いま憲法改正は、非常にハードルが高いから、絵に描いた餅になるでしょう。だけど、政策目標は大風呂敷の方がいいんですよ。

角谷: なるほど。そのくらいの覚悟で行きますよ、と。

三宅: どっちみち現実的には、「これもダメ。あれもダメ」って削られていきますから。最初は大風呂敷広げていいじゃないですか。欠陥があると言えばあるし、橋下さんの政治の進め方のスタイルに対して、「ハシズム」といって、ヒットラーを思わせるという批判があることも重々承知だけども、彼らは4年毎に選挙の洗礼を受けていくわけですから。

 だけど、選挙で選ばれれば何やってもいいかとも思いませんけどね。しかし、大阪っていうのは、またひどいんですよ。労働組合や同和関係の既得権益が非常に強くて、人事の場合でも、彼らの意見を聞かなければ、何も動かせないということもあったわけですから。多少ドラスティックな改革をやる場合には、ちょっと血の出るようなことがあるでしょうけど、私は、彼の"改革の志"は買っています。

■「安倍晋三にもう一遍やらせてみたい」

角谷: なるほど。はい。高知の男性です。

「今後の日本における天皇制の在り方についてご意見をお聞かせください」

 これ多分、橋下さんの首相公選制も、天皇制には抵触してくるだろうということも含まれているんだと思います。

三宅: 首相公選論の一つの盲点というか、つまり大統領制みたいになったときに天皇とどうなるとか、誰が国家元首かという問題が出てくる。橋下さんなどは天皇制否定論者じゃありませんから、首相公選論の場合でも選ばれた者は、今の憲法7条みたいに「天皇の国事行為」として、天皇陛下が任命するというような形をとるんだと思う。

 いま当面の問題は女性宮家の問題ですよ。これを今の内閣でやろうとしているけれども、これに対する抵抗がかなりありますね。これが、愛子様を天皇にする道を開くんじゃないかということで、いま問題になっているんだけども。

 私の持論を展開するには、ちょっと時間がないと思うんですけども、ともかく慎重にやってもらいたいと思いますね。

角谷: なるほどね。はい。大阪の男性です。

「こんばんは。大阪在住の30歳の男性です。三宅先生の歯に衣着せる物言いが生き方そのものだと思うのですが、命を狙われたことはありますか。またはそのような気配を感じたことはありますか?」

三宅: その手の脅迫状が来たりしたことはありますね。そのために、警察が特別警護対象みたいにして。実際に身に危険が及ぶようなことはなかったし、私はそれほどの大物でもないですから。実際にはないんだけども。警察はやっぱりいろいろ心配しますので、そういう脅迫状が来たときは届け出て、それなりのことをやってもらったことはあります。

角谷: それなりのことは過去にあった、と。やっぱり物を言うってことはそれなりの覚悟も必要だってことかもしれませんね。(次は)広島の男性です。

「安倍晋太郎さんや渡辺美智雄さんのように、あと一歩で総理大臣になりそびれた人たちがいますが、その中で三宅さんが特にこの人に総理になって欲しかったと思う政治家は誰でしょうか?」

三宅: 私は、その駆け出しの記者の頃、安倍晋三さんのお父さんの安倍晋太郎と毎日新聞で一緒だったんですよ。政治部でね。

角谷: そうですね。

三宅: (一緒にやったのは)3年くらいでしたか。でも、とても心の暖かい人で。こっちはチンピラでしたから、政治論議をあまりやった記憶にないんだけども。心情的には、安倍晋三さんも含めて・・・。

 安倍晋三さんはちょっと辞め方が悪かったから、まだ国民的な理解が得られないと思うけれども、彼の志というのは、今の政治家の中ではきわめて明快で、しっかりしているので、もう一遍やらせてみたいなっていうのはありますけどね。

角谷: いま自民党内では構えを見せているような話もありますから。そうか、安倍晋太郎さんも毎日新聞政治部出身。

三宅: そうなんです。

角谷: OBがなかなか大物多いですね。

三宅: そうでしたね。

■「ラーメン特集」はニュースと言えるのか!?

