■ 準決勝の2ndレグ

UEFAチャンピオンズリーグの準決勝。初のベスト4入りとなったドイツのシャルケが、アウェーでイングランドのマンチェスターUと対戦。1stレグはマンチェスターUがアウェーで2対0で勝利をおさめた。

ホームのマンチェスターUは<4-3-3>。GKファン・デル・サール。DFラファエル、スモーリング、エヴァンス、オシェイ。MFギブソン、スコールズ、アンデルソン。FWバレンシア、ベルバトフ、ナニ。 FWルーニー、MF朴智星、DFファーディナンドらベンチ外。FWオーウェン、MFギグス、FWハビエル・エルナンデスらがベンチスタート。

対するアウェーのシャルケは<4-1-4-1>。GKノイアー。DF内田篤人、ヘヴェデス、メツェルダー、エスクデロ。MFパパドプロス、ファルファン、フラド、バウムヨハン、ドラクスラー。FWラウール。DFヘヴェデスがスタメンに復帰。FWエドゥはベンチスタートでFWラウールの1トップ。オランダ代表のFWフンテラールがベンチ入り。

■ マンチェスターUが4対1で勝利

1stレグはほとんど何もできなかったシャルケだったが、序盤はアグレッシブに戦って互角の展開となる。しかし、前半26分にシャルケのMFフラドのパスミスからマンチェスターUがカウンター。MFアンデルソン→MFギブソンとつないで、MFギブソンのスルーパスを受けたFWバレンシアが落ち着いて決めてホームのマンチェスターUが先制する。

さらに、前半31分にも右サイドのスルーインからMFアンデルソンがゴール前でキープして、走り込んできたMFギブソンがミドルシュートを決めて2点目を挙げる。シャルケは前半35分に右サイドのDF内田のクロスからこぼれ球をMFフラドが豪快に決めて1点を返す。前半は2対1でマンチェスターUがリードして折り返す。

1点リードのマンチェスターUは、後半27分にも、ポルトガル代表のFWナニのドリブルからMFアンデルソンが決めて3点目を挙げると、後半31分にも、再び、MFアンデルソンが決めて4点目を挙げる。MFアンデルソンは2ゴールの活躍。シャルケはFWフンテラールらを投入するもゴールは奪えず。結局、4対1でマンチェスターUが勝利し、トータルスコアでも6対1と上回って決勝進出を決めた。

■ マンチェスターUが決勝進出

マンチェスターUはホームで4対1と危なげなく勝利して2008−2009シーズン以来となる決勝進出を果たした。この時も決勝でバルセロナと対戦したが、0対2で敗れており、そのリベンジを果たす舞台が巡ってきたといえる。

マンチェスターUは週末にプレミアリーグのチェルシー戦を控えている。ホームゲームとはいえ、敗れるとチェルシーに抜かれて2位転落となる大一番で、そういう事情もあって、FWルーニー、MFギグスら主力の多くを温存してきた。2点のアドバンテージがあるとはいえ、思い切った選手起用であり、CLの準決勝でこれだけの選手を入れ替えることができるというのもファーガソン監督ならではといえる。

■ 決勝の相手はバルセロナ

これで5月28日に行われる決勝戦はロンドンのウェンブリー競技場でスペインのバルセロナと対戦することが決定した。ロンドンでの試合とはいえ、マンチェスターUにとっては自国での試合であり、これがアドバンテージとなるが、バルセロナがスペインリーグの優勝をほぼ決めているのに対して、マンチェスターUは、これからリーグ戦も終盤になってビッグマッチが続いていく。どちらが有利とは言えない状況である。

いずれにしても、世界トップクラスのチームの対戦となった。アルゼンチン代表のFWメッシとイングランド代表のFWルーニーに注目が集まるだろうが、両チームには、ピッチ内でも、ピッチ外でも、フェアで紳士的なふるまいを期待したいところである。

■ シャルケは決勝進出ならず

ホームで0対2で敗れていたので、最低でも2ゴールが必要だったシャルケは、中盤を厚くする戦法をとってきた。いい立ち上がりだったので、何としても先制ゴールが欲しかったが、MFフラドのパスミスから相手にカウンターを許して失点。これで勝ち上がりの可能性はほとんどなくなってしまった。

ラングニック監督になって、中央で起用されることが多くなって持ち味を出せるようになったスペイン人のMFフラドであるが、相変わらず、危険なエリアでのパスミスが多く、不用意な形でボールを失うことも多い。ただ、シャルケにとって、攻撃に変化をつけられるのはMFフラドくらいなので、スタメンから外すわけにもいかずに、中心としてプレーし続けているが、大事なところで大きなミスが出てしまった。

この試合についてはスタメンの選択も適切だったとは思えず、FWエドゥを外してFWラウールの1トップにしたことで、FWラウールも生きなかった。代わってスタメンで起用されたMFバウムヨハンとMFドラクスラーの二人は、リーグ戦でも、スタメンで起用されたときにいいパフォーマンスを見せたこと自体が少ないので不安視されたが、この試合もいいプレーは見せられず。荷が重すぎたといえる。インテルとの準々決勝ではズバリと采配が的中したラングニック監督だったが、マンチェスターUとの2試合は全く冴えはなかった。

■ シャルケはベスト4

これで敗退となってしまったが、ブンデスリーガで10位と低迷しているシャルケがベスト4まで残ったことは、今大会の最大のサプライズであり、大きな話題を振りまいたことは間違いない。DF内田もグループリーグの初戦を除くと、すべてスタメンで出場し、チームの躍進に大きく貢献できた。ベスト4に進んだのは、日本人としては初めてであり、新たな一歩を踏み出したといえる。

ブンデスリーガで11勝4敗7分けで10位のシャルケが本当の姿なのか、CLでベスト4のシャルケが本当の姿なのか、分からないが、ワールドクラスといえるのが、ドイツ代表のGKノイアーと元スペイン代表のFWラウールの二人くらいという戦力の中で、よく頑張ったといえる。マンチェスターU、バルセロナ、レアル・マドリーとはクラブの規模が違いすぎるが、非メガクラブでもここまでできたというのは、多くのチームに勇気を与えるものである。

大黒柱のGKノイアーの移籍は確実視されており、来シーズンのCLに出場できる可能性もなくなったので、チームは新たなスタートを切ることになるが、再び、この舞台にチャレンジできるようなチームを作り上げてもらいたいところである。

■ DF内田はフル出場で先制ゴール

1stレグではほとんど攻撃に参加できなかったDF内田であったが、この試合は、たびたび前に上がっていってチャンスに絡んだ。前半35分のMFフラドのゴールもDF内田のクロスが起点になっており、シャルケのチャンスにDF内田が絡むことが多かった。

なぜか、1失点目のシーンでテレビ画面にクローズアップされてしまったので、DF内田がミスをして失点したような感じになっていたが、明らかにMFフラドのバックパスのミスであり、DF内田に非はなかった。

トータルで見ると、そこそこの出来であり、シャルケは左サイドを破られることが多く、中央での対応に苦労したが、DF内田のサイドを崩されるシーンはほとんどなくて、守備でも大きな問題はなかった。4失点したチームのサイドバックなので、どうしても評価が低くなるのは仕方がないが、大きな舞台でも萎縮することなく、持てる力は発揮したといえる。


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