ラウールがシャルケでの1年目を振り返る「とても幸せだ。この一言で十分だと思う」
この男にはやはり、トロフィーがよく似合う。21日に行われたドイツカップ決勝でデュイスブルクに5−0で大勝し、9シーズンぶり5度目の優勝を達成したシャルケ。試合後、ラウール・ゴンサレスは優勝カップを誇らしげに掲げた。
リーグ戦は34試合の出場で13得点、チャンピオンズリーグ、ドイツカップを含めれば、ラウールの“ルーキー・イヤー”の成績は50試合出場の19得点となる。16シーズンを過ごしたレアル・マドリードに別れを告げ、ドイツに新天地を求めた昨夏。ラウールがここまでの活躍を見せると予想した人は、いったいどれだけいただろうか。
新たなクラブ、新たな環境で過ごした今シーズン。ラウールが『ワールドサッカーキング』のインタビューで「幸せなシーズン」を振り返る。
シャルケでプレーした今シーズンを振り返って、今の君はどう感じている?
ラウール「とても幸せだ。この一言で十分だと思う。僕らはチャンピオンズリーグの準決勝に進んだ。それをファンの誰もが喜んでくれて、僕らを一生懸命サポートしてくれた。サッカー選手として、これ以上にうれしいことはないよ」
レアル・マドリードのファンとシャルケのファンとの違いは?
ラウール「どちらも情熱的だけど、シャルケのほうがプレッシャーがずっと少ない。ここでは本当にリラックスしてプレーできるんだ。最高の環境だと思う」
来シーズンについては?
ラウール「100パーセント、シャルケでプレーするよ。今の僕に他の選択肢はない。クラブとの契約は2012年まで残っているし、僕自身、これ以上ないほど快適に毎日を過ごしている。僕は本当に幸せなんだ。わざわざ他のチームでプレーする理由がないよ」
改めて、ブンデスリーガの印象を教えてほしい。プレーしていて気に入った点、逆に嫌いな点を教えてほしい。
ラウール「ブンデスリーガが他の国のリーグに見劣りするところは一つもない。スタジアムはいつも満員で、すべてが組織的に運営されている。素晴らしいリーグだよ。プレーのレベルは高いし、実力が拮抗した好ゲームが多い。中でも一番気に入っているのはファンだね。彼らはどんな時でも、選手へのリスペクトを欠かさないんだ」
レアル・マドリードを退団したことを後悔したことはある?
ラウール「全くない。あの時、僕は人生のリズムを変えたかった。マドリーを離れる必要があると感じたんだ。マドリーでの最後の数シーズン、僕はベンチスタートが多かった。試合当日になっても自分がプレーできるかどうか分からない、そんな状態だったんだ。でも、シャルケでは毎週ピッチに立てるし、トレーニングも充実している。今の練習量はマドリー時代よりずっと多いくらいさ」
それが成功の秘訣だと?
ラウール「そうだね。それと、気持ちの問題も大きい。僕はもう若くないけど、サッカーへの情熱は失っていないつもりだ。ゴールすること、プレーすること、ゲームに勝つことをいつも夢見ている。僕はサッカーが大好きで、プレーできるだけで幸せなんだよ」
チャンピオンズリーグのインテル戦の2ゴールで、チャンピオンズリーグの通算得点記録を71まで伸ばしたね。
ラウール「今シーズンはそれも大きなモチベーションになっていた。でも、『ラウールは記録を伸ばすためだけにプレーしている』なんて言われるのは心外だね。第一、僕の記録なんてすぐに(リオネル)メッシかクリスチアーノ・ロナウドに破られてしまうよ(笑)。彼らのゴールするペースときたら、とても信じられない」
同僚である内田篤人の印象は?
ラウール「内田は偉大なチームメートだ。彼は僕のことを『サッカー界のレジェンド』と言ってくれている。だから、僕もこのくらいはサービスしないとね(笑)。冗談はさておき、彼はとてもスピードがある選手だ。テクニックもあるし、何より練習熱心なところがいい。僕にも何度かアドバイスを求 めてきたぐらいだからね。まだ若いけど、経験を積めば偉大なプレーヤーになれるよ。それだけの素質を持っていると思う」
古巣のレアル・マドリードについては?
ラウール「コパ・デル・レイの優勝は大きな前進と考えるべきだ。マドリーは昨シーズンより確実に良くなっている。戦力的な強さに、精神的な強さが加わった感じがするね。バルサを打ち破るにはまだ足りない部分があるけど、僕は周囲の人が考えるほど、マドリーとバルサに力の差はないと思っている。チャンピオンズリーグでの2度のクラシコ、そしてコパ・デル・レイの決勝は、どちらが勝ってもおかしくなかった」
シーズン開幕前、君はシャルケとの2年契約が切れたら引退するつもりだと話していた。来シーズンが『ラウールのラストイヤー』になる可能性は?
ラウール「確かにドイツに来た頃はそう思っていた。33歳では、身体的にはあと2年が限界だろうとね。だけど、今ではその考えが少し変わってきた。僕はシャルケに来てから、どうやら少し若返ったようなんだ(笑)。3、4年前の自分に戻ったような気がしている。今は、少しでも長く現役生活を楽しみたいという気持ちが強いね。まあ、クラブがそれを求めてくれれば、の話だけど」
引退後のプランは?
