少数派独裁者が組織を乗っ取る詐術/純丘曜彰 教授博士
合議制は数で決まる。しかし、これを何重にも重ねると、本人と親衛隊13人がいれば、組織全体さえ支配できてしまう。とはいえ、支配そのものを目的とする権力者の存在自体が、もはや時代錯誤の象徴だ。
あちこちの国や会社に高圧的な独裁者がいる。議会でも取締役会でも、民主的な合議制を採っているはずなのに、なぜか。いや、ナポレオンでも、ヒットラーでも、この民主的な合議制こそが、少数派独裁者の温床なのだ。
簡単のために、国会議員定数が100人だとしよう。これを支配するためには、この国会議員100人全員を納得心酔させる必要などない。51人だけでいい。過半数の第一党になればいい。そのためには、敵対派を徹底的に弾圧すればいい。しかし、51人を支配するためには、じつは同様に過半数、つまり26人を味方につければいい。旧XX党系のような伝統の派閥。そして、さらにその中に、14人で自分の新グループを作る。要するに、自分自身と13人の親衛隊がいれば、100人の国会全体を乗っ取ることができる。
企業のトップに上り詰める、どう見ても人間性に問題のありそうな悪辣豪腕な人物も、たいていこの合議制のレバレッジを使っている。たとえば、社会全体の中でマスコミが世論をリードし、マスコミの中で新聞業界がテレビその他のメディアを子会社として支配し、新聞業界の中である新聞社が首位を占め、その新聞社の中で政治部が主流であり、その政治部の中で国会番が中心であるなら、一介の新聞記者ごときが、国会番のブラ下がりからスタートして一国の世論を左右する権力者になることも夢ではない。
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あちこちの国や会社に高圧的な独裁者がいる。議会でも取締役会でも、民主的な合議制を採っているはずなのに、なぜか。いや、ナポレオンでも、ヒットラーでも、この民主的な合議制こそが、少数派独裁者の温床なのだ。
企業のトップに上り詰める、どう見ても人間性に問題のありそうな悪辣豪腕な人物も、たいていこの合議制のレバレッジを使っている。たとえば、社会全体の中でマスコミが世論をリードし、マスコミの中で新聞業界がテレビその他のメディアを子会社として支配し、新聞業界の中である新聞社が首位を占め、その新聞社の中で政治部が主流であり、その政治部の中で国会番が中心であるなら、一介の新聞記者ごときが、国会番のブラ下がりからスタートして一国の世論を左右する権力者になることも夢ではない。
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