フリードハイブリッドの新エンジンは、CR−Zとフィットハイブリッドの「合わせ技」で開発しました!【ホンダフリード&フリードスパイクハイブリッドのすべて/メカニズム編】
「ハイブリッドになると、どれくらい燃費が改善するのかな?」という素朴な疑問に、ハイブリッド仕様とガソリン仕様の両方を持つホンダ車なら、答えを教えてくれます。
10・15モード燃費では、フィットHVが装備同等グレードから36.4%の向上であるのに対し、フリード&スパイクHVは41.1%と、改善率では上回っている。JC08モード燃費をベースにしても、フィットHVの26.2%に対し、フリード&スパイクHVは30.1%と、やはり上回っている。
フリードは車両重量でフィットより250キロ重く、排気量も200cc大きいので燃費には不利なはず。それでもフリードの方が、燃費向上率が高いのですね。
その秘密は「重さ」と「排気量」の2つを、燃費改善に効かせていることにあるようです。
まず「重さ」について見てみると、ハイブリッド車の場合、運動エネルギーをモーターで回生できる訳ですが、車重が重いほど回生エネルギーを大きくできます。そのためフリードハイブリッドではエネルギー回生量を増やし、その分モーターでのアシストを多く効かせるセッティングにしたのです。「柔よく剛を制す」ではありませんが、本来燃費に不利な「重量」を、エネルギー回生増という「返し技」で上手く利用している訳ですね。
フィットHVに較べ、フリード&スパイクHVは250?前後重い。すなわち、加速時に必要なエネルギーも大きければ、減速時に熱として捨ててしまうエネルギーも大きいわけで、HV化によってそれが回生/再利用できれば、全体の向上率は高くなって当然だ。
2つ目はIMAシステムの「エンジン排気量」です。フリードハイブリッドでは、CR−Zが搭載するパワー重視の4バルブ・1500ccエンジンは使いませんでした。燃費向上には、低回転域で粘るトルクが重要だからです。そこでCR−Zのエンジンブロックに、フィットハイブリッドの2バルブ2プラグのヘッドを換装して、トルク型の1500cc型エンジンを新開発したのです。また全気筒休止によるEV走行もできるようにして、燃費向上に貢献しているのです。まさにCR−Zとフィットハイブリッドの「合わせ技」といったところでしょう。
排気量は同じ1.5Lでも、フリード/スパイクのハイブリッドは2バルブヘッドで、CR−Zは高回転域でのフィーリングを重視した4バルブヘッドだ。2バルブ方式はふたつのプラグを位相差点火するi−DSI方式を採用している。
ひとつのモーターに「エンジンアシストとエネルギー回生、EV走行」の3役を任せるIMAシステムは、初代インサイトから12年経ちました。簡単な構造のメカニズムとは裏腹に、「エンジン+モーター+CVT+バッテリー」の相互協調制御は、天文学的な組合せから最適解をさがすような、超難問だったと思います。
でもホンダはあらゆる組合せを試してきたからこそ、2人乗りから7人乗りまで、車種毎の性格に合わせたきめ細かいカスタマイズができるのでしょう。まさにIMA6兄弟は、ホンダのノウハウの結晶だとあらためて思い至った次第です。
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