公正取引委員会が、ソーシャルゲームサイト「モバゲータウン」を運営するDeNA(ディー・エヌ・エー)に対し、独占禁止法違反の疑いがあるとして、立ち入り検査を行った。今回は、このケースを基に、場の提供モデルにおけるサプライヤとの関係のあり方について学ぶ。

公取委は、DeNAが取引先ゲームソフト開発会社の事業活動を不当に拘束する条件での取引(不当な取引制限)、もしくは自己の取引上の地位を不当に利用しての取引(優越的地位の濫用)の疑いで検査に入った模様。

DeNAの幹部がゲーム会社社長に対し、「グリーにゲームを提供するなら、今後、取引をしない」と通告したり、グリーにゲームを提供した会社のDeNAにあるゲームが検索で非表示になるなど、その圧倒的な会員数を背景に、DeNAがゲームソフト会社にかなりの圧力を掛けたようだ。

モバゲータウンの仕組みは、無料ゲームで会員を集め、それらのゲーム内での武器や衣装などのアイテムの販売や、会員のスポンサーサイトへの誘導等による広告により収益を上げる事業モデル。

ゲームの調達方法は、これまでは自社開発が中心。開発会社に開発を委託すると、課金収入の7〜8割を開発会社に支払わなければならないが、自社開発であれば、そのすべてが自社の利益になるからだ。

現在、モバゲータウンの会員数は2000万人を超えるまでになっているが、その地位は必ずしも安泰ではない。競合のグリーと激しい競争を繰り広げている。たとえば、ゲーム開発者の確保のため、DeNAが200万円の入社準備金制度を発表すると、直後にグリーが同様の取組を始めた。現在のグリーの会員数もDeNAとほぼ同数。

もともとは、外部の開発会社の手によるゲームの提供は、DeNAの方が2010年1月からとグリーに先行していた。しかし、グリーが6月に同様の動きで追随し、ゲーム会社の囲い込み競争が激しくなった。


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