オードリー(ケイダッシュステージ)のツッコミに懸念の声が上がっている。若林が勢いよく春日のこめかみを叩くことが危険だというのだ。

 若林のツッコミの鋭さは春日の顔色を見ればわかる。漫才が始まって2〜3分も経てば春日のこめかみ付近が赤く変色し始めるのだ。1分程度で終わるショートネタばかりを見てきた人はM-1での春日の変化に驚いたことであろう。時には漫才中にその赤さをネタにすることすらある。

 医学的見地をひっぱり出すまでもなく、完全に安全なことではないのは誰にでもわかる。そう、誰にでもだ。当人たちだってわかってやっているのにきまっているし、外野がとやかくいうことではないのでは、などと考えたのだが、本題はそこではないようだ。

 この件についてとりあげた産経ニュースの記事には『しぐさをまねる若者や子供が増えるのは確実』とある。なるほど、若者や子供たちが真似をすることで取り返しのつかない事故が起こることを危惧しているのだ。さらにオードリーに『たたくのは突き出した胸にするなど、うまく工夫をしてもいい』と気の利いたアドバイスまで添えてある。なるほど。

 この見解は非常にもっともだ。良識のある大人らしい、真っ当な理屈である。しかし、しかしだ。この記事を読んだ父兄の方々、オードリー側に抗議するようなことはしないでもらいたい。なぜなら良識のある大人のあなた方には他にやるべきことがあるからだ。

 それは、子供たちに真似をさせないこと。そんな場面に居合わせた時に、危ないからやめなさい、と一声かけるだけでいいのだ。目に付いた子供すべてを叱るというわけにはいかないだろうが、自分の子、兄弟の子、友人の子、これくらいまでの関係性ならば許されるはず。これらの子供たちを叱ることもできずに、お笑い芸人に対してあれはやらないでくれなどと言えた義理ではないだろう。

 近年、小島よしおや世界のナベアツのネタで授業にならない小学校が増えていると聞く。この事実だけで、お笑いは子供たちに悪影響を与えるザマス!などと目を吊り上げている方もいるのかもしれない。だが、それらのクラスは芸人のネタのせいで崩壊したのではない。きっかけはなんでもよく、そこにたまたまお笑いがあっただけだ。小島やナベアツがブレイクせずとも遅かれ早かれ崩壊していたと私は思う。

 私が子供の頃はドリフの真似をしないように親や教師から再三注意を受けたものだ。たとえ世代は違っても小学生ほどの子供を持つ人ならば似たような経験はあるだろう。あなたが過去に親や教師から受けた愛情と教育を、今こそ自らの手で子供たちに与えてあげてほしい。芸人は子供を傷つける存在ではない。お笑いは子供に悪影響を与えるものではない。子供を笑顔にするためのものなのだから。

(編集部:三浦ヨーコ)


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【参照】
オードリーの“こめかみツッコミ”に危惧の声