角谷: 現役がどうかは、ちょっと今は言わないようにしておきますけども。はい。埼玉の女性です。

「この人に日本の未来を託したいというような政治家はいるんでしょうか?」

三宅: うーん。当面は野田さんを叱咤激励して、やっていかせるよりしょうがないでしょう。野田さんは、慎重な人だけども、方向性は間違えないでやってくれるんじゃないかと私は期待をしているんですけどね。

角谷: なるほど。石川の男性からです。

三宅: 先生、引退するのは寂しいです。若者にメッセージはありますか。また若いうちにしておくべきことはあるでしょうか?」

三宅: 「若い者がダメだ」というのは年寄りが必ず言うんですね。5000年前のエジプトでも、なんか・・・。

角谷: 書かれているというのがありますね。今どきの若い者はダメだって。

三宅: ありますね。(当時の)公務員が「今どきの若い者はなってない」って書かれているっていうから。いつの時代もそういうことは言うんでしょうね。だけども私は、今度の東日本大震災でも、若い人がたくさん駆けつけて、いろいろやっているのを見て、日本の将来もまんざら捨てたもんじゃないと思っていますけどね。

角谷: そうですか。若者は今、たぶん混沌としていて、「これからどうやっていけばいいんだろう」という複雑な時代ですけどね。

三宅: ええ。ただ、私にはちょっと理解に苦しむことがありますよ。例えばAKB48なんて、あれはどこが面白いんですか。

角谷: ふふふ(笑)。

三宅: ああいうのが、私はどうしても理解できない。

角谷: 理解できない、と(笑)。

三宅: それからテレビなんかでも、オセロ(中島)っていうのが、今盛んにやっているけども、そんなに世を上げてワイワイ言うほどの大物芸人ですか。あの程度のもので、ワイワイ言うのはどうかしていると思うんです。別に犯罪者でもないし、子供でもないんだから、誰と同棲同居していようと、ほっとけばいいと思うんだけどね。

 まあ、それは若者とは関係ありません。最近の風潮を見ていて、前からそうかも分からないけど、どうかと思いますね。もっと、やることがあるんじゃないか、と。ついでに言えば、民放の夕方のニュースで、「ラーメン特集」ばかりやっているのはどういうわけでしょうね。私は「あんなもんはニュースと言えるのか」と思ってね。

 そんなことなら、例えば地方局で面白いチャンネル(番組)はたくさんあると思うんですよ。ローカルだけしか放送しないというのを、全国ネットに乗せてやれば、「ああ、ここではこういうことやっているのか」と、余程参考になると思う。「ラーメン特集」とかは、何もない時にクッションとして取っていることはあるかも分からないけども、あんなものをダラダラやって、作っている方は恥ずかしくないかって思いますよ。

角谷: それも、いろんな番組の中でやるならいいんだけども、ニュースだっていうのがおかしい。

三宅: おかしいですよね。

■「評論家冥利に尽きる」

角谷: 僕は、なんでニュースなのに「ラーメン特集」や「食べ放題特集」をやっているのかよく分からない(笑)。こんなふうに今でも、三宅さん、興味の幅は相当広いですね。

三宅: はっはっは。いやいや、そうでもないんですけどね(笑)。

角谷: これは・・・引退は、でも・・・。

三宅: でも、こんなふうにリラックスして、言いたい放題言うっていうのも楽しいですね。今ラジオは比較的そうですけどね。テレビはやっぱり、ある程度進行があって、そこでコマーシャルとかやたらにあるから、途中で話を切られることが多いんでね。

角谷: (話を切られて)話を戻さなきゃいけなかったりとか。三宅さん、もう脱線したまま、とにかく三宅節を聞いて、「なるほど。やっぱりそういうふうに見ているか」「テレビの中じゃこうだけど、本当はこういうふうなんだな」と若い人が感じるのがあってもいいじゃないかと。ニコニコ動画、たまには(出演は)どうですかね?