ラウール「シャルケでの挑戦が終わったらスペインに戻る。マドリーで仕事をさせてもらえたらうれしいね。僕にとってあのクラブは実家のようなものさ。どんな形でもいい。将来はマドリーのために役立つことをしたいんだ」
6月27日に34歳の誕生日を迎えるラウール。そのキャリアの幕引きが遠い未来の話でないことは確かかもしれないが、彼の「幸せなシーズン」が少しでも長く継続されることを心から願いたい。
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C・ロナウド「子供の頃、ラウールとプレーしたいと夢見ていた」
幸せなシーズン|ラウール・ゴンサレス(シャルケ/元スペイン代表)
リーグ戦は34試合の出場で13得点、チャンピオンズリーグ、ドイツカップを含めれば、ラウールの“ルーキー・イヤー”の成績は50試合出場の19得点となる。16シーズンを過ごしたレアル・マドリードに別れを告げ、ドイツに新天地を求めた昨夏。ラウールがここまでの活躍を見せると予想した人は、いったいどれだけいただろうか。
シャルケでプレーした今シーズンを振り返って、今の君はどう感じている?
ラウール「とても幸せだ。この一言で十分だと思う。僕らはチャンピオンズリーグの準決勝に進んだ。それをファンの誰もが喜んでくれて、僕らを一生懸命サポートしてくれた。サッカー選手として、これ以上にうれしいことはないよ」
レアル・マドリードのファンとシャルケのファンとの違いは?
ラウール「どちらも情熱的だけど、シャルケのほうがプレッシャーがずっと少ない。ここでは本当にリラックスしてプレーできるんだ。最高の環境だと思う」
来シーズンについては?
ラウール「100パーセント、シャルケでプレーするよ。今の僕に他の選択肢はない。クラブとの契約は2012年まで残っているし、僕自身、これ以上ないほど快適に毎日を過ごしている。僕は本当に幸せなんだ。わざわざ他のチームでプレーする理由がないよ」
改めて、ブンデスリーガの印象を教えてほしい。プレーしていて気に入った点、逆に嫌いな点を教えてほしい。
ラウール「ブンデスリーガが他の国のリーグに見劣りするところは一つもない。スタジアムはいつも満員で、すべてが組織的に運営されている。素晴らしいリーグだよ。プレーのレベルは高いし、実力が拮抗した好ゲームが多い。中でも一番気に入っているのはファンだね。彼らはどんな時でも、選手へのリスペクトを欠かさないんだ」
レアル・マドリードを退団したことを後悔したことはある?
ラウール「全くない。あの時、僕は人生のリズムを変えたかった。マドリーを離れる必要があると感じたんだ。マドリーでの最後の数シーズン、僕はベンチスタートが多かった。試合当日になっても自分がプレーできるかどうか分からない、そんな状態だったんだ。でも、シャルケでは毎週ピッチに立てるし、トレーニングも充実している。今の練習量はマドリー時代よりずっと多いくらいさ」
それが成功の秘訣だと?
ラウール「そうだね。それと、気持ちの問題も大きい。僕はもう若くないけど、サッカーへの情熱は失っていないつもりだ。ゴールすること、プレーすること、ゲームに勝つことをいつも夢見ている。僕はサッカーが大好きで、プレーできるだけで幸せなんだよ」
チャンピオンズリーグのインテル戦の2ゴールで、チャンピオンズリーグの通算得点記録を71まで伸ばしたね。
ラウール「今シーズンはそれも大きなモチベーションになっていた。でも、『ラウールは記録を伸ばすためだけにプレーしている』なんて言われるのは心外だね。第一、僕の記録なんてすぐに(リオネル)メッシかクリスチアーノ・ロナウドに破られてしまうよ(笑)。彼らのゴールするペースときたら、とても信じられない」
同僚である内田篤人の印象は?
ラウール「内田は偉大なチームメートだ。彼は僕のことを『サッカー界のレジェンド』と言ってくれている。だから、僕もこのくらいはサービスしないとね(笑)。冗談はさておき、彼はとてもスピードがある選手だ。テクニックもあるし、何より練習熱心なところがいい。僕にも何度かアドバイスを求 めてきたぐらいだからね。まだ若いけど、経験を積めば偉大なプレーヤーになれるよ。それだけの素質を持っていると思う」
古巣のレアル・マドリードについては?
ラウール「コパ・デル・レイの優勝は大きな前進と考えるべきだ。マドリーは昨シーズンより確実に良くなっている。戦力的な強さに、精神的な強さが加わった感じがするね。バルサを打ち破るにはまだ足りない部分があるけど、僕は周囲の人が考えるほど、マドリーとバルサに力の差はないと思っている。チャンピオンズリーグでの2度のクラシコ、そしてコパ・デル・レイの決勝は、どちらが勝ってもおかしくなかった」
シーズン開幕前、君はシャルケとの2年契約が切れたら引退するつもりだと話していた。来シーズンが『ラウールのラストイヤー』になる可能性は?
ラウール「確かにドイツに来た頃はそう思っていた。33歳では、身体的にはあと2年が限界だろうとね。だけど、今ではその考えが少し変わってきた。僕はシャルケに来てから、どうやら少し若返ったようなんだ(笑)。3、4年前の自分に戻ったような気がしている。今は、少しでも長く現役生活を楽しみたいという気持ちが強いね。まあ、クラブがそれを求めてくれれば、の話だけど」
引退後のプランは?
ラウール「シャルケでの挑戦が終わったらスペインに戻る。マドリーで仕事をさせてもらえたらうれしいね。僕にとってあのクラブは実家のようなものさ。どんな形でもいい。将来はマドリーのために役立つことをしたいんだ」
6月27日に34歳の誕生日を迎えるラウール。そのキャリアの幕引きが遠い未来の話でないことは確かかもしれないが、彼の「幸せなシーズン」が少しでも長く継続されることを心から願いたい。
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【浅野祐介@asasukeno】1976年生まれ。『STREET JACK』、『Men's JOKER』でファッション誌の編集を5年。その後、『WORLD SOCCER KING』の副編集長を経て、『SOCCER KING(twitterアカウントはSoccerKingJP)』の編集長に就任。