春一番が吹き、春の訪れとともに一部の人を悩ませているが花粉症対策だ。花粉症はアレルギー疾患のひとつだが、今まで花粉症でない人でも突然発症することがあるほか、都市部での発症が多いことから現代病のひとつとしても数えられている。

花粉症対策には、昔からマスクやスプレー、抗アレルギー薬などがあげられるが、最近は部屋の空気を綺麗にする空気清浄機にも注目が集まっているようだ。空気清浄機の売れ行きは良く、大手量販店では売り切れの店舗も見かける。

日本電機工業会(JEMA)が発表した「民生用電気機器 2009 年1月 国内出荷実績」によると、国内出荷金額は前年同月比の103.4%%の1005億円となり、インフルエンザ予防対策として、加湿器が前年比284.9%の28億円、空気清浄機が前年比152.8%の51億円と大きく伸びたそうだ。
民生用電気機器 2009 年1月 国内出荷実績 - 日本電機工業会

そこで今回は、空気を綺麗にする空気清浄機の最前線をみてみよう。


■空気清浄機の歴史と種類
●空気清浄機ってなに?
空気清浄機とは、読んで字の如く、空気を綺麗にする空調家電だ。機能としては、花粉やハウスダストなどの空気中に浮遊する目に見えない塵などの細かい粒子を取り除くことが可能で、最近はペットや調理時のにおいを取り除ける製品も登場している。


●世界で初めての空気清浄機
世界初の空気清浄機には諸説あるが、19世紀のはじめの産業革命でイギリスから始まったとの説が有力だ。当時は、石炭が主なエネルギー源であり、その石炭を燃焼させた際に発生する煙を除去することを目的として、空気清浄機が考案された。

一方、日本では1962年頃に空気清浄機が登場し始めたようだ。1960年代は、ちょうど高度経済成長期にあたり、四日市ぜんそくなどの大気汚染による公害が社会問題となった頃だ。


●空気清浄機の種類
空気清浄機は、家電業界においてはファン式とイオン式の2種類に大別される。

・ファン式
ファン式は、現在の空気清浄機でも主流の方式で、エアコンや扇風機にも採用されている。ファンを回転させることで強制的に空気を吸い込み、フィルターで濾過して綺麗になった空気を放出する。

・イオン式
イオン式は、2つの電極に高電圧を掛けて空気中にイオンの流れを作り、微粒子を帯電させて反対の電荷を帯びた電極に集塵する方式。連続運転させることで、長時間空中に漂う超微粒子を集塵することができる。


■空気清浄機の最新技術
最近の空気清浄機には、どのような技術が使われているのだろうか。最新の空気清浄器の技術をみてみよう。

●プラズマクラスターで分解・除去 - シャープ
シャープは、同社の空気清浄機に高濃度「プラズマクラスター」技術を搭載している。「プラズマクラスター」とは、プラズマ放電によって自然界にあるのと同じプラスとマイナスのイオンを発生させ、浮遊するカビ菌やウイルスを空中で分解・除去する。
空気清浄機 - シャープ

「プラズマクラスター」は、同社独自の空中線上技術ですでに特許を取得しており、2008年度(社)発明協会の全国発明表彰大会で「発明賞」を受賞した。

プラズマクラスターの除菌・浄化力だが、同社が広島大学大学院 先端BIS室科学研究科に依頼した結果によると、空気中のアレル物質(ダニのふん、死がい)は、プラズマクラスター技術により99.9%作用を抑えることに成功している※1。
※1 約8畳の居住空間での浮遊ダニのあれる物資物質の作用をELISA法で計測

また、イギリス レトロスクリーン・バイロロジー社による1平方メートルのボックス内での実験によると、空気中の浮遊ウイルスは「プラズマクラスター」により約10分で99%作用を抑えるとの結果が出ている。


●強力な集じん力とナノテクプラチナ脱臭 - 三菱電機
三菱電機の空気清浄機は、強力な集じん力と脱臭力が大きな特徴だ。
MA-838形は、空気の汚れを業界最大風量※2により急速吸引し、大面積のHEPAフィルターでしっかりととらえ、花粉・ホコリからウイルスまでを一気に除去することができる。
※2 家庭用空気清浄機において。JEM1467にもとづく試験にて算出。2008年8月5日現在。MA-838形

空気清浄機:花粉がいちばん取れる MA-838 - 三菱電機

同社のデータによると、8畳の部屋をおよそ8分で綺麗にしてくれる。具体的な数値をあげると、約8分の動作で99,97%の補集、スギ花粉やコナヒョウヒダニの死がい、ウィルス、細菌は99%抑制することができる。

さらに先進のナノテクプラチナ脱臭により、ホルムアルデヒドを0.08ppm以下に低減。特殊活性炭のダブル脱臭で、わずかなニオイでも除去できるのだ。


●プラチナ・ナノコロイドで除菌 - 東芝
東芝は、「プラチナ・ナノコロイド」と呼ばれる独自の技術を空気清浄機に採用している。
同社の「CAF-KH5」は、除菌ユニットにプラチナナノコロイドを添着させ、OHラジカルとともにプラチナ・ナノコロイドも放出し、空中に漂う菌などを抑制する。
加湿機能付空気清浄機「CAF-KH5」 - 東芝

OHラジカルについて少し補足しよう。二酸化チタンなどの触媒に光を当てると、その表面からは電子が飛び出す。これにより触媒はプラスの電化を帯び、水をOHラジカルに変化させる。生成したOHラジカルは、有機物から電子を奪い、二酸化炭素や水に分解してくれるのだ。

さらに空気清浄フィルターで部屋の空気を綺麗に清浄。「加湿フィルター」で気化した水分を加え、うるおいのある空気を放出してくれる。


空気清浄機は空気を浄化する家電だが、今や内部にプラズマ技術やナノテク技術を取り入れることにより、健康な環境を確保するための機器へと進化を遂げている。



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