三宅: いいですねえ(笑)。

角谷: いいですか。

三宅: でも私は、ともかく足を洗うことにしたんでね。もうちょっと早く声をかけてもらえれば、何回か出られたとは思うんだけど(笑)。自分で辞めますって言ってから出るのも、どんなもんでしょう。

角谷: まあ、じゃあ様子を見ながら、また三宅さんの意見はどういうものか、三宅さんがどう考えているかというのはぜひ機会があったら。

三宅: 今日は楽しかったですよ。

角谷: そうですか。ありがとうございます。

三宅: ありがとうございました。本当に、肩の力抜いてしゃべれた。

角谷: でも本当は、こういうふうに話したい時もたくさんあると思うし。難しい話だけじゃない。でも政治は、たぶん僕も同じような仕事させてもらっていると、特別なことじゃなくて生活の中ですから。みなさんが普通に生活している中で思ったことと政治はほとんどくっ付いている話が多いんですよね。

三宅: 政治家がダメだって言うけども、選んだのはみなさんが選んだんですよ。政治家を見抜くのはなかなか難しいけども、やっぱり製造者責任っていうのもありますからね。

角谷: そうそう。

三宅: これも、今度の選挙からよく考えた方がいいと思いますね(笑)。

角谷: この中から「選べ」っていうのもつらいというのもありますけどね(笑)。

三宅: とくに小選挙区ではね。

角谷: そんなわけで、三宅さんにたっぷりといろいろお話を伺いました。

三宅: はい、ありがとうございました。

角谷: 引退という言葉だけが一人歩きしちゃうと、ちょっともったいない気がするし、それから、いろんな分野に対して、ご意見をやっぱり先輩から聞くというのは、どの時代でも悪い話じゃない。

三宅: そうですね。

角谷: そう思っていますから、ともかく隠居生活せずに、まだまだいろいろ話していただきたいし、(後輩を)怒ってくれる人がいないのは、やっぱりちょっとダメじゃないですかね。

三宅: そうですね。私なんか、最初の頃は、ずっと怒られっぱなしで記者生活を送りましたからね。

角谷: そんな中で、やってけるというふうに思いますけども。どうも今日は長い間ありがとうございました。

三宅: ありがとうございました、角谷さん。本当にどうも。勝手なことばかり言いまして。ありがとうございました。

角谷: ニコニコ動画は、こんなところですから、いつでも間口を開けておりますから。

三宅: そうですね。

角谷: どうぞよろしくお願いします。(スタッフに対して)三宅さんにアンケートいってみる?あのー、まあとにかくじゃあ、政治評論家を長らくやって、政治記者としてずっと永田町の取材をしていた。

 でも一方、テレビでいろんな人と一緒になったりして今のように「あの人はそんな有名なのか」「そんな採り上げなきゃいけないのか」と。こんなふうに感想もある、と。今のメディアに対して意見はいろいろあると思う。それは、先ほどの話でいいと思います。

 じゃあ、メディアを見ている若い人たちに、「君たちどうなの?」「こんなのどうなの?」って聞いてみたいことがあるとちょっと聞けると、すぐその場でアンケートの答えが出てくるという仕組みですんで。

三宅: まあでも・・・。

角谷: (スタッフに対して)ああ、もう質問があるの。じゃそれいきましょうか。まず、「あなたは三宅さんが政治評論家を引退することについてどう思うか」というのをみんなに聞いてみようと思います。1、引退しないでほしい。2、引退してほしくないが仕方がない。3、引退するべき。

三宅: (笑)。

角谷: この3つの中でどうでしょうかというのを、まず聞きましょう。引退しないでほしい。引退してほしくないが仕方がない。そして引退するべき、と(笑)。お年を聞くと82歳ということですけど、そんなふうには見えないし、とにかく記憶が鮮明ですから。僕なんかもうパッと出てこないこといっぱいありますから。

 (アンケート回答結果出る)おっ。引退しないでほしいが53%。引退してほしくないが仕方がないと、できればやってくださいよと思っているのが37.3%。引退すべきが9.7%ということですから、やっぱり、三宅さん、そういうことですよ。

三宅: ありがたいことですね。

角谷: 殊に若い人たちが三宅さんの話聞きたいと思っているんですよ。

三宅: みなさんが、これだけ忌憚のないことを書かれている中で、9割近い人が、続けろというのは、評論家冥利に尽きるというとおかしいけども、本当に大変ありがたいことと思いますね。

角谷: こんなふうに、いつでもニコニコ動画は・・・。

三宅: 門戸を開いていますか(笑)。

角谷: 門戸を開いておりますから、いろいろこちらも伺いたいことがあったら、「三宅さん、教えてください」ということをやろうと思っていますから。どうも今日は長い間ありがとうございました。

三宅: 今日はありがとうございました。本当に、楽しく、ありがとうございました。

(了)

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(書き起こし:ハギワラマサヒト、吉川慧、山下剛、編集:山下真史)